原画家が企画原案をやるのはあまりに無謀では?

 Rewriteで一番の不安点といえば、やはり「企画原案:樋上いたる」という部分でしょうか。ライターが誰かと言うよりも。と言うのも、今までのギャルゲーで、成功したゲームの中で原画家が企画をやったゲームがどれだけあったか…。僕が知らないだけかもしれませんが。
 例えば、原画家が漫画家をやっている場合は当てはまりません。漫画家は基本的にストーリーやキャラ設定を自分でしますから。
 ただ、絵師(挿絵なども含む)オンリーの原画家さんや、同人誌で二次創作なマンガくらいしか描かない程度の原画家さんだと、そうした「話を作り出す」ことすら仕事としては行う機会が無い、と言うことになります。
 基本的にギャルゲーの場合だと、企画は大体ライターさんが上げ、シナリオを書き、上がったシナリオやライターさんのキャラ設定に合わせて、ようやく絵師さんが動く、と言うのがパターンでしょうから、あくまで能動的ではなく受動的だと考えられます。もちろん、絵師さんから上がってきた絵を見て、ライターさんがインスピレーションを働かせて企画が進む…なんてこともあるでしょうが、メインとしては、ライターさんの発注に合わせて絵を描く受動的なものでしょうから。そもそも企画を考える立場に立つ機会自体が無いし、日の目を見る可能性も今までは無かったでしょう。
 で、今回のRewriteでは、樋上いたる氏の企画原案がゲーム化されるわけですが…。ライター陣が豪華なだけに、つまらないゲームになるとはとても思えません。が、樋上氏の企画力と言うのは、その辺の素人とそれほど変わらないものではないかと思うわけです。と言うのも、Keyライター陣の素晴らしい作品や、企画者としてはギャルゲ界でも随一の存在である麻枝准らと長らく仕事はしてきたわけで、仕事ぶりとかそういうものは間近で見てきたとは思うのですが、いざ自分で作るとなると話は別じゃないかと。
 それと思うのが、樋上いたる氏の同人誌。全部買ってるわけじゃなく、たまに買う程度ではありますが、大体がイラストメイン本だったり、個人的なレポマンガ(っぽいもの)だったりと、まともなストーリーのついた漫画を見たことが無いような気がするんですが。まあゲームの開発中の忙しい合間を縫って書いているのでしょうから、あまりストーリーを考えている暇が無いのかもしれませんけど、普段からそうストーリーを考えていない人が良い企画を考えられるのか危惧してます。企画原案程度なんだから大丈夫と言われればそれまでですし、ロミオ氏を引っ張ってきたり竜騎士氏を参加させたりっていうこと自体が「企画」なんだったら、取り越し苦労に終わりそうなんですけどね。

 ともかく、原画家がシナリオの原案とか企画とかを考えるってのは、かなりリスクが大きいのでは無いかという事を書きたかっただけです。その意味でも、この「Rewrite」って作品はかなり無謀とも言える実験的作品になるんじゃないかと思うのですが。