PRIDEミドル級GP決勝&ヘビー級タイトルマッチ

 出来れば、試合があった当日中(深夜でもいいので)に放送してもらいたいものですが…。まあこんだけ良いものを見せてもらってるんですから、贅沢はいえないかもしれませんね。
 総じて楽しめました。2時間が短かったですね。

中村和裕VSイゴール・ボブチャンチン

 終始中村が主導権を握り、ボブチャンチンに何もさせませんでしたね。何度か関節を極めるチャンスはあったものの、そこで極められなかったのが残念ではありましたが…。しかし打撃でもそれほど見劣りしませんでしたし、前回のシウバ戦で負けたショックは見られませんでしたね。
 こと打撃に関しては、吉田よりも上でしょう。パンチに威力がありますし、打ち合ってもそれほど危ない場面もありませんでしたし。グラウンドでのバランスの良さも光りました。ただフィニッシュへの過程が、吉田ほど上手くないんですよね。今後はそこが課題になってくるでしょうが、年齢的な上積みとかを考えると、いずれは吉田越えしてくるでしょうね。

ヒカルド・アローナVSヴァンダレイ・シウバ

 シウバがまさかの完敗。特に、グラウンドへの持って行かれ方が悪すぎましたね。簡単に脚を払われたり、バランスを崩したりと、本来の腰の強さが全く見られませんでした。スタンドでの攻防も、どうもパンチが堅かったですね。必要以上に力が入っているというか。
 アローナは確かに強かったですが、シウバが本来の動きでなかったようにも思えました。

 そう言えば、試合直前の、選手名をコールされるときにする、シウバのいつものポーズ(相手を睨みながら手をコキコキさせるやつ)で、表情が全然硬かったんですよね。それに、試合直前にレフェリーから注意を受けるときに、いつものシウバなら相手に超接近して顔を近づけてにらみ合うんですが、今回に限ってはその距離がめちゃくちゃ遠かったです。
 とにかく、色々と試合前からおかしかったです。

 それにしても、アローナの身体の強さは凄いですね。シウバと組み合っても、ほぼすべて勝ってましたしね。グラウンドになってからも、体を入れ替えることすら許しませんでしたし。
 敢えて、マウントやサイドと言うイイポジションを狙おうとはせず、ガードポジションからパウンドを発射していくところなんかは、確実に勝ちに行く姿勢も感じられました。サイドやマウントを取りに行くと、ここいらの選手になると、逆に体勢を入れ替えやすくなってポジションを逆転される危険性があるんですが、そのリスクも回避して戦ったアローナは、かなりしたたかでしたね。

 しかし、もしシウバが万全の体調で戦っていたとしたら、この敗戦はかなりショックだと思います。次がかなり注目です。

マウリシオ・ショーグンVSアリスター・オーフレイム

 序盤こそ、オーフレイムのボディバランスの良さが光り、ショーグンと組み合っても常に勝ち、優勢に試合を進めました。しかもフロントチョークが完全に入り、ショーグン万事休す、かと思いきや、これを強引に外してからはショーグンの時間が始まります。
 ここからはショーグンのパンチが面白いようにオーフレイムを捕らえ、最後はパウンドでガード不能な状態までさせてKO。
 オーフレイムの良さを圧力で封じた、そんな試合でした。

吉田秀彦VSタンク・アボット

 吉田のヘビー級転向の試金石になるとされた試合でした。が、結果は快勝でしたね。
 序盤はアボットに上になられ、特には何もさせませんでしたが、体勢を入れ替えることは出来ず苦しい展開でした。
 ただ、この展開で巨漢のアボットはスタミナを消耗。吉田はブレイクの後、スタンドに戻ったところでパンチのラッシュ。吉田はアボットを倒して、グラウンドでヒザを連発。その後バックマウントになり、背後から袖を使った変形の袖車で絞殺! 鮮やかにギブアップを奪いました。

 それにしても吉田はいい試合をしますね。消化不良な試合もありますが、勝つときの試合は、ハラハラもさせながら、フィニッシュは鮮やかに極める、非常に見るものを魅了させる試合をしますね。
 これで吉田は、体重の重いヘビー級での戦いにもメドが立ちました。次はヘビー級のビッグネームと戦うことになるんでしょうか? 楽しみですね。ただ、ヒョードルセルゲイ・ハリトーノフあたりだと苦しい気はしますが…。

エメリヤーエンコ・ヒョードルVSミルコ・クロコップ

 1Rこそ、ミルコがスタンドで優位に試合を進めてペースを握ったかに見えましたが、2R以降は完全にスタミナが切れ、あとはヒョードルにスタンドでも主導権を握られました。
 グラウンドでは、常にヒョードルに上を許す形を取られ、ガードポジションを維持するのが精一杯の状態が続きます。結局その状態を打破できずに、ミルコが判定負け。完敗でしたね。

 ヒョードルは、総じて隙が全く無いですよね。スタンドでのパンチの打ち合いも、元K-1戦士のミルコ相手に互角以上でしたし、ハイキックも完全に見切ってました。グラウンドでも上を取られるってことは全くありませんでしたし…。相手が強い場合は、無理に極めに行かずに、優位に試合を進めるという、試合巧者な一面もありますよね。
 ミルコは何も出来ませんでしたね。1Rこそかなりヒョードルに打撃を与えましたが、結局倒すまでには至りませんでした。しかし、試合後引き上げるミルコの表情は、落胆しか見えませんでしたね…。

 ヒョードルの次戦の相手ですが、もうハリトーノフしかいないと思います。他では倒せるどころか、1R立っていることすら不可能でしょうし。


◇ショーグンVSアローナ

 序盤こそ、アローナのバランスの良さに苦戦しているように見えましたが、ヒザなどでアローナから徐々にダメージを奪うと、最後は踏みつけ攻撃からパウンド3発でKO。
 何より「強すぎる」しか出てきませんでした。ショーグンにとっては、先輩シウバの敵討ちかもしれませんが、「世代交代」も印象つける勝利だったと思います。
 しかし、ショーグンに勝てる日本人はいないでしょうね…。吉田とか中村とかとの試合も見てみたい気はしますが…。



 楽しかったです。番狂わせもありましたが、何より全試合レベルが高かったですね。
 特にヘビー級タイトルマッチは、スピードはヘビー級のそれじゃないですよね。

 あと思ったのは、放送中のCMで何度もK-1GP開幕戦のチケット発売中、のCMを見た時に「この試合を見て、K-1のチケットを買おうと思う人間がいるのだろうか?」ってことと、「K-1はチケットが売れてないんだなあ」ってことです。
PRIDEじゃあそういうことをする必要はありませんからねえ。

 次回と年末も楽しみですね。