Angel Playerの作成者は音無なのか天使ちゃん(かなで)なのか?〜Angel Beats! 考察

 最終回も終わったにも関わらず、依然として残された謎の多いAB!ですが、その中でも最も大きそうな謎である「AngelPlayer(AP)の制作者は誰?」ということについて書いていきたいと思います。
 大きな鍵となるのは、もちろん12話で出てきたNPCの第二コンピュータ室にいた彼の証言なんですが、彼の証言そのままでは誰も当てはまらないような気がするんですよね。
 もちろんここでは、音無が一番当てはまるでしょう。「愛を知り、ひとり去っていった彼女を待った」というくだりが、まさに最終回の音無とかなでの関係そのもののように思えますし、「ただ誰かのために生き、報われた人生を送った者が、記憶喪失で迷い込んでくる=AP作成者」というくだりなんかはまんま音無のように思えます。
 ただ、卒業していくべき場所だから、愛が芽生えたら影を創りだしてNPC化していく、というのが、音無の行動と相反するような気がするのです。音無はかなでを愛することで、人を愛することがどういうものかを知ったのは間違いないでしょう。しかしながら、じゃあなぜ愛が生まれたらリセットしなければならなかったんでしょうか? 他人への嫉妬なのでしょうか? どうもこの部分がしっくり来ないわけです。
 そして、音無が作成者だったとすれば、音無はループしていることになります。まあこれについては可能性としてはあるわけですが、僕ら視聴者に向けては何も明示されていないし示唆すら無いわけです(僕が読みきれていないからかもしれませんが)。「ひとり去っていった彼女を待った」のが音無であるならば、かなでは最初に死んでこの世界に来て、音無を置き去りにして成仏したけど、また転生して死んでこの世界に来た、ということになります。これって変じゃないでしょうか? 時間が長すぎた、という部分からこの案は有力ではあるんですが、心臓移植のくだりはじゃあどうなるのか? ということになるわけです。かなでは、最初にこの世界に来たときには、生前の音無とは関係なくて、たまたまこの世界に来た音無と恋に落ち、ひとり成仏して、次にこの世界に来る前に音無の心臓を移植されて少し生きながらえたものの死んでしまった……というのは、さすがに無理くりな気がするのです。
 それに、かなでにAPが適用されていたのはなぜ? というところにも疑問が湧くわけです。音無自身にはAPは適用されている様子は無いわけですし、12話の彼の説明とは食い違う部分が出てきます。

 そこで僕が考えている「AngelPlayer制作者はかなで説」を提唱してみます。結構シンプルに考えられるんじゃないかと思ってます。
 つまりは、待った時間があまりに長すぎたためにプログラムを適用した、という部分が、実はかなで自身にAPを適用したってことを示唆しているんじゃないかと思うわけです。
 「My Soul,Your Beats!」の歌詞を見てみましょう。この歌詞はかなで自身のことを歌っているものだという前提があるからではありますが。
 個人的には「あたしの中の時は止まってるのに」と「あなたに手を引かれてた」の部分が気になりました。時が止まっていたり日常を繰り返しているのは、つまりはNPCとして日常を繰り返しているだけで進んでいかないことを示唆していますし、手を引かれてたってところは、音無に手を引かれた釣り回を思い起こさせます。つまりは音無に呼ばれたことで、失われた記憶が呼び覚まされた、あるいはNPCだったのに時が流れ始めた、ということを言っているようにも思います。「幾千の朝を越え」という部分は、この世界にかなでが長く居ることを示していますよね。
 かなでがこの世界に長くいたり、NPCだったことを示す証拠はいくつもあるんですよね。例えば、麻婆豆腐が好物だということを忘れていたというあたりとか、マーボー豆腐に夢中で校則違反を忘れていたところとかは、まさにNPCだったことで記憶が止まっていたのか、あるいは長い時の中で本当に忘れてしまっていたのかどちらかでしょう。ついでに言えば、その前にテスト回でいじめられていたところの最後の場面で、生徒会長を解かれたかなでが一人で食堂に行きマーボー豆腐の食券を買ってましたが、あれもNPCとして、夜はマーボー豆腐を食べるというプログラミングが為されていてたからこそ行った不自然な動き、とすれば説明がつきます。それ以前は「生徒会長」という属性があったためにガルデモライブを止めようとした、とも考えられますし、会長という属性が無くなったためにガルデモライブを止める、というルーチンが働かなかったんじゃないか……と考えています。
 かなでの部屋にあったAngelPlayerのマニュアルも、NPCは記憶を蓄積できないのだとしたら、毎回思い出すことは不可能という感じになると思います。そうした場合、何か残るものとして残しておけば……となると、NPCになる前にマニュアルを残しておいて、NPCになった後でもプログラムを触れるようにしたのでは……? と考えられるわけです。
 音無を一突きにしたのも、APに入れられたプログラムという見方はできるんじゃないかと思ってます。殺しても死なない世界ということで、心音を直接聞くのよりもああいう形のほうがこの世界では自然に心臓を調べられるからなんじゃないかとか考えていたりもします。そういえば、ハーモニクスの赤い目の天使だって、戦線メンバーに対しては心臓を一突きでしたよね。PCに対してはそう攻撃する、というプログラミングされていると見て間違いないようです。ゆりっぺだけは違うんですが……。
 そして、もしAP制作者がかなでだとしたら、音無は一度死んでこの世界でかなでに愛され、かなでとは別に成仏して、また死んで戻ってきた、ということになります。最大限に都合よく解釈すれば、かなでは音無を一旦見つけて感謝の気持ちを伝えようとしたものの、音無が勝手にかなでのことを好きになって成仏してしまい、そしてまた、かなでは長い時間この世界で待つ間にAPを制作して自身に適用してNPC化した、ということにもなります。

 ただまあ、この説も穴は大きいです。MSYB!の「待ってる気がした 呼んでる気がしたんだ」というのは、かなでが音無に呼ばれていることを示しているものと思います。でももしそうだとしたら、かなでがAP制作者っていう前提はNPCの彼の発言からは崩れることにもなるんですよね。
 また、音無が二度死んだことになるわけですが、心臓はなぜどちらでも無かったの(たぶん)かが説明がつきません。
 でも、NPCの彼の証言がどこまで信用できるかってことでもあります。何せ、どちらにしても片方の一方的な考えや記憶しか引き継いでいないと思われますので。

 はっきりしたことはわからないし、もしかしたらその辺を曖昧にしているだけなのかもしれません。ただ、かなでちゃんがAP制作者だと結構想像が膨らんで面白いんですよね。都合よく解釈したほうが面白いのであれば、そちらの説を主張したいって思うのですがどうでしょう?
 反論や異論などがあれば、コメント欄にお寄せください。


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