まどかマギカ10話の分析と、そこから導かれる結末を考えてみた〜魔法少女まどか☆マギカ10話 考察

 色々とありすぎて頭の中でなかなかまとまってこないまどマギ10話でしたが、皆さんはどう捉えたでしょうか? まさかのメガネっ娘設定だったほむらちゃんにいきなり驚かされ、最後のコネクトの入るタイミングの神っぷりもあり……とても1話30分以内で収まる濃度では無かったようにも思いますが、ある意味であれを1話でやってしまったあたりの凄さも感じました。そして重い。
 まさに「ほむら☆マギカ」だった10話でしたが、どういうルートがあったか、その結果として何が起こったのかを整理しながら、9話までの展開で何処がイレギュラーだったのかと結末はどうなってしまうのかを合わせて考えてみたいと思います。

  • ほむらが魔法少女にならなかった→最後になってまどかを救う決意をした

 魔法少女はマミとまどか。ほむらはまどかにひたすら守ってもらう、本編の9話までとは全く逆のシチュエーションでした。マミとまどかではワルプルギスの夜には対抗できずやられてしまい、まどかを助けるべくキュゥべえと契約し、「あの瞬間からやり直したい」という願いを叶えて魔法少女になるわけです。そういえば、まどかはほむらを魔法少女には勧誘しませんでしたね。
 他のルートに比べると、ほむらがまどかの死を受け入れさえすれば、知らなくて良いことも知らずに済みましたしバッドエンドはバッドエンドですが、まどかとしては悔いのない魔法少女人生だったとも言えます。まあそこで抗ったからこその始まりですが、ある意味で悲劇の連鎖の発端とも言えます。

 ほむらが転校初日から魔法少女になっていたことを明かす、魔法少女初心者ルートです。マミとまどかに手ほどきしてもらい、でも攻撃力がまるで無いほむらは一般の武器で戦うスタイルを確立してしまいます。
 最終的にはワルプルギスの夜に対して3人ともが討ち死にして、まどかは魔女化してしまいます。そしてそのカラクリに気づいたほむらがキュゥべえの企みに気づいて時間を戻します。
 このルートは……マミは1ルート目と同じで、まどかが死ぬか魔女になるかの違いだけではあります。これってつまり、ほむらが魔法少女として一緒に戦い、最後まで魔女の結界に留まり続けた結果知ってしまったこととも言えますよね。9話でさやかが魔女になってしまった時も、さやかの死体と魔女とは別個体でしたし、結界の中で魔法少女が死ねば後には何も残らない仕組みみたいなので。ほむらが先に死んでしまっていたり、まどかがソウルジェムを砕かれるようなやられ方をしていればわからなかった事実、なのかもしれません。だから何というわけではありませんが。

  • 魔法少女同士で殺し合った後、魔女化しそうになったまどかをほむらが殺す

 魔法少女オールスターズというルートです。キュゥべえの悪事をほむらは語りますが、さやか筆頭にまるで聞き入れようとはせず、それどころか当時は敵対していた杏子と通じているとまで言ってしまいます。さやかとほむらはそもそもあまり相入れるところが無いのですが……。そもそもまどかと親友だったさやかと、後からそこに入ってきてまどかと仲良くなるほむらとは相性がわるいのも当然なのかもしれません。何せさやかはああいう性格なので……。
 その後、魔女になってしまったさやかをほむらが時間操作を使って木っ端微塵にしてしまいますが、魔法少女→魔女というカラクリを知ってしまったマミが発狂し、味方になっていたはずの杏子を殺し、更にほむらをも手にかけようとした時にまどかがマミを殺してしまいます。そしてまどかとほむらのふたりで挑んだワルプルギスの夜には敗れてしまい、まどかの願いで魔女化する前にほむらがまどかを殺すという、あらすじを書いていても「どうしてこうなった……orz」としか思えない悲惨なルートかつ結末でした。
 このルート、最初にほむらが言ったことを聞き入れなかったさやかの存在が邪魔なようにも思えますが、そのさやかは魔女になってしまうことであまり関係なかったようにも思えます。ただそこからの不幸の連鎖が酷い。魔法少女として魔女を狩ることを正義とし、そこだけが魔法少女である自分自身のアイデンティティだったマミにとっては、自分たちの成れの果てが戦ってきた魔女というのは絶望でしか無かったでしょう。そして、殺した相手が杏子だったことが一番の悲劇だったように思います。彼女はご存知のように、全魔法少女で精神力が最強ですからね。そんな支柱をいきなり殺してしまったことで、より崩壊が早まったように思います。もちろんここでほむらが殺されていれば、このループの連鎖そのものが終わってしまうわけですけど……。
 杏子が参戦していたのは、間違いなくさやかが魔法少女だったからなんですが、さやかが魔法少女にならなければ2ルート目と同じ道になってしまうんですよね。さやかもしくは杏子と共闘出来たという意味では、よりワルプルギスの夜には立ち向かえる心強さがあったのかもしれません。でも結果的には魔法少女同士で殺し合い、まどかもほむらも魔法少女をその手にかけたわけですから最悪もいいところです。恐らくは仲間割れなどでソウルジェムも穢れやすかったのではないかとも思います。魔法少女の数が多すぎて、グリーフシードに余裕が無かったこともあるのかもしれませんが。
 気になるのは、このルートで何故杏子が出てきているのか、です。杏子は本編ではマミが死んだタイミングで出てきているからです。さやかが途中で杏子のことを敵扱いしているので、皆と対立する形で出てきているのは間違いないでしょう。が、その糸口と、結果的には本編と同じく杏子はさやかを救う側に回っているのがどう繋がっているのかが、描かれていないだけに気になります。キュゥべえが暗躍したんでしょうか?
 結果このルートでほむらは、魔法少女同士の共闘など出来ないことを知ったのではないでしょうか? 少なくとも、マミは信用ならないしさやかは魔女になってしまうけど、杏子は根は信頼できることは学んだように思います。また、最後に魔女になってしまう運命であれば、まどかをどうやっても魔法少女にはさせられない、ということにも気づいたのでしょう。

 3ルート目で学んだことを極端かつ忠実に生かしたルートです。ただ、ワルプルギスの夜に対してほむら単独では無力過ぎた感じです。このルートではマミやさやか、杏子がどうなったかが全くわからないのですが、もしかしたら、マミやさやかはほむらがどこかで殺してるのかもしれませんね……。杏子はマミかさやかが出てこなければ現れないでしょうから。そのくらいやりそうな決意がこのルートのほむらからは感じます。
 結果的には、ワルプルギスの夜という強大な敵と戦うには、キュゥべえに気を回せなかったということでもあるのかと思います。隙を作ってしまったというか。そして、強大な魔法少女として契約したまどかは、ほむらが止められないような暴走っぷりだったのか、あるいはまどかの魔法少女化を避けつつ全ての魔女を狩ることに集中するあまり、ほむらはまどかとはほとんど接触しなかった可能性もありそうです。まどかはやられているほむらを観て誰かも言ってませんでしたからまどかと全く面識がなく、そもそもほむらは転校生としても現れていない可能性があります。
 ということで、ほむらはまどかと全く接触のないままでは自分の言葉も聞き入れてはくれないことを学んだのかもしれません。また、ほむら単独ではワルプルギスの夜には勝てないことも。なので、どちらにしても自滅する、あるいは信用できなかったり戦力的に微妙なマミやさやかはどうでもよく、信頼に足る杏子とは共闘を模索する本編のルートに繋がったように思います。
 とはいえ、結構詰んでるんですよね。それに、まどかを魔法少女にさせないようにするのとまどかを守ることは最優先だとしても、杏子を味方に引き入れないといけなかったりしなければなりませんし、結構大変だと思います。なので、最初はマミに、次にさやか、そして杏子と、自分が常には出来ないこの街の魔女狩りを託す相手を模索していたのかもしれません。

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 このような感じでした。詰んでいるように見えることが、さやかに「全てを諦めたような目をしてる」と言われた原因なんでしょう。彼女は鋭すぎるんでしょうね(汗。それ故苦しみ破滅するような気がします。
 それでは、次にいくつかの疑問を挙げた後、9話までのルートの何処にイレギュラーがあったのかを考えていくことにしましょう。

  • マミは魔女になっていない? まどかが魔女になるかどうかの境目は?

 気になるのは、割と穢れを溜め込みやすそうなマミがいずれの死の場面でも魔女になっていないことです。もちろん、魔女になってしまうのは、魔力の使い過ぎ+精神的な破滅でソウルジェムが濁りきってしまった時に起こるわけで、マミが死んだ1〜3ルート+本編3話ではいずれもソウルジェムを砕かれる死に方をしたということにもなるわけですが……。もしかしたら、マミは魔法少女になるときに既に死にかけていましたから、更に新たなものとして生まれ変わることは無かったのか? という意味もあるのかもしれません。
 そして、まどかが魔女になるかならないかの違いですが、1,2ルート目のまどかの違いにもよりますよね。1ルート目ではまどかの死体だけが残されましたが、2ルート目では結界内で魔女になってしまいました。これちょっとよくわからないのですが、マミが本編3話で死んだ時には死体は結界内に残されたままになりましたので、ソウルジェムを砕かれるような死に方をした場合には残らないものと思います。ただ本編3話のマミはぐちゃぐちゃに喰われて形が残らなかったから……とも考えられますが。また、さやかのように明示的に連れて来た場合は魔女化した際にでも残せるのかもしれませんが……ここはよくわかりませんね。

 これは何となくわかりますよね。1ルート目は負けたのかどうかすらわかりませんけども。つまりは、まどかがすんなり魔法少女になっているから、ではないでしょうか? まどかがどういう願い事で魔法少女になったかがわかりませんが、少なくともマミや杏子のような強い願い事では無いはずです。また、マミなど周りに魔法少女がいて彼女らと協力して戦ってきたこともあるのかもしれません。4ルート目のまどかは恐らく、ほむらの徹底的な魔女狩りキュゥべえ抹殺のために魔法少女のことなど何も知らず、ただほむらとワルプルギスの夜との戦いをいきなり見せられて「世界を救う」くらいのでかい願い事で魔法少女になり、ワルプルギスの夜を倒す代償として世界を破滅させるようなとてつもない魔女になってしまった、ということなんでしょう。
 ということは、9話までの展開であれば、まどかが魔法少女になったとしても、個人的にはさほど強い魔法少女にはならないのかな? と思うのですがどうでしょうか?

  • そして、今回のルートはどこがイレギュラーなのか?

 9話までにほむらが歩いてきたルートは、3つ目のルートと4つ目のルートを合わせたような感じではないかと思ってます。さやかは例えまどかが魔法少女になってても関係なく魔女になってしまうようで、むしろ1,2つ目のルートでさやかが出てきてないのは、キュゥべえとさやかが出会ってないから魔法少女になってなかったのか? と考えることが出来ます。
 ほむらが単独でワルプルギスの夜と戦って負けた4つ目のルートのようですが、中身はずいぶんと違うんですよね。まどかは魔法少女としてのリスクを嫌というほど叩き込まれてますし、ほむらのことも十分知ってますしね。1〜3ルートのような友人関係とまではいかないまでも。まどかは決して他人を完全に拒絶することはありませんから、ほむらがさほど仲が良くなくとも、例えキュゥべえをいきなり蜂の巣にした後に泣きつかれるような訳の分からない行為をされても、完全に嫌うことは無いはずです。
 イレギュラーと言えば、マミが早期に脱落したことでしょうか。1〜3ルートではマミはそんな初期の魔女にはやられてないんですよね。じゃあ何故3話でほむらはマミに代わってシャルロッテを倒そうとしたのか? ってのもわからなくなるんですが。マミがまどかの魔法少女化に関与していて、シャルロッテと戦う場面で契約しているのか……? とも考えられるのですが、死んでしまいますからね……。3話でほむらの拘束が解けた時に「まさか」と言ってますし、その前に拘束されたことも想定外だったと思いますので、シャルロッテそのものがマミとは相性が悪いことを知っていたのと、マミが戦ったことのない魔女だったというあたりが、ほむらが倒そうとした理由なのかもしれませんね。このことから、ほむらは本当はマミを死なせないように進みたかったものと考えられます。ここで一つほむらの計算が狂ってしまってる気がします。
 さやかの魔法少女化と杏子襲来は想定通りっぽいですね。キュゥべえと出会ってしまったさやかは、ほむらがどうしようとも魔法少女になって魔女にまでなるんでしょう。それこそ「統計上」確実なんでしょうか。杏子が魔女さやかもろとも死んでしまうことは計算外ではあったと思います。奇しくも10話4ルート目の展開と同じく、ほむらとまどかしか残っていない状態でワルプルギスの夜を迎えるという意味では、杏子を残せなかったほむらの計画は上手くいってないと言えるのかもしれません。
 ただし、まどかに魔法少女のリスクやキュゥべえの企みを叩き込んだという意味では、ここまでのほむらの繰り返してきた経験が伝わったと思います。それを早期に知るためには、さやかの魔法少女化とセットでさやかの魔女化が必要だったわけですが、奇しくもまどか自身がさやかのソウルジェムを投げるという「ちょっと間違えてみた」行為こそが、まどか自身に早期にリスクを知る機会にもなっていたと考えられます。それでもまだまどかは魔法少女になろうとしてますが……。ただ、そんなリスクを知りながらもなお魔法少女になるような願い事が出来てしまうと、強力すぎる魔法少女になってしまい、結果として10話4ルート目よりも酷いことになってしまう気がしますが……。ほむらがまどかとそれなりに意思疎通をしていることで、話を聴いてもらえる状態なのは良いのかもしれません。
 ほむら自身には、杏子の決意と生き様は心に届いたんじゃないかと思います。そういえばほむらはこれまで、杏子と共闘したことは1度しかなく、魔女さやかを杏子が倒せるのか、あるいはどう倒すのかは全然観てないんですよね。魔法少女同士で殺しあった10話の3ルート目は、ほむらにしてもマミにしてもまどかにしても、互いを殺す時に相手の気持ちを知ろうとはせずに問答無用に殺してますから。でも9話の杏子(とまどか)はそれをせず、真剣に魔女さやかに気持ちをぶつけて、さやかの気持ちも知ろうとしながら対峙しました。この辺のやり方はほむらにとって考えたこともないものでは無かったかと思います。

  • 結末は?

 まずは、まどかを魔法少女にするか否かになると思います。ほむらはひとりでワルプルギスの夜に対峙することになりそうですが、それだと10話4ルート目のようにほむらは負けて、結果的にはまどかが魔法少女として契約してしまう流れになってしまうでしょう。見ず知らずだったはずの時のほむらでさえ助けようとして魔法少女として契約するくらいですから、きっといくらリスクを知っていたとしても魔法少女になってしまうでしょう。
 仮に魔法少女にならなかったとしても、ほむらが死ねば魔女になるか死ぬかなので、その後のまどかが幸せになったかどうかを確認する手立てがありません。それにそうなってしまえばやり直しも効かなくなってしまいます。
 まどかが魔法少女になって魔女になってしまい、そこにほむらが心を裸にしてぶつかっていく……杏子が魔女さやかにやったのと同じ方式がひとつのやり方なのかもしれません。ワルプルギスの夜を倒せるのは、願い事の規模が巨大になったときのまどかしかいないみたいなので、ワルプルギスの夜を倒すためにまどかが魔法少女になり、倒してしまう。そしてその後の反動として魔女になってしまう……と。10話4ルート目ではそんな魔女まどかにほむらは対峙しようとはしてませんでしたし、ある意味この場面との対比と違う選択肢を選ぶ意味でも、今度はそんな魔女まどかと正面から向き合うような場面がクライマックスなのかな? と考えるのが自然だと思っています。
 あるいは、ほむら自身が魔女になってしまい、まどかに後を託すというのも、捨て身のやり方ですがあり得るのでしょうか。ある意味ではほむらはやり直せることを逃げ道として使っている気もしますので、もうほとんどのルートを試してしまい、このルートに賭けるしかない、という決意が彼女にあるのだとすれば、彼女は命すら賭けてもまどかに託すことも考えられそうです。何せ最後には「愛と勇気が勝つストーリー」(杏子談)らしいので、こういうやり方もあるのかな? と考えています。自分がやるのではなく、相手に託すほうがより意味が重くもなりますし、信頼度も高くないと出来ませんしね。その場合、ワルプルギスの夜をどう倒すのかとかが気になりますが……。
 気になるのは、ほむらのループが「能動的に起こせるもの」なのか「時限的な感じで起こるもの」なのかです。コネクトの歌詞にある『いつになったらなくした未来を 私ここでまた見ることできるの?』という部分が、手詰まりになってなくしたという意味でのものという解釈も出来ますが、実は願い事が自動発動していて無限ループになっていて、あの瞬間から時間が前に進まない呪いにもなっているのだとしたら……。もしそうだとしたら、ほむらは生きてはまどかの幸せを見届けられないということにもなってしまいますが……。

 いずれにせよ、虚淵さん流のハッピーエンドは精神的なもののようなので、肉体的にも精神的にも救われるような終わり方にはならないように感じています。ので、このふたつあたりが結末としては相応しいのかもしれません。

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 いかがでしたか? 長くなりましたが、自分で整理していて気づいたこととかを全部書いてみましたが、少しはわかりやすくなりましたかね? ある程度結末が導き出せたとはいえ、これらをあと残り2話でどう展開させ描いてくるかを考えると非常に怖くもあり楽しみでもあります。しかしラスト2話を残してまだ結末がハッキリとはわからない作品もなかなか無いでしょうね……。
 この10話だけで、まどかもほむらも大好きになりましたw 元々まどかとか好きでしたが、もう好きすぎますねw ストーリーの進行とともにではなく、印象的な1話でキャラ立てをする作りなのは素直に凄いと思いました。最後までちゃんと放送してくれるのか情勢的に非常に心配ですが、何時まででも待ちたいと思います。

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