「侵略!イカ娘」人気が示す、作中の恋愛要素・エロ表現不要の流れ

 アニメ記事で有名な某大手新聞社の記者や某TMRさんなど、イカ娘の侵略はとどまるところを知りません。torneでの今期アニメの予約者数も禁書IIに次いで2番目だという話もありますし、早稲田大学で行われたイカ娘イベントも満員で抽選になったそうですし、制作者側の予想を超えた人気の出方だと思います。あとは、ミニイカ娘のような変化球なエピソードだったり、最終回近辺の描き方次第でしょうが、更に人気が加速する可能性も十分に残されていると思います。男性オタクだけではなく、女性でも全く問題なく見れる内容ですしね。その意味ではけいおん!にも通じるものがあるんじゃないかと思ってます。
 そんなイカ娘ですが、イカということや、履いてなさそうな服だったり、ぷち胸だったり、泳ぐときは白スクだったり、触手など、かなりエロに直結するようなキーワードや属性?が備わっていたりするわけですが、個人的には性的に感じることが全くありません。イカちゃんの公式(アニメ制作側)エロ絵が発覚したときにも「イカちゃんのこんな絵なんて許せない!(→でも保存)」という書き込みが多かったことから、同じように考えている方はそれなりに多いのではないかと思います。
 それに加えて、イカちゃんが誰かに恋したり、または恋愛対象になりそうなキャラはイカ娘の作中には登場していないように見えます。たける(海の家の子ども)はさすがに小さすぎますし、チキンライフセーバーでもあり得ないでしょうし、そして他の男性キャラといえば……海の家れもんのライバル、南風の店主くらいのものです。悟郎→千鶴という図式こそ成立するかもしれませんが、イカちゃんの恋愛が描かれることはまず無いでしょう。エビに恋することはあるのかもしれませんが……。
 このように、異性として感じる(俺の嫁的な)要素がイカ娘には皆無だということが明らかだと思います。それでいて人気があるわけです。これって何に似ているかといえば……わかりますよね。「けいおん!」です。
 けいおん!は舞台が女子校ということもありますが、特にアニメでは、男性キャラを極力描かなかったり、具体的な恋愛観みたいなものは描いておらず、あるとすれば澪の歌詞や、さわ子先生の憧れの人のエピソードくらいのものでしょうか。どちらかと言えば百合寄りでもありましたしね。それに、エロい、と思える場面がほとんど無かったように思います。お風呂シーンとかはありましたが……。
 イカ娘は、イカちゃんの設定年齢的(13歳らしいのですが)にも更にエロに結びつくような描き方を為されていないように感じています。しかしながら、それでも人気が出ているわけです。どうしてなのでしょう?
 今期アニメの中で、話題性なら確実にトップなのが「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」ですが、俺妹はイカ娘とは対極すぎる描き方をしていますよね。出てくるキャラがギャルゲーのヒロイン的な属性や配置ですし、主人公は主人公的な描かれ方をしていますしね。視聴者側に好きなキャラは誰?と選ばせる感じがしています。

 個人的には、「安心感」を求めている視聴者が増えたのかな?と思っています。イカ娘だと、イカちゃんは誰ともくっつかない、誰に奪われることもない、みんなのイカちゃん、という感じで見ているのではないでしょうか? けいおんだって、例えばあずにゃんはしばらく男を作ることはなさそうだ、あるいは唯の嫁だから問題ない、的な見方をすることで、あずにゃんはみんなでぺろぺろするもの(ただし唯は特別)みたいな捉え方で愛でているように感じてますので、それにも通じるものがあるのではないかと思ってます。イカ娘なら、早苗に異常に愛されるイカちゃんですが、独占する早苗を途中でストップさせる栄子がいるので、視聴者的にも安心、となりますしね。

 一部で話題の「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」も、その意味では近いのかもしれません。こちらは逆にビッチキャラではありますが、特定のカップリングができるわけではありませんし、視聴者みんなにとって「天使である」という見方もできるわけで(パンティとストッキングは天使という設定です。ただし舞台は「ダテンシティ」なんですが)。パンストはかなり志向が違うのかもしれませんが、処女性を追求してない割には特定のカップリングを描いていないという面白さはあるのかと思います。
 今期アニメの「禁書II」や「俺妹」とは非常に対照的だと思います。前者はある程度カップリングが決まっているような感じですし、後者はギャルゲーチックな「俺の嫁」的なキャラで固められているように思いますので。こういう、ある程度道筋が製作者側で決まっている作品がある一方で、イカ娘やけいおんのように、大部分を視聴者側の想像に任せるような作品が主流になりつつあるのかもしれません。
 イカ娘のような作品で言えることは、男女問わず見れるところにあるでしょうね。男性オタク向けという作りではありませんので、幅広い年齢層に支持されやすい内容になっていると思います。けいおんAngel Beats!人気は、男性オタクだけではなく女性にも支持を広げた結果だったことを考えると、カップリングを意識しなかったり、露骨なエロを連想させないイカ娘のような作りをする作品が、これからアニメ化する作品の傾向になるのかもしれません。

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