2012年 テレビアニメED十選

 OPに引き続きエンディングをやります。
 10曲選ぶのにギリギリだったOPとは違い、印象的で好きな曲が多くかなり厳選して選んだ10曲になりました。引きにピッタリの曲や音楽性の高い曲など多種多様だったように感じました。買ったCDもEDのほうが断然多かったんじゃないかな? と思うくらいには充実していた印象があります。

■冬

ビードロ模様

ビードロ模様

 今年一番最初の衝撃がこれでしたね。やなぎなぎさん自体はAngel Beats!麻枝准とのコラボアルバムで歌のうまい人だということは知っていてそのデビュー作ということで楽しみにはしていたんですが、そんな期待を遥かに越える曲の良さだったと思います。とにかく歌声が綺麗ですし、それを生かせる曲にもなっていたしアレンジも含めて素晴らしかったですね。
 ジェネオンが音楽もアニメ本体もどちらも作っているからなのかどうかわからないのですが、本編の引きからEDへと入るあの演出と映像の使い方は上手かったですよね。もちろんEDアニメ自体も長井龍雪さんらしい非常に良い映像だったのではないでしょうか。

ふたりのきもちのほんとのひみつ(TVサイズ)

ふたりのきもちのほんとのひみつ(TVサイズ)

 典型的なキャラソン……とは言えないんじゃないかとは思いますがいい方向のキャラソン主題歌ではなかったかと思うのがキルミーEDです。我が道を行く感じというか、キルミーベイベーというアニメをすごくよく表していると思いました。OPはやすなメインでカラオケで歌うと意外にキツいんですがEDはソーニャメインなのでめっちゃ低いという差も面白かったですね。
 そして何よりEDアニメですよ。キルミーダンス! これは原作ネタ(単行本1巻カバー裏)であったわけですが、それがアニメーションとして動く姿が見れるとはって感じで良かったですね(ちなみに原作読んだのはアニメ観た後ですが)。ただこのシュールな曲と踊りを子ども向けアニメとして見せたい気がしました。絶対真似しちゃダメだよ!って描かれそうですが(このリズムでこの動きは相当無理ですけど)。

TRY UNITE!/Hello!

TRY UNITE!/Hello!

 基本的に光る演出が多かったと思うのが輪廻のラグランジェでしたが、EDはアニメの演出が本当に素晴らしかったですね。椅子に座った3人がしょんぼりしてるところで明るい曲調がやや転調して、その場面でのメイン3人のキャスト紹介クレジットも出るというのも演出としては良かったですね。色使いも素晴らしかったです。この辺は鈴木利正さんのカラーが凄く出ている部分なのでしょうか。OPやEDには欠かせない演出家とも言えそうですね。
 もちろん曲も素晴らしかったと思います。曲調としてはOPと違う方向性ではありましたが、非常に爽やかでいい締めになっていたように感じました。ただ、OPやEDが良すぎたような気もしないでもないですね。

■春

Above your hand

Above your hand

 今年、特に目立った主題歌演出だったと思うのがラグランジェとさんかれあだと思ってます。新房シャフトで演出として腕をふるっていた小俣真一さんが別名義で初監督作品を手がけているわけですが、OPも良かったですけどEDは更に凄いというか素晴らしい演出になってましたね。曲の展開とともに光の加減が変わっていったりカクテルライトみたいな光が混じったりと、動きの少ない中でめちゃくちゃ映える演出を施していたと思います。詳しくは以前に書いた記事をどうぞ
 Annabelさんは今年3タイトルでアニメ主題歌を歌っていましたが、その中でも一番好きかもしれません。EDアニメと同じく非常に美しく、木漏れ日のようなほのかな暖かさを感じる歌声をぞんぶんに生かした1曲になっていると思います。ビックリするくらいに売れませんでしたが、バラードナンバーの中でも超抜の出来だと思います。

LUPIN the Third 峰不二子という女 BD-BOX [Blu-ray]

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 ルパン三世のスピンオフで峰不二子をフィーチャーする。そしてそのシナリオを岡田麿里が描く……という意味ではアニメファンに強く訴えかけるものがあったのではないかと思うのが今回の不二子ルパンだったわけですが、OPがまさかの語りだけ、そしてEDはCD化されなかったこの曲でした。
 独特のクールさというかかっこ良さがありますよね、この曲。まだこの歌い手さんはさほど知名度があるわけではありませんが、プロデュースのされ方次第ではもっと有名になれる要素はあるんじゃないかと思ってます。
 演出も良かったですね。ほぼ止め絵ではありましたが、山下祐さんが演出から作監までしていたようで、ロリ不二子ちゃんの幼いのに既に娼婦のような妖艶さを醸し出してるあたりのエロスがすごく前面に出ていたように思います。素晴らしい仕事だなあと思いながら毎回観てました。

■夏

 ゆるゆり2期のED。OPも良かったですけどEDは更に良かったと思います。1期のEDは「マイペースでいきましょう」というタイトル通り、あまりテンションを上げず本編のグダグダした空気感のまま同じペースで見られるような曲になってましたが、2期のこのEDでは掛け合いのテンポがかなり激しく、それこそ2期になって声優さん同士の信頼関係やスキルが高まっていった結果こういう曲ができるようになったとも言えますし、ライブでの1段階上のパフォーマンスを目指したものとも言えるのだろうと思います。
 EDアニメの色合いというか絵の感じも結構好きだったりします。そんなに動く映像にはなってませんが、1日が終わって中学から帰宅する途中の4人の何気ない1日の終わりがすごくよく映像化されていたと思います。雰囲気がすごく良いですよね。

ニッポン笑顔百景

ニッポン笑顔百景

 風刺というか時事ネタでもの凄く遊んでいた感のあるじょしらくでしたが、EDが桃黒亭一門ことももいろクローバーZだったのにはビックリしましたし、聴いてみても凄いインパクトがありましたね。ももいろクローバーZといえばモーレツ宇宙海賊の主題歌も歌っていたわけですがパッと聴いた時に合わない感じがありました。が、じょしらくでのももクロは最初に聴いた時から「おおっ」って感じで合っていたと思います。モーパイもじょしらくもプロデュースは前山田健一さんなわけですが、じょしらくのほうがよりアニメの主題歌としてのイメージが捉えやすかったのではないかとも感じました。
 そしてそんなももクロの曲にSDキャラを動かすEDアニメーションで彩りを添えた形となりましたが予想以上に動きましたね。絵コンテ・演出は監督でもある水島努なわけですが、氏のコンテなEDって動かさないことが多かったのです。が、ももクロのこの曲が上がってきたことで動かさないわけにはいかないだろうということで無理言って動かすEDにしたらしいのですが、細かい動きも含めていい仕事してますよね。テンポの早い曲に合わせたSDキャラの動きは、今年のアニメ主題歌でも相当なレベルだったのではないでしょうか。最終回では最終回で出てきた新キャラだったウザンヌの乱入もあるなど楽しいEDアニメだったのではないかと思います。
 個人的には曲云々だけではなく、アイドルユニットが歌うアニメ主題歌を、曲を作る側がユニットとしての持ち味を出しつつも全力でアニメに合わせてくる感じと、その曲を受け取ったアニメ制作者がどう演出して相乗効果的に高め合っていけるかという部分において、アイドル業界とアニメ業界の上手い付き合い方の一つとしても問いかけた形になったような気がしました。アイドルユニットを起用するアニメ関係者や、アニメ主題歌をプロデュースするアイドルユニットのプロデューサーにはじょしらくの例を観て考えて欲しい気がしました。

■秋

 またやなぎなぎかよ!! って感じですが仕方ないですよね。ヨルムンガンドはよく取り上げてますが、その中でも1期OPと2期EDは凄かったと思います。2期のEDはどんなのが来るんだろう、エレガの藤田淳平さんのプロデュースとやなぎなぎの歌声は合うのか? とか期待していましたが、期待以上の曲が来てしまいました。バンドサウンドやなぎなぎの歌声が合うのかな、と思ってましたが、思った以上にバンドサウンドに負けず存在感を感じた歌声でした。
 ヨルムン2期はOPが1期よりもやや女性的な感じになっていたわけですが、むしろEDはバラードだった1期と比べるともの凄くアップテンポというか挑戦的な曲になっていて、よりココがアクティブになっていってる本編と合わせたような気がします。本編がより刺激的になっていってるので、そこに合わせたプロデュースになってるというのは素晴らしいですね。

 個人的には今年一番キャッチーな主題歌じゃなかったかと思ってます。劇中で本編の引きにイントロが流れてEDへと移行していく流れがもの凄くハマる回があってすごく心地よい曲になっているような気がしました。EDの演出もよくキャラの特徴や作品内容を生かしていて毎回どうしても観てしまう感じでいい出来だと思います。
 曲そのものの出来は素晴らしいですよね。鈴木このみさんは聴けばまだ高校1年生だそうですが、その若いパワーのある歌声が存分に生きる曲調になっていると思います。この声量というか声の出方は凄いですね。もの凄く気持ちよく歌ってる感じとか、歌い手さんの年齢とキャラクターの年齢が合ってるのでそういう意味でのシンクロ率も素晴らしかったですね。

夢ぐも

夢ぐも

 最後にひだまりスケッチ×ハニカムEDです。ひだまりスケッチシリーズは特別編を2度ほど観ただけというにわかだったんですが、今回のシリーズから観ても全然楽しめてますね。キャラクターはすぐに把握できますし、やってることももちろんわかりやすいですしね。それでいて面白いのでなかなか素晴らしいと思ってます。余計な演出もありませんでしたしね。
 この「夢ぐも」は流れてきた瞬間「ああ、これはいい……」となりました。特別編でもmarbleさんの曲は聴いてていいなあと思ったんですが、これはもの凄くキャッチーに響いて来ましたね。本編で上級生の卒業やら進路やらという話がよく出てきていることもあって、より「終わってしまう」感じがテンポは良いのに少し寂しい感じがするメロディが相乗効果となって、EDとしてすごくふさわしい曲になっていましたよね。
 映像的にも、ゆのっちの儚げな表情が先輩たちを見送る未来というか、自身の未来を観ているような気もしてきて、作品と曲の相乗効果が凄いと思いました。

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 選び終わりました。個人的にはやなぎなぎな1年だったといえるでしょう。非常に多種多様な曲を歌え、かつ自身の存在感も出していける、そんなアニソン界にとって貴重なボーカリストが主題歌プロデュースとしてはかなり高品質なジェネオンからデビューしたというのはすごく良かったと思ってます。選出してませんが、ヨルムンガンド1期の「Ambivalentidea」も名曲だと思いますしアベレージ的にも非常に高いものがあったと思います。
 OPで選んだアニメがEDでも選んでるケースが多いですね。ヨルムンガンドはよほどのお気に入りということにもなりますが、だいたい主題歌プロデュースの上手いところがやってるということでもあるのだと思ってます。キルミーベイベーのシュールなキャラソン路線での統一感とか、さんかれあ輪廻のラグランジェの高い演出力と作品に合わせた曲、ゆるゆりの2期であることを踏まえた1期超えなキャラソンさくら荘のペットな彼女のキャラソンOPとアニソンアーティストEDの良いとこ取りなプロデュース……とかそれぞれでしたけど、キャラソン主題歌に強いポニーキャニオン、アニソンアーティストのタイアップ曲のプロデュースに長けたジェネオンあたりが強かった気はしました。ランティスは飛び抜けた曲はさほど無かったものの比較的アベレージは高かったように思いました。
 ちなみに惜しくも選外となってしまったのは、新世界よりの「割れたリンゴ」、ジョジョアニメの「Roundabout」、人類は衰退しましたの「ユメのなかノわたしのユメ」あたりも入れたかったところでした。
 EDはOP以上に、アニメ本編を観た後に余韻に浸るためにはアニメ作品を構成する要素としてすごく重要なポジションだとも思ってます。故にいい曲が多かった今年は良かったと思いますし、来年もまたいい曲とたくさん出会えることを期待しています。

【参考】
2011年 テレビアニメED十選(自ブログ)
2012年 テレビアニメOP十選(自ブログ)
ヒグチ(@yokoline)さんによる「2012テレビアニメOP/ED3選(10選リンク付き)
こばいも(@ko_baimo)さん(flower in my head)によるテレビアニメED10選 2012
ぎけん(@c_x )さん(物理的領域の因果的閉包性)による【2012】 テレビアニメED10選