残業代ゼロ法案、とりあえず見送り

 ホワイトカラーエグゼンプション法案の提出が見送られたようです。まあ、これだけ過労やサービス残業の問題が深刻化しているのに、それらをないがしろにするならともかく、それに拍車をかけようかと言うこの法案が、国民の理解を得られるわけなど無いのです。
 この法案は、賃金の抑制に努めたい財界の強い要望を自民党が受け入れ、法案化されようとしていました。つまり、一部の大企業の身勝手な要望で、多くの国民に入るはずの残業代を削ろうと言うものだったわけで…。安倍内閣の、財界よりの姿勢を鮮明にしたものだと言えるでしょう。サラリーマンの定率減税を撤廃し、法人税は逆に減税するなど、企業よりの政治スタイルは一向に変わりません。ですが、この法案が潰れたことで、とりあえずはこの流れに歯止めがかかりそうです。次は消費税増税ですか…。今儲かっているのは金持ちと企業なんですが、消費税を増税すると、それらは痛くも無いわけですが、賃金が抑制されている層は打撃を直接受けるわけです。将来的には増税は止むを得ないと思いますが、「儲かっているところから税金を取る」のが鉄則でしょう。
 日本の景気は、全体を見れば多少良くなっていますが、それは企業が儲かっているだけで、個人消費が伸び悩んでいるので、国民全体の実感としては「何故景気回復?」となっていることでしょう。個人消費が増えなければ、何時まで経っても実質的な景気は良くなりません。国民全体が富まないことには、景気の好調さは持続せず、税収も頭打ち、企業もいずれモノが売れなくなり衰退するでしょう。もう少し、目先の利益に捕らわれないような政治は出来ないものでしょうかねえ? まあ、財界があまりに強く政府と結びついている現状では、どうしようもないのかもしれませんが…。これから、政治家は二世三世の時代になります。彼らは血統的に「政治家」なだけです。そんな人たちに、一般国民の生活がわかるんでしょうか? 南米などの左派政権のような、極端な人が出てきても良い時代になった気がします。