スポ根系部活アニメとして観る「ハイスクールD×D」

 今期の個人的なダークホース的存在といえば「ハイスクールD×D」です。絵は粗いし全体的に漂うB級色でお色気アニメの枠以上には考えられていなかったのですが、ここまで観てきて修正ががっかり(BS組なので)なだけじゃなく、普通に面白いアニメとして毎回楽しく観させてもらっていることに気づきました。ここまであまり面白くないまんま終わった回もなく平均以上の面白さの回ばかりのような気がしています。もちろんお色気アニメとしても、美味しそうなおっぱいであったり、美しい下着や裸体、イイ脱ぎっぷり(脱がされっぷり?)ですしそれだけでも素晴らしいのですが、ここに男の目線が入ることでよりエロさが増してると思ってます。
 さてそんなハイスクールD×Dですが、「オカルト研究部」としての部活アニメという側面と、バトル展開へと繋がるスポ根物という側面から観てみたいと思います。

 ハイスクールD×Dはスポ根ものである、と言うとやや疑問でしょうか? 個人的にはまさにスポ根ものというか、少し前の少年漫画雑誌によくあったスポ根漫画に近いのではないかと考えています。
 ハイスクールD×Dは異能力バトル物です。が、戦いとは全く無縁だった主人公の一誠が強く成長していくことがとりあえずの話の本筋だと思います。そこで、この異能力の部分をスポーツ競技に置き換えて考えてみると……なんだかスポ根物に見えてこないでしょうか? 一誠はただのエロい童貞高校生だったのが、とあるきっかけでその部所属になり、自身の目的が出来て自分を磨きながら成長していく。まあイイことしか書いてませんが流れとしてはスポーツ物とあまり変わらないと思います。一誠は半強制的とはいえ主目的(ハーレム王になる? あるいはリアスをモノにしたい?)を部内で得てますし、お付き合いしたりするためには自分が強くなって追いつかなくてはならない、あるいはアーシアを守れる強さを得なければならない、故に強くなるしか無い……と、スポーツに置き換えても全く問題のない内容になってると思ってます。スポ根物としては努力したりする描写も必要ですし、主人公に何らかのリスクも描かないといけないわけですが、その辺もしっかり描写されてますし、一歩間違えれば死ぬというリスクも持っているわけですからより頑張ることにもつながっていくのではないかとも思うわけです。一方でご褒美が用意してあるのが現代的なのかなと思います。スポ根物でも「この試合に勝ったら付き合ってあげる」みたいな展開があったりするわけですが、そこが主目的でないのが従来のスポ根物だったんじゃないかと思うのです。ただこの作品はそこに、エロいご褒美をストレートに置いてあったりするのが良いのかなとも思います。主にはリアスなわけですが、一緒に戦う仲間がご褒美という仕組みは従来のスポ根物ではありえないと思うのでそこがこの作品の面白いところなのかなあと思っています。
 スポ根アニメとして思い浮かぶのが昨年放送していた「ロウきゅーぶ!」です。男子高校生の主人公が女子小学生たちのバスケットボールのコーチになって色んな困難を超えて絆を深めていく作品でしたがこの作品もスポ根ものとして取り上げられることが多かった作品でしたし、ハイスクールD×Dとは違いちゃんとバスケというリアルなスポーツを取り上げているラノベ原作アニメということで比較になりやすいと思ってます。
 個人的に大きく違う点といえば、主人公がヒロインたちと同じ高さにいるかいないかではないでしょうか。ロウきゅーぶ!では年齢差がかなりありますし、例え同じようにバスケをする描写はあっても試合で同じコートに立って共に戦うわけではありません。コーチとして一緒に戦っている……とも言えますが、選手ではないあたりに同じ高さにはいないことが伺えるかと思います。これに対してハイスクールD×Dは同じチームで共に戦うんですよね。もちろんポジションは違いますが、色んなポジションの選手が相手チームを倒すために共に戦うということが大きく違う点だと思います。また、リアルスポーツでは男女が混合で共に同じフィールドで戦える競技はあまりないと思われますが(そういう作品はあっても現実的ではない)、ハイスクールD×Dはそこを異能力バトルにすることで男女が共に戦えるようになっているのだろうとも思います。一緒に戦い、時に守り守られしながら相手を倒すという絵はチームスポーツに通じるものがあると思います。
 ちなみに、ロウきゅーぶ!の主人公である昴と、ハイスクールD×Dのメインヒロイン(?)であるリアスとを置き換えると割としっくり来るのではないかと思ってます。最初は面倒を見てやる程度に思っていた相手の素質に惚れ込み、割と付きっきりで指導したり過ごしていくうちに選手としてだけでなく人間そのものに惚れ込んでいった、という流れはほぼ全く同じですよね。智花を一誠と同じように扱うのは失礼すぎますけど……。

 もう一つの側面としては「部活物」という部分だと思います。部長がいて部員がいて、そして主人公は新入部員。エロい考えに走りがちな一誠ですが、エロいところこそ怒られることもありながら基本的に他の部員たちが凄く温かい気がしてます。普通のスポ根物であれば、素質を見出されたとは言えいきなり入ってきてみんな大好きな部長にこれだけ贔屓されて可愛がられると恐らくは妬みを買うと思うんですが、このハイスクールD×Dでは全くそんなシーンはありません。むしろ、部長のためとは言え特訓する場面ではあれだけ真剣に相手をしてくれたり、戦いの時も無謀な一誠に対して献身的なサポートをしてくれますし、イケメンこと木場君あたりは一誠に散々いろんなことを言われても笑って対応して助けてくれるという感じが彼は性格もイケメンなのかと思いますし、仏のように優しいんだなと思えます。
 そこで、部活アニメで思いつくものといえば……ごらく部のゆるゆり、もそうですがやはり「けいおん!」ではないでしょうか。ロウきゅーぶ!もそうでしたけど、基本的にメンバーが皆仲がいいんですよね。ほとんど喧嘩なんてしない。特にけいおんあたりと比較すると面白いんですが、部は外の世界とは少し切り離された閉鎖された空間にあるのだとか、部員とそれ以外ではかなり距離があったりだとかも似た感じではないかと思うわけです。けいおんも1期ではモブキャラすらほとんど出ませんでしたし、ハイスクールD×Dでも部員たちの描写が圧倒的に多いことからも、部内での活動がメインの部活アニメとしての側面を、けいおん同様持っている作品だと思っています。
 ただ、ハイスクールD×Dでは主人公の一誠が努力をします。けいおんではそういうシーンをほとんど描かず、ただただぬるま湯な毎日を過ごしていただけなのに演奏するとすげーというファンタジーというか一種の理想図を描いていたわけですが、ハイスクールD×Dがそうはならなかったのは主人公が男で、そいつに惚れる理由を描かないと女性キャラたちがただの尻軽に感じたり、何より主人公への視聴者側への反発を招いてしまう恐れがあるからだろうと思います。エロ主人公が何もしないまま素質だけでモテる、とか観てても何も面白くないですからね。変態でもこれだけ努力をすればご褒美がある、という感じで置き換えられてるのでしっくり来る感じになっているように思えます。
 逆にハイスクールD×Dけいおん的だと思うのは、部員同士で競い合うわけではない、という部分と、部員たちと共に高めあってチームとしての高みを目指すというところでしょうか。ハイスクールD×Dはバトル物でありながら、部員同士が戦うという構図にはなっていないのはもちろんですが、部員同士の強さの比較もあまり関係ないんですよね。力比較はできなくもないんでしょうが、部員それぞれに役割と地位が振り分けられているので、むしろ個々はそのポジションとしての高みを目指すという感じだろうと思います。そしてチームとしてより強くなる、と。これって音楽に置き換えたらけいおん的とも言えるのではないかと思います。けいおんは、ギターやボーカル、ベースにドラムとキーボードという「役割」があり、それぞれそこのポジションとして高みを目指してい……ないかもしれませんが(汗、メンバーの結束力と仲の良さで「放課後ティータイム」というバンドの演奏が高まっていくという感じに描かれていたと思いますが、この辺はハイスクールD×Dにも言えるのではないかと思うわけです。けいおんは戦うわけじゃないですし、放課後ティータイムが他のバンドと競う展開も無かったので全然別物ではあるんですが、部内だけで観れば近いものもあるのではないかと思ってます。
 ハーレム王という目標から部内に他に男がいるのはどうかという感じではあるんですが、個人的には木場君の存在のお陰で、同性からも好かれるような男であるかどうかという視点も生まれましたし、歴史上のハーレム王を考えると男も女も抱えていたようなことが多かったという話もありますし、そういう意味では面白い存在じゃないかと思っています。

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 とまあ割と褒めまくった気がするんですが、ただのお色気アニメではないことだけは事実でしょう。主人公の成長要素と適度に肉食なヒロインたち、そしてまだ攻略出来ていないヒロインという「出しきってない感」も凄くありますし、案外バトルシーンはよく出来ていたりしますから見所はかなり多いと思います。ヒロインたちもエロいし可愛いですし、この変態紳士的な主人公の一誠も何か俺らって感じで親しみがもてます。
 ちなみに僕が好きなのはリアス先輩です。あの、下僕にハマってしまい一誠のことを考えてるだけで濡れてきてるんじゃないかと思うくらいの発情っぷりが好みでたまりませんw 日笠さん最高やで……。

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