魔法少女まどか☆マギカの物語は何処からがイレギュラーなのか?〜6話より

 6話まで観ましたが凄かったですね。杏子が予想以上に良さそうなのでこの先も出来るだけ活躍させて欲しいと思いました。
 さて、個人的に凄く引っかかっているのが、1話冒頭でほむらが何故1人で戦っているかという点ですが、今回の6話を見てて更にその疑問が強くなりました。というのは、杏子のことをほむらは「あなたの仲間は……」という風に言って仲間扱いしていたんですよね。
 杏子はさやかのことを「潰しちゃえばいい」とは言いながらも、ほむらには自分のお菓子を差し出したりしていて、特に敵対するような感じではありませんでした。ほむらも、さやかよりも杏子のほうがこの町を縄張りにするのが相応しいと、真意は別のところにありそうですが杏子の力を認めているからこその動きだったように思います。ワルプルギスの夜(?)が1話冒頭のあれなのだとしたら、あの場面でほむらが一緒に戦ってほしいパートナーとして、さやかではなく杏子を選んだのと、そこにまどかは必要ないと言っているのかな? と思います。
 ただ気になるのは、もし未来をほむらが知っているのだとすれば、ほむらはその未来を変えようとしているのかどうかと、変わっているのかどうかな点です。知らない可能性ももちろんありますが、どうも自らか大切なもののために未来を変えようとしているように思うのです。そしてその中でも熱心にしているのは、まどかを魔法少女にさせないこと、なのです。これが意味していることは何なのか? ちょっと考えてみたいと思います。

  • ほむらが、まどかの魔法少女化を阻止している真意とは?

 結局そこはわからずじまいですよね。そもそもほむらが、この世界を救うために動いているのか、あるいは他の目的のために動いているのかが不明だからです。それはキュゥべえに関しても言えるのですけども。あとは、ほむらが「まどかが魔法少女になった未来が悪いものになることを知っている」のか、単にさせたくないだけなのかも気になるところです。それによって、ほむらは未来を知っていてループしているのか、単に予想や自分の考えだけで動いているのかがわからなくなるからです。
 なので、まどかが魔法少女になることがイレギュラーなのか、逆にまどかが魔法少女にならないことがイレギュラーなのかが現時点では全くわかりません。ループなどしていないのだとしたら、レギュラーもイレギュラーも別に関係なく、これから描かれる物語こそが真実でしかないわけですが。

  • そもそも何処からがイレギュラーなのか?

 もしイレギュラーが重なっているのだとしたら、何処からがほむらにとってのイレギュラーなのでしょうか? 個人的には、さやかが魔法少女になったり、杏子が見滝原市に来たりしたあたりはどれもイレギュラーなのではないかと思っています。しかし、さやかが魔法少女になったり、杏子が見滝原市に来たりしたその発端を考えると、マミが殺されたことに繋がってるような気がします。マミさえ死ななければ、さやかの魔法少女化はもっと遅れたようにも思いますし、杏子がここにやってくることにもならなかったわけで。
 ほむらの行動は、まどかを魔法少女にさせないための一点だと考えると、そうさせてしまう方向に動いてしまうキャラは好ましくなく、逆に遠ざけてくれそうな存在は好ましいということになります。なので杏子には近づいたんでしょうね。杏子が他人を顧みない、魔法少女としては考え方が近いというのもあったのでしょうが、甘さを見せない分、まどかから魔法少女というものを遠ざけるためにはうってつけの存在だったということだと思います。逆に、さやかが魔法少女になったことは悪い方向でのイレギュラーだったとすると、イレギュラー同士で相殺するような考え方もあるのかもしれませんね。
 マミが殺されたことがイレギュラーになっている可能性ですが、あり得なくないんですよね。マミは、恐らくはあそこで殺されるわけではなかったと思います。ただ、彼女がそのまま生きていたとしても、ほむらとは利害が一致しないのか考え方が合わないのか、あるいはキュゥべえの存在がネックになるのかで共闘できないままだったと思いますが。
 ただそれだと、ほむらは強大な敵に対して1人で挑んで敗れる、という流れにしかならないんですよね。そうなると、むしろほむらは1人で戦いを挑み続けるループを自らが望んでやっていることにもなってしまいます。そういえばキュゥべえが1話冒頭でまどかにそんなことを言ってましたよね。ワルプルギスの夜と1話冒頭のシーンはもしかすると関係ないのかもしれません。色んな人間を巻き込みたくないからこその単独行動かつ、まどかへの魔法少女への逆説得、という見方もできると思います。

  • ほむらがさやかのソウルジェムを必死になって取りに行った理由は?

 ほむらは、さやかをこの町の魔法少女として認めていませんし、あまり関心は無さそうではあったのに、6話ではまどかが投げてしまったソウルジェムを必死になって拾いに行きました。杏子にやられそうになった場面でも助けてるじゃん、と言われそうですが、あれはまどかが魔法少女になろうとしたから登場したに過ぎない気がします。
 そもそもさやかの性格は魔法少女として最悪だとも言ってますし、他人のための願い事を使ってしまったあたりは、杏子やマミでさえ否定的だったことを考えると嫌悪する対象にさえなってしまうと思います。目的のためには手段を選ばないのが、ほむらや杏子、キュゥべえあたりってことを考えると、さやかやまどかの性格とは全く相容れない気がしますしね。でも助けに行ったわけで。それはどうしてなんでしょうか?
 個人的には、魔法少女であることへの悲哀みたいなものを強く感じていて、どうしようもないようなこと以外での魔法少女の死に対しては動いてしまうのかな、と思いました。そういえば3話でマミが殺された場面でも「まさか……」と言ってましたしね(あれは、魔女にやられるにしてもソウルジェムごと破壊されたということに対しての「まさか……」なのかもしれませんが)。杏子がさやかを潰そうとしていたのも、ソウルジェムさえ破壊しなければ死なないことをほむらは知っていて、杏子がそこまではしないだろうと考えていたような気がします。
 ただ、まどかの魔法少女化を阻止するという意味では、最良の方法ではありませんよね。さやかはまどかの魔法少女化を止めるどころか、経験もセンスも無いさやかがピンチになる場面を作ってしまい、それを救うためにまどかが魔法少女になってしまう、という可能性を増やしてしまうからです。それでも、さやかを見殺しにしなかったのは、やはり同じ魔法少女として何かしらの感情が働いたからではないでしょうか。なので、ドライに見えるほむらですが、ドライを装っている感じが見て取れると思います。
 とまあ、何でこんな必死になって取りに行ったかと言えば、まどかの行動があまりにもイレギュラーだったからなのは間違いないところでしょうが。

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 結論としては、ほむら自身がイレギュラーを起こそうとしているのか、全くの逆でほむらはイレギュラーを潰しにかかっているのかもしれません。どっちやねん!と言われそうですが、どっちにも取れる動きをほむらはしているんですよね……。恐らくは前者で、まどかが魔法少女になった未来が悲惨なことになるのを阻止しようとしているんでしょうけど、巻き込まずに自分だけが過酷な運命を背負うためにも思えます。
 煮え切らずに申し訳ないですが、これも、まどか☆マギカがわざとまどかとさやか以外のキャラの心情描写をしていないために起こる、解釈が確定せず先が気になるという現象を呼んでいるように思います。

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