音無にとって本当に味方すべきは、ゆりたち死んだ世界戦線なのか、天使なのか?〜Angel Beats!考察

 以前のエントリで、音無がイレギュラーな存在だということを書きましたが、それは第三話まで見るとほぼ間違いないところでしょう。そもそも死因が無いですし、現世に未練があったかどうかも不明です。第一話ではむしろこの世界から出ていきたい、とさえ言ってました。この点だけでも、ゆりたちとは異なる異質さを含んだキャラだと言えると思います。
 一部では、音無が、本来この世界に行けるはずのない「自殺者」だから、と言う説もありますが、それは今のところよくわかりません。というのも、ゆりも死んだ理由がわからないですからね。それに、死に方を示唆するようなものがこの第三話までに用意された形跡もありません。なので死に方に対しての考察は今回はしません。
 それ以上に、音無がこの世界に及ぼした影響力の大きさの方が見逃せないと思うのですがどうでしょうか? 以前のエントリでも一部書きましたが、更にここは一歩踏み込んで、音無が「死神」的な役割を果たしているんじゃないか? という仮説を元に書いてみたいと思います。
 当初、このポジションに就いているのは天使だと勝手に思ってました。これは、放送前の各種イメージを見てると、どうも天使が裁いているような印象が強かったためだと思いますし、第一話で「天使は敵」「天使に従えば世界から消されてしまう」ということをゆりが説明していたからだと思います。
 ですが、実際にはどうでしょうか? 天使は攻撃されると自衛のために攻撃を開始しますが、自ら直接、戦線メンバーを攻撃するようなことはしません。それに、音無が第一話で刺されたところでもわかるように、一時的には「死んだ」状態にはなるものの、天使の物理攻撃(?)はこの世界からの退出には繋がらないようです。もっとも、天使によって明確に殺された(?)のは、実は第一話の音無だけで、後は対天使用のトラップに引っかかっての自爆ばかりのように感じます。

        • -

 そう考えると、天使は戦線メンバーを自発的に消そうとしているとはとても思えません。むしろ、第二話の対ゆりのところでは本気で殺しに来ているようですが、音無の突如のタックルによって阻止されていますし、あとは戦線メンバーの作戦を縮小させる方向で動いているだけのように思います。
 そういえばゆりを助けるべく音無が天使にタックルした際ですが、何故か生身でのタックルに天使が無防備に倒されてましたよね。あれはやはりイレギュラーなことだったのでは無いのかな? と思ってしまいます。というのも、天使は攻撃されてガードスキルを発動したときには攻撃を回避できますが、先制攻撃されたときには銃弾が貫いているんですよね。あの場面もガードスキルは発動してましたが、あれはあくまで相手がゆり一人だという場合のものであって、音無に対する備えが無かったからこそ、タックルをまともに受けたとも考えられます。
 また、天使は音無のことを、コントロールも動きの予期も出来ていない、ということにもなります。NPC?の生徒や教師たちの動きはある程度〜かなり制御しているようにも見えますし、間接的にゆりたち戦線メンバーの動きにも呼応しているようですが、音無に対してだけは、求めに応じで刺したり、お腹を撃たれてみたりと極端な対応になっているようにも見えます。
 そしてゆりは、音無を積極的に起用しています。仲間に引き入れるとすぐに中枢メンバーに入れましたし、第二話での特別扱いもありましたし、第三話でも天使の部屋への突入メンバーに組み入れていました。主人公とヒロインなんだから一緒に行動するのは当然なのかもしれませんが、それにしてはゆりは音無を優遇しすぎです。むしろゆりは、音無起用をゴリ押しして膠着状態だった対天使戦の突破口を築こうとしている感さえあります。そうなるとゆりが、音無を利用していることにもなりますよね。戦線メンバーの中でも、例えば天使を撃つことを躊躇ってみたり、天使の部屋のガサ入れに抵抗したりと、やたらと天使の方を擁護しようとしている音無を、ゆりは信頼して?起用しているわけです。ここに違和感を感じるのは僕だけでしょうか?
 天使は音無の行動を読めていない。ゆりはそんな音無に期待している。…敵味方なんだから当然と言えば当然なんですが、音無にとって警戒すべきはもしかすると、天使よりもゆりなんじゃないかという気さえしてしまいます。少なくとも「世界を自分たちの支配下に置く」と言うゆりたちの目的に、音無が加わっていること自体が実は異質な事なのではないかと思いますし、逆に天使を敵視する必要性は、今の音無には全く存在しないことにもなります。あるのは、揺らぎはあるものの、ゆりたち戦線メンバーへの親近感くらいでしょう。ただし、辛い過去や死に際、心残りなどを持っている戦線メンバーと、記憶のない音無とはそもそも相容れないと言うか、違う場所にいるようにも感じるのです。

    • -

 こうなってくると、後半に音無は、ゆりたちと天使の板挟みになるんじゃないかと予想してしまいます。天使がどういう存在なのかはよくわからないままですが、少なくとも音無の敵ではない。そして天使を倒したところで世界が手に入るわけではなさそう。そうした時に、打倒天使を掲げ、天使を追い詰めるゆりたちと、音無がずっと行動を共に出来るのかどうかが非常に疑問に思えてきます。過去を持つ者持たざる者としての軋轢も生まれるでしょうしね。そうなってくると音無は…まあ天使の側に寝返るところまでは行かないでしょうけども、天使に共感するものがあれば、自分の居場所に疑問を感じ、苦悩するくらいの場面は今後ありそうな気がします。
 麻枝さんのシナリオで、主人公の立場がブレまくる話とかはあまり無いので、見当違いなのかもしれませんが、そういう展開があってもいいんじゃないかとか、妄想してしまいましたが、どう思われたでしょうか?

Twitter「つぶやく」ボタン