アニメの最後の風子は何故ぶっ壊れていたのか?〜CLANNAD AFTER STORY 考察+解説

 ちらほらと聞かれるので気になっているのが、22話での伊吹風子さんへの風評です。どうしてああいう登場だったのかとか、何故ひいきされているのかとかありますが、何と言っても「最高におかしかった」と言うことがあるんじゃないかと思いますw もう○○ガイと言われても仕方が無いくらいにw
 原作ファンとしても、あの場面は結構ビックリしましたが、割と簡単な考察で説明できたりもします。それをアニメだけの人たちにもわかるように説明していきます。とは言え、納得できるものじゃないかもしれませんが。

 風子と言うキャラは特別です。それは原作で見るとよくわかるし、アニメでもひいきされていることからも類推できるかと思いますが。登場回数が自分のシナリオ以外でも多いってことはありますが、それ以上に感じたのがその登場場所と機会です。
 風子は、風子シナリオ=アニメで言う一期5話くらいから9話までのお話なんですが、その部分でまず1回エンディングを迎えます。
 そして、アニメでは単なる卒業の場面に使われたAFTER9話の、春原と朋也が幸村に「ありがとうございました!」と言うシーンがあるんですが、あれはゲーム原作では単体のシナリオ(エンディング)として独立しています。え?って感じですが、ゲームでは誰ともくっつかないまま進めば観られるエンディングだったりします。なぜ単体のシナリオなのかは説明を省きますが、そこで公子さんが入院している風子のことを話す場面があるんです。で、風子シナリオをクリアしている場合+光の玉を持っている場合、そこで朋也が風子のことを想って(でも誰かは覚えていない)光の玉を空へ送るイベントがあるんですよ。で、そのイベントを経由していない場合、AFTERでの風子は登場すらしないというギミックがあったり。
 そしてAFTERの汐編=アニメで言えばAFTER19〜20話あたりの風子。アニメと同じ展開で、朋也と汐が力尽きて終わり、というストーリーになってます。
 最後はトゥルーエンド=アニメAFTER22話エピローグの風子です。
 これらに言えるのは、ゲームではすべて「登場したストーリーはすべて終わっている」と言うことです。
・風子シナリオの風子→風子シナリオエンディング
 ↓
・幸村エンドで公子さんと朋也の心で想う風子→エンディング
 ↓
・AFTER汐編で登場する風子→エンディング
 ↓
・トゥルーエンドでの風子
 と言う具合に、1本のシナリオ上に複数登場していることは無いんですよね。ま、渚シナリオと風子シナリオは途中まで並行して出来るんで同時に存在することは可能なんですが、途中で二択になって片方は捨てられるんで、最終的には忘れてしまった、と言う解釈になるんですが。
 なので、風子を「忘れてしまう」と言うアニメでの演出なんですが、ゲームでは1本のシナリオ上で風子が複数回重要な役で出てくることは無いので、凄く「ひいきされている」という印象は、アニメだけ見た人よりも薄いとは思います。
 
 長い前置きですが、本題に入ります。じゃあ何で風子はああなってしまったのか?です。
 勘のイイ方なら気づいているかとは思いますが、アニメでも風子が登場する場面が、話が進むにつれておかしくなっていることがわかりませんかね? 一期の公子さんたちの結婚式を祝うまでの風子と、「風子参上!」の風子と、AFTERで25歳児の風子と、そして最後の風子と。段階的に酷くなってませんか? それにも実は理由があります。
 まず風子シナリオでの風子ですが、これは明確に目標があります。姉である公子さんの結婚式を成功させたい。その想いがあるからこそ、その目標に向けて猪突猛進しているわけです。なので、多少ヘンな部分はあるとしても、すべての行動は同じベクトルを向いています。
 しかし、AFTERの汐が出てきたときの風子は、またそれとは違った感じがありませんでしたか? 公子さんの結婚も決まってますし、自分も復活した。特に目標がありません。そこで見つけたのが汐=幻想世界の少女だったわけです。渚=幻想世界の少女でもあり懐いてはいましたが、あくまで一期の時の目標は「公子さんの結婚式を成功させる」ことなので、少女に集中することはありませんでした。が、AFTERでの風子は、特に目標はなく、単に「少女が好き」という想いしかありません。なのでいきなり「誘拐」とかも言います。最後の場面の風子も同じく、ですね。
 ただ、AFTERの汐のところの風子と、エンディングのところの風子はまた異なります。それは何故でしょう? 簡単です。朋也がいないから、なんですよね。実はこれは、アニメ一期でも登場しているある場面がフラグになっていたりします。
 一期の7話か8話くらいだと思うんですが、朋也が風子にいたずらをして「風子マスターの称号を獲得した!」とか言うシーンがあったかと思います。これは原作の風子シナリオでもあるイベントなんですが、トリップ中の風子に気づかれずにいたずらを重ね続けると獲得する称号だったりします。では何の意味があるのか? 実は、トゥルーエンド後のあの場面で風子が登場するフラグになっているんですよ。ゲームでは、「風子マスター」の称号を獲得しなければ、エンディング後のあの場面(公子さんと風子、そして少女=汐?)すら登場しないんですよ。
 つまり、最後の場面の風子は、目標を達成して抜け殻になり、更に朋也によってトリップした状態で色々と仕込まれた、最終形態なんですよ。そして「風子マスター」という言葉どおり、朋也は風子をマスターしている…つまり、風子をコントロールできる存在だと言う事でもあります。風子シナリオではもちろん朋也がいましたし、AFTERの汐と遭遇した場面でも朋也が近くに居ました。が、トゥルーエンド後のあの場面での風子の側には朋也がいませんでした。なので、健気で純粋に目標にまい進してた頃の風子はおらず、更に暴走モードに入った風子をコントロールする存在もおらず、ただ暴走するだけの風子があの場面に現れた、ってことです。公子さんではコントロールできないんですよね。最終形態の風子は。
 
 と言うことなんですが…これで納得できますでしょうか(汗。アニメでは一本道でやってしまったためにわかりにくかったのですが、少しずつパワーアップしてるのに、それをコントロールできる朋也が近くにいなかったために、暴走を自重しない風子があの場面に出てしまった、と言うことがお解かりいただけたか…な?
 ちなみに風子があの場面に登場した理由は、渚好き〜汐好き=少女好きなのと、自身が学校と現実(入院している自分)の二つの世界に存在した、似た存在だったのと、汐の(中にいる少女の)匂いを覚えられる存在だったからなのと、この世界ではお互いに新たに生まれた存在だったこと、そして共に朋也に助けられ朋也と一旦は決別し、目標だったことを新たに探す同志だったこと、など色々な共通点があるからなんです。