ガルデモラストシングルがオリコン週間2,3位だった理由とは?

 Angel Beats!のガルデモことGirls Dead Monsterのラストシングルとしてリリースされた2枚が、オリコンウイークリーチャートでそれぞれ2,3位に入りました。アニソンとしてこれだけの数字や順位になった事自体も凄いことではあるんですが、これがアニメの放送中や、放送終了直後に出たものではなく、放送終了後半年が経過した現在のものであることが何よりの驚きではないでしょうか?
 ガルデモのシングルといえば放送中に3枚出ましたが、最後のLittle Braverが初動3万9000枚だったことを考えると、今回は3万5000枚ということで、順位だけでなく数字としてもほとんど減っていないということになります。累計では、売り切れが続出してアニメの盛り上がりや音楽の認知度が上がっていった、放送中に発売されたシングルのほうが上回ることは確実だとは思いますが(2週目の集計でもそれぞれ6000枚程度売れていて、累計ではあっという間に4万枚突破しました)、それを差し引いても十分にインパクトのある結果になったように思います。今期アニメ関連曲で、一番よく売れている「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の主題歌「irony(ClariS)」が累計でようやく4万枚突破したくらいと考えると、よりその数字の大きさがわかると思います。
 では、なぜこのようによく売れたのでしょうか? 大手着うたサイトなどでの取り扱いがないためにCDを買わざるを得ない事情ももちろんあると思いますが、着うたよりも高いCDを買った人がこれだけいる、ということ自体が凄いことじゃないかということです。
 Angel Beats!という作品自体を手放しで褒めてる人がそれだけ多い……とは思っていません。僕自身もそうですが、ホームである鍵っ子たちでも評価が分かれていますし、アニメをヘビーに観ている層にもそれほど好かれた作品とは言えません。逆にBL好きな女性層にはかなり浸透していたりするのですが、なのでAB!という作品に対して高評価な人ばかりが買っているわけではないと思います。ではどうして売れたか? それは、ガルデモというバンドの音楽そのものに価値を見いだしている人が多かったからではないかと思っています。
 そもそもこのガルデモラストシングル自体、今出すことに作品的な意味は全くありません。作品自体は、アニメ本編が終わった段階で終わってますし、アルバム「Keep to Beats!」リリースで、AB!の一部としてのガルデモも終わったはずなんです。言わば蛇足。年末に開催されるガルデモラストライブのためや、ボーカルであるLiSAさんやmarinaさんらに対する餞別的な意味合い、AB!ファンに対するグッズ的な意味合い、もうひと商売的なものや、BD/DVD最終巻へのテコ入れ的な意味合いなど色々と思惑はあったかと思います。実際に年末にはAB!関連書籍の発売も集中していますしね。ただこのセールスは皮肉にも、ガルデモの音楽としての需要の高さや、放送終了後かなり経過したにも関わらずの注目度の高さを浮き彫りにしたように思います。
 2種類のシングルの売り上げに大きな差が無いので、ほとんどの人はセットで買っていったのだろうと思いますが、岩沢のボーカル役だったmarinaさんの再登場を期待するファンは多かったので、売り上げには大きく貢献したとは思います。
 もっと言えば、AB!本編において、ガルデモの存在意義はさほど高くはありませんでした。本編の流れから言えば、いてもいなくてもというレベルで。ただ、それが逆に、Angel Beats!という作品とガルデモ音楽との間に大きな依存関係を作ることなく、ガルデモ音楽単体での価値を高めたように思います。けいおん!!における放課後ティータイムは相互依存していますが、それとは違うように考えられると思います。
 それもこれも、麻枝さんの作る曲が、ガルデモであれば光収容さんの編曲が、あるいはボーカルのmarinaさんやLiSAさんの歌声が素晴らしかったからこそなんでしょうけどね。

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