年金問題は、何が問題なのか?

 年金問題が今回の参院選の争点だと聞いて、ちょっと呆れ気味のりきおです。
 と言うか、何が問題なんでしょう? 年金記録の紛失・取り違えでしょうか? 社会保険庁の体制でしょうか? 年金のシステム自体でしょうか? 僕は、最後の「年金のシステム自体」の問題以外は、全く選挙の争点とはなりえないと思っています。
 そもそも、年金記録の問題は、自民党の責任では無いです。まあ、社会保険庁のずさんなやり方を放置していたと言えばそうなんでしょうけど、そこまでの監督責任自民党や政府には無いと思います。あくまで社会保険庁が悪い=社会保険庁の体制が悪い=年金システムそのものに問題があった、とも思っています。それは民主党菅代表代行も関わっているんですから、ここを争点とするには、お互いに無理があるでしょう。
 もちろん、国民の不安を解消するためには、民主党が主張する「年金納付記録を全国民に送付する」と言う措置は欠かせないと思います。そうすれば、ちゃんと支払っていた多くの国民の不安は解消されるわけですから。そして、社会保険庁の歴代高官への責任追及です。いつからずさんな管理体制になっていたのかとか、データ移行作業で不備が多いまま通してしまったのかとか、それを見逃していた、あるいは見てみぬフリをしていたのか、そういう指示を出していたのか? などを、しっかり追求して明らかにする必要はあるでしょう。
 でも、それだけです。そしてその後に、年金システムの再構築に取り掛からなければなりませんが、現状で早急に打たないといけないのは、それだけでしょう。選挙の争点と言うには次元が低すぎます。
 それに、僕ら20代くらいの若い世代だと、年金の問題はあまり関係のない事です。別に近日中に給付されるわけではありませんからね。しかも、いくら未払い期間があろうが無かろうが、僕らが年金給付を受ける年齢になったときに、日本はどうなっているでしょう? 想像もしたくありませんが、年金をもらえるなんてことは露ほども思えません。日本は「人口減社会」に突入していくわけです。それを食い止めなければ、高齢化がより進んで、少ない労働者で膨張する高齢者の年金給付を支えなければならないわけで…。
 まず無理です。
 今でもカツカツの年金運営ですから、このままの給付水準を保っていけば、もう10年もすれば破綻するでしょう。少しずつ給付水準を下げていったところで、今働いている団塊の世代が一斉退職すれば、一気に労働者人口が減り、年金給付者が増えるわけで…。赤字になるのは目に見えているわけです。
 年金の財源に税金を充てることも検討されていますが、ただでさえ高い税金です。その税金だって、人口が減れば国に入る分は減るわけです。そして、残った少ない国民へ負担増を強いる…。もう娯楽にお金は使えなくなりますよ。それでも政府は、国民に向けた所得税定率減税は取りやめて、企業への法人税の減税は続け+更なる法人税の減税を行うそうです。また、不良債権を抱えている銀行は、赤字経営と言う事なのか、法人税は非課税なのです。あれだけ儲けておきながら。三井住友銀行だったかな?は、不良債権処理がいち早く済み、法人税の納付を再開したそうですが、他のメガバンクはまだ法人税を納めなくて良いそうです。全くふざけた話ですよ。それでボーナスが70万とか80万とか言っているんですからね…。
 つまりは、年金を納めている額=給付される額と言うシステムに変えないと、破綻するってことになります。一番損をするのは、僕らの親の世代でしょう。長年高い年金とかを納めてきたのに…となるわけですが、それも仕方の無いことかもしれません。だって、払えないんですから。これ以上厚生年金の額が増えてしまうと、本当に僕らとしては厳しいですよ。所得税よりも住民税よりも、厚生年金料が一番負担ですからね…。
 若い世代としては、年金が正しく支払われるか?よりも、これからの年金負担がどうなっていくのか?のほうに関心を持たなければならないでしょう。そして、将来も破綻の無いシステムにしていけるような政策を求めていかなければなりません。…が、残念ながら、自民も民主も、その他の政党もそうした政策提言をしてません。自民は全く場当たり的なことしか言ってませんし、民主の案では税収不足になるのは明らか。まあ、どっちがマシか…と考えて投票したいですね。それよりも、格差問題だったりのほうが重要だと思いますけどね。