全国テスト差し止め求め仮処分=小中生9人「違憲」−京都地裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070416-00000148-jij-soci

一番詳しいのはこの京都新聞の記事ですかね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070416-00000040-kyt-l26

毎日新聞には、採点などを請け負う企業名も掲載されています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070416-00000105-mai-soci

 これは…どうなんでしょうか? 確かに、収集される個人情報が、明らかにプライバシーに関わるものであれば、民間企業に委託するなんてことはやってはいけないことです。ただ、家にある本の冊数が、即プライバシーに関わるかどうかはかなり疑問です。
 この学力テストは、今まではタブー視されてきた、国家による学力調査の一環だと思ってます。つまり、国全体で均質化した状態で行う初めてのものであり、統計的には非常に有意義なものだと思います。
 と言うのは、学校の成績と言うものが、都道府県レベルだけではなく、市町村や各学校によっても全く基準が異なり、統一化された指標が今までありませんでした。まあそれが、予備校などが行う模擬試験だったりするわけですが、公的には一切そういう調査はありませんでした。学力低下が叫ばれる中、こうした調査に乗り出すこと自体には賛成です。どういう状態・環境の子どもが、より学力を伸ばしやすいか?と言うことがわかれば、これから育てようと言う家庭にも役立つものになるでしょう。また行政や学校側の見直すべき点も見つかるかもしれません。ただし、これが有意義に使われるためには、ある程度の条件が必要です。
 まずは、この学力テストの設問や内容自体が、普遍的な学力を測るものになっているかどうか?です。センター試験でも毎年問題になることですが、問題が悪ければ偏った結果になるわけですし、統計的にも間違ったものになってしまいます。理系の科目ならば簡単ですが、文系の科目では難しいかもしれませんね。
 そして、この調査を学校間や自治体間で争わないか?ってことです。目指すべきところは学力の底上げでしょうから、目先の成績アップに血眼になってしまい、本来の教育方針を見失わないかどうかが非常に心配です。学力は、競って伸びるものもあるとは思いますが、国家レベルで言えば、将来的に「働ける人間」「常識をより多く理解している人間」を育てるのが本当です。ので、この学力テストの総合的な結果で教育方針を変えるようなところが出てきては、本来の目的を逸してしまうことになります。

 話が逸れましたが、今回の仮処分を行った理由は「プライバシーの問題」が大きかったようです。実名もしくは、出席番号を記入する欄があったとか…。これは意味無いですよね? その生徒が、どういう環境にいるかとかは非常に重要なことではありますが、その生徒個人を特定できるようなあらゆる個人情報は、記入するべきではありませんし、記入する必要性は全く感じません。むしろ、自衛隊の超機密情報も簡単に流出してしまう現状を考えると、個人を特定できるような情報を、学力テストの中に含むべきではないでしょう。先生方の、PC置き忘れなどによる情報流出も相当数あるわけですし、委託先業者からの流出も可能性としてはあるわけです。出来るだけ、個人情報は渡る人が少ないほうが良いわけですし、もし多数の人に渡るのであれば、個人が特定できる情報は避け、完全な匿名性にすべきでしょう。結果を生徒に返さなければならないから、と言う人もいるかもしれませんが、自己採点でも済むわけで。
 ですから、個人を特定できるような情報を記入させることは、全く意味がありませんし不利益ばかりで反対です。
 
 ただ、今回の仮処分申請を行った側の主張は、一部過剰反応とも言えてしまいますし(国家による家庭教育への支配介入って、左向きの人が言いそうなことだな…。家庭教育なんて崩壊しかかっているのに)、主張が通るかどうかは微妙です。でも、個人が特定されるような調査方法は間違っていると思うので、もう少しやり方を変えるべきだとは思いました。