一大ジャンルを築いた初音ミク=VOCALOID〜初音ミク -Project DIVA-初動10万本突破より

 今週の週刊ファミ通で見たんですが、初音ミク -Project DIVA-の初動売り上げが10万本を突破していましたね。PSPは今が旬のハードとはいえ、ドラクエ9の発売1週間前という時期にしてはものすごい売り上げじゃないかと思います(ドラクエとはハードもユーザー層も違うとは言え)。
 何がすごいかと言えば、初音ミクはゲームとは特に関係性もないところから生まれていること…つまり、ゲーム以外のジャンルから購入した人も多かったんじゃないかということです。ブランド買いでもなく、シリーズもの買いでもない。そういう作品が10万オーバーというのは、任天堂のゲーム以外ではなかなかお目にかかれないわけですから。
 もちろんそれまでの知名度が抜群だった、というのも一因でしょう。それがすべてかもしれませんが。ただ、ここで重要なのが、そもそも初音ミクを知ってこのゲームの購入までたどり着いた人の最初のきっかけは、無料のニコニコ動画を見てから、という事です。無料のメディアから発信されて、それがゆくゆくはビッグビジネスになっていく…。そもそもは無料から始まったものに、大手企業がお金が発生するものに変えていくというのは賛否ありそうですが、ただお金を払ってでも動くミクが見たい!とか思った人が多かったわけで。ニコニコ動画が生み出した下地が繋がっていったわけでしょう。
 またもうひとつ思うのが、「一過性のブームで終わらなかった」ことでしょう。初音ミクは出たての頃に空前の大ブームとなり、1万円以上もする音声合成ソフトが飛ぶように売れましたし、エロ同人誌が大増殖しました。ただ、ボーカロイド本来の使われ方をされずに、エロ語を話すモノとして使われたり、そういう同人誌しかなかったりなどかなり本来の使われ方からは程遠い内容のものでブームになっていて、当時ほとんど知らなかった僕は「何でキャラも確立されていないジャンルであんなに同人誌が出せるんだ?」と訝しく思っていたのを思い出します。
 そんなブームは一過性で終わり、その後はエロ同人誌としては下火になったんですが、その代わりに「本格的にDTMで音楽をやる人」と「そういう音楽を聴く人」だけが(ネタ音楽も含め)残ってジャンルとして成熟していきました。そして結果として純粋に音楽が好きな人が残っているのが、現状のボーカロイドジャンルではないでしょうか。
 このゲームだけではなく、ミクなどボーカロイド関連のCDの売り上げがオリコンを席巻しているのも、一過性ではない、分母の大きいジャンルになったということを顕しているんでしょう。むしろここからJ-POPがボカロメインになっていくような、そんな勢いも感じられますし。
 あまり、ミクを利用した金儲けが横行するのは避けてもらいたいんですが、ミクなどボカロを使った音楽がメインである限り、そしてミクなどを使って曲を生み出しているPたとがメインである限りは、まだまだこれからもジャンルの裾野は広がっていくんじゃないかって、そんな風に考えていたりするのです。

 PSP…持ってないからなあ。ゲームを買うにも、好きな曲が入ってなさそうなんですがどうなんでしょう(買ってない人)。