ギャップと後付けの魅力のまどか☆マギカ〜魔法少女まどか☆マギカ 考察

 最後まで放送されるかどうかが、情勢的に非常に怪しくなってきたまどか☆マギカですが、10話まででも既に神作品という認識で、それは恐らく変わらないと思っています。
 さて、そんなまどマギですが、後半にかけて加速度的に何もかもが良く見えてきているように感じています。特にキャラクターたちは、最初は非常に弱く感じていたはずが、今では誰もが甲乙つけ難いくらいに魅力的で、3話で殺された巴マミの影が非常に薄くなってきているようにも感じてしまうくらいです。
 まどか☆マギカの魅力の一つが「ギャップ」だということは、確か1話か2話くらいの記事で書いたとおりですし、この基本的なところは変わっていないのですが、それは蒼樹うめキャラが味わう過酷さだったり、ひだまりキャラだと決して言わないようなセリフを放ったり、魔法少女が非常にネガティブに描かれていたりなどは既に指摘したとおりです。では、他にどういうギャップがあるのかと、それが生み出す後付けの魅力とはどういう部分なのでしょうか? ちょっと挙げていきたいと思います。

  • キャラクターのギャップと魅力

 あまりにも謎だらけで、かつ見た目や性格的に人気にはなるだろうなあ、と思っていた暁美ほむらの人気を、一時的とはいえ巴マミ美樹さやか佐倉杏子が上回る事態になろうとは誰が予想していたでしょうか? もちろん10話を観れば、主人公である鹿目まどかや前述のほむらあたりが巻き返しているはずですし、今は恐らく「ほむら☆マギカ」的な展開なのでそういう人気順になっているものと思いますが、それらもやはりギャップ効果による人気上昇と言えるんじゃないかと思ってます。
 そもそも杏子は、例えば「けいおん!」で言えば律かムギくらいのポジションですよね。役割がどんどん変化していく面白いキャラではありますが、普通ならば人気になるはずのない4,5番手のポジションです。まあ、後から出てくるキャラが人気になるという傾向もありますから一概には言えませんが、まどかとほむらを中心とした当初の構図には直接関わらないという意味でも、作品の中心にはいないキャラのはず……とも言えるんじゃないかと思いました。それが、たった2話くらいの印象的なシーンで視聴者を魅了してしまったわけで……。この、作品におけるポジションの変化こそがまどか☆マギカという作品のギャップからくる面白さではないかと思いました。
 ほむらとまどかも面白かったですよね。10話ではいきなり立場が逆転して、「守るまどか」と「守られるほむら」という風になってしまいました。それだけでも9話までの展開からすれば凄いギャップ効果なんですが、そこから徐々に立場が逆転していくさまが描かれるなど、現状はそうなってしまったことを後付けでどんどんプラスしていっているのが凄く特徴的というか、この作品の面白さに繋がっているように感じています。後付けと言えば、ほむらのメガネ+三つ編み属性も後付けですよねw 過去の話とは言え。まさか原型はああだったとは……。
 頼れる先輩だったはずのマミにしろ、3話ではまどかに弱さを見せましたし、10話の4ルート目には魔女さやか死亡後に精神崩壊を起こすような弱さを描いてますしね。それが面白さや魅力につながってるかはわかりませんが……。

  • 主題歌のギャップと魅力

 主題歌も面白かったですよね。特にOPのコネクトに関して言えば、9話まではずっと「詐欺OP」と言われ続けてましたが、10話にしてそのヴェールを脱いだと言えそうです。この曲はまどかのことを歌っているのではなくほむらの視点だったのか!と考えると、それまでのイメージも変わりますし、歌詞内容の一つ一つの言葉の重みが違ってきますよね。歌詞内容と言うよりは、OPアニメの絵が実はほむらからまどかを観ていた絵だった、ということのほうがよほど驚きでしょうね。10話の終わりにOPが流れるという驚きと、その歌詞やアニメの意味するところの真意がわかるという驚きと、両方の効果があるんじゃないかと思いました。
 EDのMagiaにしても同じことが言えます。1,2話では、魔女と魔法少女が戦う場面で流れる戦闘曲のような挿入歌としての扱いでした。正直なところ、2話まで観た時点ではこの曲がEDに相応しい曲だなんて思いもしませんでした。が、3話でED曲として流れたときに、一気にこの作品にはこの曲が相応しい……と思うと同時に、これがこの作品のカラーなのか、という驚きと認識を与えてくれたようにも思いました。そして3〜8話は必ずといっていいほど暗い終わり方→Magiaという流れでしたが、方向性としては非常に統一されていたように思います。ただ、結局はこれもまどかを想うほむらの歌ですよね(解釈によっては1番がまどか視点の可能性もありそうですが)。「いつか君も誰かの為に 強い力を望むのだろう」という2番の冒頭部分を引用するまでもなく、恐らくは、奇跡と絶望を魔法少女になるということでどちらも起こすことになる、ということになるんでしょう。
 このように、OPもEDも、第一印象からは大きくイメージが変わった、という人が多いんじゃないでしょうか? Magiaが流れることは今後無いのかもしれませんが、特にOPのコネクトに関しては聴いていて印象がガラリと変わったんじゃないかと思います。ここにもしっかり、ギャップ効果による魅力の増幅が為されていると思っています。

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 挙げれば他にもいくつかあるとは思いますが、こうした数々の「第一印象からのギャップ」がことごとくプラスに働いているように感じています。それが新たな魅力となり、積み重ねてきたものを壊したりそれを越えたときに見える真実が面白かったりと、重厚な面白さとして機能しているようにも感じました。
 あと2話しかありませんが、きっとまだ1つ2つは驚くようなギャップを描いてくるんじゃないかと思ってます。それが結末部分かどうかはわかりませんが……。どうもニコニコ配信しか無さそうな気配になってきましたが、楽しみに待ちたいと思います。

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