TH2AD商法はギャルゲ界の主流となるか?

 以前のLeafに関してのエントリから、疑惑の目で見られそうですが、まあそういうことではありませんので。
 タイトルで「TH2商法」と書いてみたのは、TH2関連作品の一連のリリースを見てのことです。
 ToHeart2という作品自体が、まず「ToHeart」という作品の続編なわけですが、学校や街などの舞台、制服の設定(一部変わっているんですよね?)、ゲームシステムや音楽、雰囲気などを流用しています。キャラクターは一新されていますが、メインヒロインが幼馴染で、「TH」では髪型が、「TH2」では制服が変わることで主人公がそのヒロインに対する見方を変える、と言うところまで同じなわけです。
 ただ、個々のシナリオのバラエティに富んだ内容や、そもそもライターが一新されているところなど、前作を知らなくても全く支障の無い内容になってますし、逆に一部は、前作を知っていればにやりとする内容になっているなどしています。
 そして「TH2X」では、全年齢だったものにエロ要素を追加する…のにとどまらず、新キャラ・シナリオを追加して、全年齢をプレイした人にも楽しめるようなつくりにしています。
 さらに「TH2AD」では、TH2の舞台や設定、キャラクターに音楽、システムなどを流用しながら、メインヒロインのシナリオは完全新作にして、アペンドのような、でもボリュームとしては新作と変わらないものになっているわけです。ここがポイントです。
 と言うのは、TH2Xではあくまで18禁化がメインだったのですが、ADはシナリオを一新していたわけで。ユーザーの要望に応えたのか、あるいはそういう意図があったのかはわからないのですが。
 ユーザーの要望とすれば、例えばまーりゃん先輩やいくのんのように、サブキャラとして登場したのに人気が高いキャラは、メインキャラ化することで相当なインパクトはあったはずです。それに加えて新シナリオですから、ある意味では完全新作以上に購買意欲をそそるものになったのかもしれません。
 が、ADは完全新作を作るほどのコストはかかっていないでしょう。シナリオ以外のほとんどの要素を流用しているわけですし、原作のパロと言う側面すら持っている、言わば「オフィシャルが作った同人作品」でもあるわけですし。
 しかしながら、ユーザーからすれば、「好きなゲームの設定でまた新しいキャラが楽しめる!」と言うことで、完全新作に比べると安心感もあり、リメイクとは違ってほぼ新たに楽しめる要素ばかりでもあるわけですから、完全なオリジナルタイトルを待っているユーザー以外には良いことずくめなんですよね。
 この流れは、他のメーカーにも波及するかもしれません。何せ、開発費を抑えつつもリメイク多発と言う批判も交わせ、完全新作とあまり変わらない受け取られ方もするわけですからね。悪いことなど無いでしょう。
 ただ問題も。そもそも、同じ世界観や舞台を流用しても、また違うキャラだけで新作を作れるようなゲームがあるかどうか? 多くのギャルゲーが、かなり縛りの多い世界観だったり応用の利かない設定だったりするので、TH2ADのような展開をすること自体が不可能なケースが多いようにも思います。ので、最初から汎用性の高い設定でゲームを作り、事後展開アリだと企画段階から考えながらやれば…と思いますけど、そもそもTH2が10万本オーバーの売り上げだからこそ出来た展開とも言えますし、他のメーカーが同じように売れて同じような展開ができるかどうかはわからないわけで、偶然が重なっただけかもしれません。
 それに、原作ありきの企画でしょうし、原作以上に売れるわけではありません。ADの売り上げ数はハッキリとしたものを調べきらなかったんですが、TH2Xほどは行っていないでしょうしね。
 Keyのリトルバスターズ!エクスタシーもTH2Xの流れだと思いますが、あくまでXまでであって、ADの流れでは無いんですよね。KeyがリトバスでADみたいなことをやるのなら、ヒロインは杉並さんや古式さん、あーちゃん先輩とかその他、っていうゲームを発表することになるわけですが(汗。
 となると、TH2AD路線は、あくまで特殊なケースで終わってしまうんでしょうか? 多くのユーザーにとって歓迎すべき路線なんでしょうけどね。続くメーカーが現れるかは、そもそものオリジナルタイトルの段階から、二次展開を意識した作りのゲームが増えるのかもしれません。