スキーバス死亡事故に見る、高速バス価格競争の弊害

【スキーバスが橋脚に衝突、添乗員死亡・26人重軽傷】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070218-00000004-yom-soci
 遂に起きてしまった(他にもあったかもしれませんが)感のある事故ですし、起こるべくして起こった事故と言えると思います。
 以前にも、高速バスの価格破壊については紹介しましたし、ちょっと異常な状態になりつつあることも書いたかとは思います。要は、価格競争が過熱しすぎて、肝心の安全面がなおざりにされつつある、と言うことです。
 今回の事故。記事を見てもらったらわかりますが、運転手は21歳、そして添乗員として16歳の運転手の弟(死亡)が乗っていました。規定では、運転手が2人乗らないといけないわけなので(長距離運転の場合は一応必須)、それに反した運行がされていたと言うことになります。問題はそれだけでは無く、21歳の運転手と言う、かなり若い人が運転していたことにもあります。あまりバスの運転手としては慣れていないのでは?と思うのですが…。こういう熟練していない人が、長距離運転を常にしている現状もあるわけです。また、過重な業務内容だったとも言われています。
 そう言えば、以前にちゃんとしたバス会社の長距離バスで東京に行った時のこと。運転士は1人で、その日は京都→東京。次の日は東京→京都か大阪。そしてその次の日は大阪→宮崎…。すべて夜行とは言え、年末年始を1人でこのような勤務をさせられているわけです。その運転手さんは非常に安全運転(…過剰に速度を落としていたようにも思ったけど)でしたが、1人ではいざ何か起こったときに対処ができません。
 おそらく、今回事故を起こしたバスの運転手は、居眠りをしていたんだと思います。事故を起こした場所は、そうハンドル操作が難しい場所ではありませんしね。そうしたときに、運転経験の無い弟がフォローできるわけも無かったんでしょう。
 今回のバス運転は、観光バス会社が旅行企画会社に運行を委託されていました。このケースは良くあることです。聞いたことの無いようなバスが、僕が通勤しているときによくその辺を走っているのを見かけますしね。これは、規制緩和で実現したことではあるんですが、今まではのんびりと観光バスを走らせていただけの会社が、企画会社から委託されて、いきなり過重な長距離バス運行を強いられている現状があります。そこに新規参入の会社があったり、既存会社も未熟な運転手を雇い入れ、コストカットを極限までして運行しているんでしょう。
 こうした悲劇は、何も対策が為されないとしたら繰り返されるでしょう。僕が乗った激安バスは、幸運にも事故を起こしてはいませんが、起こしても不思議の無い状態のバスもあるでしょうしね(僕が乗ったのは、運転手が2人いました)。
 タクシー業界の規制緩和も、最近問題になっていますが、高速バスの規制緩和も、確実に負の面が出始めています。価格面でかなり恩恵を受けてはいますが、リスクも背負っていることを自覚しないといけないのかもしれません。