二次元作家・クリエイターのほとんどはプロじゃない

 タイトルは挑戦的ですが、別にそういう内容ではないので。
 先日の、リトバスでシナリオを書いているライターさんのうち、城桐央氏と樫田レオ氏が外注(専属ではない)だと言うことに関連するのですが、そもそも、専業のライターでやっている人のほうが少ないのか?と言う疑問が湧いてきました。と言うのも、樫田レオ氏はサラリーマンとの兼業でライターをやっているようですし、ライター業だけで食っていってる人自体も少ない可能性すらあるわけです。
 先日、パソゲー業界に知り合いが多数いる友人と飲んできたわけですが、そのときに言ってたのが、割と人気のあるメーカーのライターでも、せいぜい年収は200万程度。あと、若いうちしか勝負できないとか。どこまで本当かわかりませんが、HAL出のヤツが言うことなんで間違ってはいないでしょう。そこそこ売れてる人(らしい)でそんなんなんで、あまり売れないゲームのライターなんかだと、本当にお金は入らないんでしょうね。バイトとかしながらやってるのかも…。こういう話を聞いていると、吉本の若手芸人と似たところがありますねえ。
 原画家さんなら、上手ければ引く手あまたかもしれません。が、ライターはその領域に達するためには、それこそ10万本くらい売れたゲームで高い評価を受けたシナリオを担当していた、とかくらいじゃないと難しいかもしれませんね。
 今まではゲームのことに限定してましたが、同じような現象はマンガ家の中でも起きてます。
 最近、雑誌が売れなくなっているのはご存知の通りです。月刊少年ジャンプが休刊したり、週刊少年ジャンプの売れ行きがピークの3分の1に堕ちてるとかは周知の事実ですが、ただ、マンガ自体の人気は落ちてないわけで。マンガ雑誌は、片や休刊も相次いでますが、片や創刊も増えています。雑誌自体が増えていると言うことは、それだけ書き手も増えていると言うことです。その書き手はどうやって発掘しているのか? それは…もちろん同人です。
 最近、エロでも非エロでも、知ってる同人作家さんが商業に行く場面をよく見ます。最初は、月刊誌に隔月とかで掲載されつつも、そこまで専業としてやってない感じで。月刊誌で2本以上書くようになって、初めてマンガ家として食っていける感じがするんですけどね。
 と言うのも、メガストア(なぜそれが例に?!)とか、そんな発行部数の多い雑誌とかだと、おそらくは原稿料もそれなりに出るんでしょうけど、エロでも雑誌の販売数なんてたかが知れているわけで。600円前後の雑誌が10万部とか売れた+広告収入があるとは言え、10人以上いる作家に落ちるお金なんて知れているでしょうから。これが、非エロとかアンソロとかってなると、本当にどれくらい商売になっているのか?
 本格的にマンガ家が儲かるには…単行本しかないわけですよ。商業デビューする人の多くが目標にするところで。年間1冊くらい出せるようになって、ようやく食っていけるって感じなのかなあ、と。逆に、年間1冊も単行本が出せない作家さんが多い=他に仕事をしながらやっている人が多い、ってことにもなります。
 そんな作家さんが収入源としているのが、同人誌だと思ってます。実際問題、どのくらい売れているかは聞いたことも無いのでわからないのですが、感触としては500冊以上。壁でなくても行列が出来るサークルなら、1000冊以上は堅いでしょう。1000冊×500円=50万円。印刷代は…10万円程度? それでも40万円前後の儲けがあるわけですし、いい小遣い稼ぎにはなると思います。が、1000冊くらいでは、それだけで食っていくことは難しいですね。3000冊くらい売れれば、年2回のコミケだけで生活が成り立ちそうですが(汗。
 DLsite.comなどの、同人ダウンロードショップもなかなかのものだと思います。手数料が高いなどのウワサも聞きますが、名の知れた作家さんであれば、最低でも500、毎回2000くらい行く人もいますし、最高では1万以上と言うダウンロード数を誇る作品もあります。この場合、印刷代という概念は発生しませんので、手数料以外のお金は、全額作家さんに入るわけで、利益率としては高いものがあります(もちろん、声優さんを起用した場合はそのギャラも必要ですけど)。1000円の作品が1000ダウンロードされるとしたら、2割が手数料としても80万円の利益があるわけです。
 脱線してしまいましたが、要は完全プロで無い作家さんは増えているように思うのです。商業誌に掲載されたからと言って、掲載された商業誌が力の無いところだと、むしろ同人時代のファンがついてくるだけで、新規にファン層を開拓できないかもしれませんし。商業デビューしたからと言って、マンガ一本でずっと食っていける保証はありません。つまり、すべてを投げ打ってマンガ一本でやってる作家さんってどのくらいいるんだろう? と思うのです。
 昔なら、商業誌の作家さん=プロと言う感じだったのが、今や同人誌を書いている延長線上で商業誌に書いている感じがするんですよね。
 別に悪いと言うわけではありません。それでもちゃんとした作品を送り出してくれるわけですし、好きな作家さんの作品がコミケ作品以外でも見られるのは嬉しいことですから。ただ、今後10年とか長いスパンで見た場合、この状態が続いていくのが、二次元作家としてはイイことなんでしょうか? 以前なら、雑誌レベル、あるいは出版社レベルで、例えば2,3作品は面倒を見たり、素質ある作家さんを囲ったりしていたように思うのですが、今は使い捨ても横行しているように思います。
 ヲタク層は、緩やかに拡大しているようには思いますが、この傾向がいつまで続くのかはわかりません。少子化が進行しているわけですし、いずれ壁にぶち当たるでしょう。そうなれば、やっていけなくなる商業誌が増える=出番が無くなる作家さんが増えると言うことで、そうした事態を想定して、商業作家と同人作家を兼業している、あるいはマンガ家に専任しない人が増えているように思います。
 現実的ではありますが、いずれは「職業:マンガ家」と言える作家さんがいなくなるんじゃないか?とか思うのですがどうでしょう? つまり、本当の「プロ」がいなくなる、と。ライターさんにも言えることですけどね。なかなか厳しい世界なんでしょうか…。