悪意のない世界に唯一抱かれる悪意と、それがもたらす結末とは 〜魔法少女まどか☆マギカ7話より

 魔法少女まどか☆マギカが盛り上がっています。てかここまで鬱展開しかない作品なのに、というのが面白いですね。やはり刺激が足りないと思っていた人が多かったということかもしれませんね。鬱展開はともかく、非常に「魅せる」作品になっているのは間違いないでしょう。

 さて今回は、7話で各キャラの根本的な考えが明らかになってきたこともあり、その辺を観ていこうと思います。
 このまどか☆マギカの世界って、基本的には「誰も悪意がない」んですよね。悪徳勧誘してると言われているキュゥべえでさえ、価値観が違いすぎるだけで悪意はなく、むしろ魂を抜き取ってソウルジェムに変換する行為を良かれと思ってやっているわけです。杏子も最初は正義だと信じて魔女退治をしていたわけですし、家庭が崩壊した後は自分のためだけに魔力を使うようになっただけですし(まあ万引きとかしてるみたいですが……)。ほむらはよくわかりませんが、やはり自分の中で正しいと思うことをしているだけな印象です。まどかに至っては、不幸は呼び寄せてる気はしないでもありませんが、本人には悪意など存在しません。まどかの家族や仁美ちゃんにも特に悪意はありませんよね。
 この世界で唯一、明確な悪意を抱くキャラが美樹さやかなんですよね。ほむらに対しては敵意を剥き出しにしますし、杏子ともある程度和解はしましたが一時は完全に敵でしたし、上條くんへの好意を明かした仁美には「助けなきゃ良かった」とかまどかに明かしていますしね……。杏子はキュゥべえに対してサバサバとしている感じですが、さやかは明確に嫌っていますし、性格的に敵を作ろうとし過ぎるのがさやかなんだと思います。
 願いで生まれるものが魔法少女で、呪いで生まれるものが魔女という世界観なので、さやかって非常に魔女に近い存在なんですよね。次回で魔女化してしまうのでは? という憶測もありますが全く否定は出来ないところが恐ろしいです。
 そんなさやかの心の拠り所が、まどかや仁美、そして片想いしてる上條君なんですが、まさにここに入り込み始めているんですよね、悪夢のような展開が。さやかから距離を置こうとしている上條君はもちろん、本当なのかさやかの背中を押すためなのかはわかりませんが上條君への片想いを告白した仁美。この二人はさやかの拠り所だったはずが、今やもう爆弾になってしまっているように感じます。上條君がさやかの告白を拒む、あるいはさやかを拒絶する展開があれば、心の拠り所だけではなく、自身が魔法少女になった意味すら失う事にもなりますし、それが憎しみへと変換されてしまいそうな雰囲気があるんですよね。
 杏子の過去はさやかと同じようなシチュエーションながら、自暴自棄にも他人への憎しみへも変化させず杏子は自分のためだけに生きる道を選びますが、さやかはそうならない可能性が極めて高いように思います。杏子の場合は、願いを叶えて幸せになるはずだった家族が無理心中してしまったがために、叶えた相手がいなくなって、願いが呪いに変化してもぶつける対象が無かったわけですが、さやかには存在しますよね……。仁美はさやかの背中を押すために嘘を付いているだけだったとしても、例えば上條君は他に好きな人がいてそれが仁美だったとしたら、とか考えると非常に怖い展開ですし、さやかの憎しみも増幅しそうです。
 そこでまどかの存在が出てきます。まどかは今、唯一さやかの心の拠り所になっていますが、もし最悪の展開になったときに、まどかの存在がその負の感情を越えられるかどうか、という話になってきそうな気がします。あるいはさやか自身が、唯一すがれる存在であるまどかを拒絶するかどうかという展開かもしれませんが。そうなると、もうさやか自身はバッドエンド以外の道がなくなってしまうように思います。ただ、まどかって過度に依存してしまうとその相手を滅ぼしてしまう可能性もあるんですよね。まあマミがそうだったわけですが……。ほむらがまどかに対して素っ気ない態度を取り続けるのも、必要なことしか言わないキュゥべえみたいな側面があるのとは別に、仲良くなりすぎることを警戒しているような気がするんですよね。ほむらは杏子に対しては友好的ですし、仲間を作れないってわけではなさそうなので。そうなると、さやかはまどかに依存しすぎてもアウト、ということにもなってしまいますが……。
 まどかがあまり関与しない感じになってしまいますが、もしこの予想通りの展開になれば、まどか自身は親友二人を一気に失うことにもなってしまいますよね。まどかは特に何もしていないのに、です。少しのすれ違いが悪いほう悪いほうへと導いていく流れになっているこの作品なので、あり得る展開じゃないかと思っています。
 そういえば、ほむらはさやかのことを「諦めなさい」とまどかに何度か言ってますが、何処までを諦めろと言ってるのかが気になりますね。願いの性質や内容からなのか、あるいはさやかの性格的な問題なのか、魂を抜き取られてゾンビ化されてしまっていることだけではなく、精神も崩壊して破滅するところまでを指し示しているように思えてなりません。

                    • -

 次回予告も含めて、さやかの死亡フラグが立ちすぎていて逆に大丈夫なんじゃないか? とも思ったりはしますが、これだけの材料がある以上もはや逃れられないような気がしていますが、果たしてどうなることでしょう? また僕らの斜め上の展開になるのか、次回が待ちきれませんね。

Web拍手送信