イスラエルがレバノンへ侵攻!

 昨日辺りから報じられ始めましたが、イスラエルが隣国レバノンへの軍事攻撃を強めていて、本格開戦の可能性すら出てきました。
 これは、パレスチナ問題が飛び火した形で起こったものです。
 イスラエルパレスチナは、オルメルト政権に変わって溝が余計に深まり、パレスチナの主権がハマスに移ったことで混迷を深めてきました。ハマス政権には力はなく、同じハマスの強硬派すら抑えられない状態。そんなハマス政権に対して、過剰な圧力をかけるイスラエル。そうした中で、ハマス強硬派がイスラエル兵を拉致して、情勢は一気に悪化を辿りました。
 イスラエルは、パレスチナ自治領であるガザ地区を激しく攻撃。ハマス政権は、諸外国から経済制裁を受けており、財政的にも苦しい状況です。そうした中で、ハマス政権に救いの手を差し伸べる形で、イスラエル兵を拉致したのが、レバノン南部を実効支配しているヒズボラでした。かつてイスラエルとも激しくやりあった組織ですが、これが再びイスラエルに牙を剥いたのです。
 それを好機と見たのか、あるいは反射的にだったのか、イスラエルヒズボラの拠点のみならず、レバノン全体に空爆を仕掛けるという強硬手段に出ました。ヒズボラの活動を黙認していると言う、かなり身勝手な理由で、レバノン全体を攻撃対象とし始めたのです。現に、レバノンは首都ベイルートの空港や幹線道路を中心に空爆され、交通は麻痺状態、市民にも多数の死傷者が出るなど、甚大な被害を被っています。
 見ようによっては、イスラエルが身勝手な考えから起こした戦争ってことにもなります。しょせん、イスラエル兵は2人しか拉致されていないわけで。ヒズボラはしばらくの間、イスラエル領への主だった攻撃もしてきませんでしたから、イスラエルが冷静な行動をしていたら、多くの血と破壊は無くて済んだはずなのです。北朝鮮のミサイル発射など霞んでしまうくらいに、非難されるべき行動だと思います。
 それを、アメリカのブッシュ大統領は「止むを得ない措置」と容認したことも問題です。が、同時にレバノンへの攻撃がもたらす被害についても懸念しており、かなり複雑な立場であることをうかがわせています。
 アメリカは元々、アラブ諸国のど真ん中にいるイスラエルを支援してきました。核開発も黙認するなど、その措置は寛大すぎました。ただ、同時にアラブ諸国民主化も支援してきた側面があります。レバノンもそうした国の1つだという事のようです。イスラム原理主義への反発と言う意味では、イスラエルを支持したい立場もある一方、レバノンの政府が崩壊してしまえば、ヒズボラなどの原理主義組織が政権を奪って、イランなどならず者国家と同じ状態になってしまわないか、という懸念があるようです。

 まあどちらにせよ、自分勝手な理由で一般市民を殺傷しているイスラエルの行動は、非難されて然るべきだと思います。北朝鮮にイラン問題と、世界情勢はかなり緊迫しているようにも見えます。原油高はしばらく続きそうですね…。