『輪るピングドラム』の「輪る」とは何が「輪る」なのか?

 3話まで進んだ「輪るピングドラム」ですが、早くも今期アニメの話題の中心になりつつあるようです。が、まだどうなるか全然見当もつかないというのが個人的には本音です。
 さて今回は、そもそも「輪るピングドラム」というタイトルはどういう意味なのか? についてです。そのうち「ピング」に関しては本編でも出てくるようにあのペンギンを意味しているのでしょうが、「輪る」と「ドラム」がよくわかりません。「ドラム」は、3話で出てきた先生の自宅のドラム式洗濯機のこととか安易に考えてしまいますが、ああいう形状の何かを指しているのでしょうがイマイチ結びつくものがありません。
 それでは「輪る」はどうでしょうか? OPでペンギンが回っているあたりのことを指すんでしょうけども、それではなぜ「回る」ではなく「輪る」なんでしょうか? アニメのタイトルを初めて観た時から気になっていたことではありますが、この辺がこの作品の一つの鍵になっているのではないかという気がしています。
 直感的にこの「輪る」という漢字を観たときに連想してしまったのが「輪廻転生」です。さすがに代重ね的な要素がこの作品にあるとは思えませんので違うとは思いますが、気になっているのが妹の陽毬を救うために必要とされているものが「ピングドラム」で、それを苹果が持っている、ということです。つまり「ピングドラム」が陽毬を生き返らせ+生き続けさせられるもの、ということだと思うわけですが、それって短絡的に考えると生命維持装置的な何か、ということになりやしないでしょうか? そもそも陽毬が生き返った(とりあえず生きている)のはペンギンたちの女王様(?)が乗り移っているからで、「ピングドラム」にもペンギンたちの何かが関わっているのは間違いないことですから、人間の生命をコントロールできる存在なのかもしれません。そしてそれが「輪る」というのは、今は苹果が持っている「ピングドラム」が色んなキャラを「輪っていく」意味なのかな、と思いました。そんなピングドラムが「輪る」ことで色んなキャラの運命を変えていくような、そんなものを想像してしまいました。そして、陽毬は女王様が寄生するような形でしか生きている事ができない状態で、それは女王様にとってはピングドラムを手に入れるまでの一時的な措置に過ぎないのだとしたら、ピングドラムを手に入れることが女王様にとって有益なことで、そのために陽毬を生かしておくことも損得で考えているような気がします。
 そういえばOPでは最後のほうでリンゴが回転しながら落下していく様子が描かれてましたね。リンゴが落下するというのはニュートンか何かのそれなんでしょうけど、冒頭ではそのリンゴを誰かが手から落として、それを誰かが手に収めているんですよね。実は日記帳も誰かが手から離して、それを苹果が手に取っていたりしていますが、リンゴと重なるんですよね。もしピングドラムがあの日記帳と何らかの関連性があるのだとすれば、苹果の「運命を信じてる」という心理状態はともかく、彼女の生き方にピングドラムが大いに影響を及ぼしていることは確実でしょう。あの日記帳の通りに実行していくことが彼女の最大の生きる意味でしょうから、日記帳の流れから大きく外れてしまった時に彼女はどうなってしまうのか、そこが非常に気になります。もし日記帳の内容そのものがピングドラムと深く関わっていて+ピングドラムが生命維持装置のような役割を果たしているのだとすれば、日記帳のルートから大きく外れてしまうことは彼女の生死に関わってくるのではないかとさえ思えてしまいます。
 「運命を信じてる」な苹果と、「運命ってやつが大嫌いだ」な冠葉と、女王様の「生存戦略しましょうか」の前にいつもペンギンに落とされる晶馬がどう立場を変えながら絡んでいくのかがわかりませんし、兄に守られるポジションのようなお母さん的なポジションのような陽毬の本心はどうなのかもありますが、ピングドラムが彼らを繋ぎ、また運命を翻弄していくような話になっていくんでしょうか。地下鉄の広告や雑誌、エンディングで出てくる二人組のアイドルユニット(ダブルH)もそうですが、オープニングや雑誌に出てきた多蕗先生の彼女で女優(時籠ゆり)とは既に苹果が出会ってしまったわけですし、更に巻き込んでいくような話になるんでしょうね。
 3話にして、面白いけどどんな話になるのかよくわからない、という感覚もなかなか新鮮なので、寒くなる頃にはどんな感想に変化しているのか今から楽しみでもあります。

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