吉野家大盛況で、どうなる米国産牛肉&牛丼業界?!(2)

 すき家は、米国産牛肉の危険性をHP上などで宣伝して、自社の安全性をアピールし、顧客の吉野家への流出を食い止めようと躍起になってます。今回の吉野家牛丼再開に対しても、安全性が確保できないとして非難しています。ただ、すき家としては窮地に陥る可能性もあります。
 まず、すき家の現在の顧客について。すき家は、吉野家の牛丼休止を受けて、いち早く豪州産切り替えによる牛丼再開で顧客を奪ったわけですが、もし現在のすき家の客の多くが、「吉野家で牛丼を売ってないから、仕方なくすき家に…」と言う客だったとしたら…吉野家牛丼再開は、致命傷とのなりかねません。すき家は、吉野家が低迷している中で業績を拡大させ、自身の店舗の新設+なか卯買収での拡大路線を取ってきました。が、ここで吉野家から流れてきた客を奪い返されることになれば、当然拡大路線が裏目に出て業績は急降下するでしょう。
 もし、すき家の客の多くが、すき家の「トッピング牛丼」やセットメニューが好きで来ているのであれば話は別です。ですが、すき家の主力はあくまで牛丼です。
 同じく牛丼大手、松屋の場合は話が別です。松屋は、吉野家に牛丼だけでは勝てないことを思い知らされ、米国産牛肉禁輸前から、メニューの多角化を進めていました。定食を定番メニュー化したのは、おそらく松屋が最初だったんでは無いでしょうか? ハンバーグや焼肉、しょうが焼き定食など、メニューを広げることで顧客の拡大を進めました。その結果、米国産牛肉禁輸のショックを低減させ、他の牛丼大手との差別化が図れることにも繋がりました。現に、米国産牛肉使用について松屋は、「様子を見たい」としか話しておらず、吉野家が受け入れられるか、すき家が支持されるかを見極めるだけの余裕すらあるわけです。
 同じく、なか卯もメニューの多角化を進めました。ただ、モスフードサービスからゼンショーすき家の経営母体)に経営権が移って再開した牛丼が、とても美味しいとは言えないものになってしまっており、今までのような「価格よりも味重視」の路線が取れない可能性があり、危険を孕んでいます。なか卯は、牛丼のほかに親子丼とうどんを柱に据えており、うどんは未だに美味しいことから、これからどう差別化を図っていくのか注目しています。豚丼は美味しかったんですけどねえ…。
 そうした2社となか卯は異なるわけで、ですから、吉野家牛丼再開の影響をモロに受けそうなのです。
 また、あまり米国産牛肉の危険性を声高に訴えていると、それを面白く思わない政府関係から圧力が加わる可能性もあります。現段階では四面楚歌ってところでしょう。これで、松屋が米国産牛丼再開となれば、孤立化が深まる恐れすらあります。
 ただ、吉野家も綱渡りです。もし今度、危険部位を含んだ牛肉が米国産から見つかればどうなるでしょう? この前みたいな即禁輸は行わない、と言う見方があるわけですが、消費者からの信用はガタ落ちになり、逆に吉野家が孤立化する恐れすらあります。
 長くなりましたのでまた後日。