花澤香菜の女主人公アニメはなぜヒットしないのか

 「貧乏神が!」面白いですね。ギャグアニメは割と好きですが、いいテンポですし花澤さんの主人公ボイスも内山夕実さんの演技も素晴らしいものがありますし笑える内容になっているのかなと思います。花澤さんがこれだけギャグアニメのキャラを演じられるとは、少し前では考えられないことでしたからね。
 ただし気になることが。まだBDなどが発売されていないのですが、この「貧乏神が!」のBD/DVDの予約状況は決して芳しくないようですし、原作も書店などで見ている限りあまり動いていないようにも感じます。
 そしてとあることを思いつきます。「花澤香菜の女主人公もののアニメにヒット作ってあったっけ?」という疑問です。花澤さんといえば覇権アニメの顔というか、俺妹の黒猫やISのシャル、AB!の天使ちゃんなどの例を出すまでもない人気声優さんではありますが、だいたいこのラインで出てくるキャラというのはヒロインのポジションなんですよね。花澤さんが女主人公だった作品を僕が観たアニメ限定で挙げてみても、海月姫変ゼミ森田さんは無口ブラック★ロックシューター貧乏神が!……とありましたがどれもヒットしていないんですよね。他にも「こばと。」も売上は不振だったみたいですし、売上だけで観るとBRSが一番売れていたくらいという(合算4000セット程度)結果になってます。彼女がヒロインとして出演してヒットしたアニメでは彼女が演じたキャラの人気が貢献していた割合も多く、それが何故主人公となるとヒットしないかが割と不思議でしようがありません。
 そこで今回は、何故花澤香菜が女主人公を演じるアニメがヒットしないのかを想像を交えながら考えていきたいと思います。

  • 出演作品に恵まれていない

 さきほど挙げた花澤さん主人公アニメですが、割と微妙なものが多いような気がします。変ゼミは「変態生理ゼミナール」の略称でもあるようにかなり高度な変態アニメでした。アニメとしてもさほど映えなかったのもありましたが、やはり多くの人が受け入れられるような内容ではなかったように思います。まあ花澤さん主人公に高度なセクハラをして恥ずかしがる様を眺めるという見方もできましたが、それは一般的に楽しめるのかどうかと言われれば微妙だったと言えると思います。
 森田さんは無口は5分(実質2分)アニメでしかもほぼ心の声だけなのであまり花澤さんの良い所を生かせない感じもありましたし、海月姫は花澤さん起用とアニメでの味付けがちょっと原作の方向性と合わなかった感じが凄くありました。BRSは途中から観念的な話になっちゃいましたし、貧乏神が!は内容的にはむしろ女性向けなギャグアニメで主人公のおっぱいがあまり美味しそうに見えないあたりがちと方向性として微妙に写っています。このように、微妙に恵まれていないような気がするんですよね。

  • ヒロイン声優というイメージ

 花澤さんといえば圧倒的なヒロイン声優さんではないかと思います。前述のシャルや黒猫に天使ちゃんのみならず、はがないの小鳩にロウきゅーぶ!の智花、モーレツ宇宙海賊チアキなど、やはりヒロインのポジションにいるキャラのほうが彼女の個性が立つというかキャラを引き立たせる効果があるような気がします。モーパイのチアキとかは主人公が女キャラでヒロインというにはややおかしな気がしますが、1話からチョロかったですし終盤は完全に主人公の茉莉花に酔っていた感じだったので完全にヒロインでしたね。このように、彼女の起用がヒロインキャラに集中してしかもよくキャラを立てるために、いざ主人公となると違和感が出てきてしまうのかもしれませんし、主人公いてこそのヒロインキャラのイメージなので、いざ一人で引っ張らなければならないとなると良さが出てこないような感じも受けました。

 これはさっきの項目と被るのですが、花澤さんの良さが主人公キャラで生かしきれていないことがあるような気がしています。彼女の声がヒロインキャラとして特化されているのは今更言うまでもありませんが、持って生まれた声質がヒロインキャラとして最適なものになっているからだと思っています。ヒロインキャラとして最適化された声というのは、要するにキャラ萌え出来る声、というものではありますが、何というか男殺しの声にも聴こえますよね。要は男性に反応されやすい声だと思うわけです。
 という特性が何故良さを生かせないことに繋がるのかというと、女主人公キャラだとヒロインキャラであれば必要だった要素があまり意味がなくなるのではないかという推測から考えられます。何より、男殺しである必要がなくなりますよね。これまでの作品で考えると、海月姫もBRSも森田さんは無口も、基本的にメインキャラは女性なアニメでしたし、花澤ボイスである必要性がなくなってしまう気がしています。海月姫とか男に口説かれたりするからいいじゃんとか思いますが、あくまで主人公中心の視点となるとちょっと違う感じがするんですよね。
 女の子同士が合わない……というわけでもなさそうです。俺妹もヒロインポジションではありますけども、桐乃との掛け合いが楽しいし可愛いですし、男がいないアニメだとモーパイなんかでも、茉莉花との掛け合いだったり茉莉花に惚れる感じだとか非常に良かったと思ってます。だから男がいないから引き立たない、というわけではないと思ってます。今まで刷り込まれたイメージが邪魔してるだけかもしれませんが、ヒロインキャラほどデレた時の破壊力が生かせないからなのかもしれませんね。

  • 他の女主人公声優との差

 花澤さんくらいのキャリアだとまだ当たりが無くても仕方がない、という意見もあるかもしれませんが、同じくらいかそれ以下のキャリアの声優さんでも女主人公声優としてのイメージが付いた人もいると思います。
 例えば、悠木碧さんなんかは花澤さんよりも年下ですが、魔法少女まどか☆マギカからAチャンネルと連続で女主人公を演じてましたし、今年も戦姫絶唱シンフォギアで主人公を演じ、ヒロインキャラというよりは女主人公キャラとしてのイメージがすっかり定着してるイメージもありますから今度はヒロインキャラとしての適性はどうかという気もしています。
 また、人気が出るような女主人公もののゆるいアニメって、あまり主人公に人気声優さんを起用したりせずフレッシュな人選が多い印象があります。それこそ前述のモーパイなんかがそうですよね。主人公の茉莉花は初主演の小松未可子さんでしたから。そしてそのほうがハマるケースが多いので、より人気が出やすいタイプの女主人公もののアニメはそういうフレッシュな声優さんに流れるパターンが多く、花澤さんには回ってこないのではないかという推論です。
 女主人公もヒロイン役もこなすといえば、同じようなキャリアでいえば伊藤かな恵さんとか、ちょっと上の人では佐藤利奈さんあたりがすっと思い浮かびました。伊藤かな恵さんは花咲くいろは織田信奈の野望では主人公でしたが、僕は友達が少ないではヒロイン役でしたけどそれぞれで持ち味を出していてましたよね。佐藤利奈さんは禁書目録ではヒロインキャラですが超電磁砲では主人公役という、スピンオフものと合わせてですがシリーズで2つのタイプのキャラを演じてますが違和感なかったですよね。違う作品ではアマガミSSのヒロイン役とアザゼルさんの女主人公役となりますが、これもしっかり両方のキャラをそれぞれ好演してて素晴らしいと思いました。
 花澤さんは決して役の幅が狭いわけではないので、個人的には主人公キャラとして映える役を起用する側が見つけられていない感じがものすごくします。もちろんヒロインキャラとしてなら「このキャラは花澤さんがハマる」とイメージしやすいのだろうとも思うのですが、主人公キャラとなると話が違ってくるんでしょうかね。

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 とまあ適当に書いてきましたが、今までの女主人公で起用された作品があまりヒットするような作品ではなかったということと、花澤さんが最適な女主人公もののアニメやキャラとまだ出会えていなかったり、起用する側もイメージできていないのだろうなというのがとりあえずの結論でした。
 好きな声優さんの一人ですし、アーティスト活動も始めましたが本職の声優としても幅をどんどん広げていっている凄く貪欲かつプロ意識の高い人でもあると思うので、これから女主人公としてハマる花澤さんを待ちたいと思ってます。