ギャルゲージャンルは、もはや男性向け主要ジャンルでは無い現実

 前日の記事で、鍵ジャンルの衰退ぶりを書きましたが、それは鍵だけじゃなくギャルゲージャンルで全体で言えることのように感じてきました。もちろん僕は、鍵以外では活動をしていないのでわからないんですが、今の主要ジャンルを考えてみると、表題のようなことが言えるのでは無いのかなと思うわけです。
 現在の男性向け主要ジャンルを考えてみると…「らきすた」「初音ミク」「リリカルなのは」「東方」など、ギャルゲーとは違うジャンルがメインになっていました。少し前は「ハルヒ」だったわけですし、いずれもギャルゲーではありません。東方はゲームが元ですし、なのはも某ギャルゲー発のアニメではありますけども、いずれもギャルゲーを主としたジャンルではありませんでした。
 じゃあギャルゲーである程度の規模を誇っているのは…といえば、鍵系と、「Fate」などの型月系と、あとは「TH2」などの葉っぱ系がそれぞれそれなりの規模を維持し続けています。が、活気と言う意味ではどうでしょうか? 鍵は…リトバス発売で活気付くかと思いきや、一定の規模拡大はあれど爆発的な拡大には至りませんでした。
 型月系にしても、「Fate」の大元の発売からは4年くらい経ったんですかね? その後追加ディスクや派生作品などが出てはいますが、ジャンルの拡大には至る筈も無く、規模は徐々に縮小傾向のようです。
 葉っぱ系も、かつては「痕」「ToHeart」などが一大ジャンルを築き、更に「こみっくパーティ」「うたわれるもの」なども同人人気が高く、TH2でもかなり同人人気が沸騰したようですが、Th2ADがやや…だったこともあり、縮小傾向ではないかと思うのです。
 そう考えてみると、もはやギャルゲーの同人作品と言うのは、既に男性向け同人の主要ジャンルではなくなってきていると言うのは明らかだと思います。しかしそれはどうしてでしょう?
 かつて、男性向け同人の主要ジャンルは、主に葉鍵系でした。THでありKanonなどの鍵であり、これらのジャンルが、エロだけでない男性向けジャンルの二次創作という世界を確立し、拡大して行ったと言う歴史もありました(と、僕は勝手に考えているのですが、間違ってはいないですよね?)。それらの隆盛と共に、同人を書く側も買う側も増加し、アンソロ本などの形で商業誌との垣根みたいなものもなくなって行ったようにも思うわけです。
 しかしながら、年が進むにつれてギャルゲーの「重厚長大化」が進んできました。かつてなら、10〜20時間くらいでクリアできたのが、CLANNADでは40〜60時間、Fateはそれ以上というボリュームになってしまいました。それが、ギャルゲーをプレイする、あるいは完全クリアする妨げになっているのだと。また、シナリオの難しさとかも障壁になっているように思います。同人誌って、やはり理解できなければ書けませんからね。上辺だけで終わっているような同人誌でも、作家さんの人気度などで受け入れられることも多いですが、逆に存在が確立されていないような多くのサークルであれば、内容の薄さで門前払いになることも少なくありません。プレイだけでも大変なのに、それに加えて内容の理解や簡単な考察までやらなければならない場合もあるわけで、同人誌作成まで至るまでの過程がかなりあります。
 逆にアニメ発のジャンルではそういうことはありませんよね。アニメと言うのは基本的に一本道であり、更に言えば「受動的」な作品です。それに、何十時間と掛かり、かつ「能動的」にやらなければならないゲームに比べると、かなり触れやすいですし、読み取らなければならない情報もゲームに比べると多くないことが多いです。そして、それは書き手側だけに言える事ではなく、読み手側にも言えることだと思うのです。
 
 アニメとギャルゲーでの、触れている人口の絶対数の違いもあるでしょうね。ギャルゲーも昔は、例えばサクラ大戦シリーズであれば最高で50万本くらいは行ったくらいに、かなりのユーザー数がいました。ToHeartなんかでも、のべで20万以上は行ったんですかね(PC版とPS版を含めて)。もちろんFateなどは20万くらいはいるわけですが、それ以外の多くのギャルゲーは、いいとこ15万本くらいが限界で、あとはどれだけヒットしても10万本前後が限界なわけです。これがアニメだと、視聴率から類推しても、首都圏で3%くらいあれば120万人くらいは見ているという計算になるわけで…。前述の「見易さ」「触れやすさ」から考えても、ユーザーの裾野の違いは歴然だと思われます。
 
 また、ブームが長く続かなくなった、と言うのも影響しているように思います。
 ギャルゲーと言うのは、大作になればなるほど、1年というスパンではなく2,3年と言った長いスパンで発表されることが多くなってきました。かつては、1つのジャンルが1年くらいで衰退するってこともありませんでしたので(元作品にもよりますけど)、その次、その次と言った感じで継続していったんですが、今では1年周期くらいでジャンルを替えることが当たり前になってきています。コミケごとにジャンルを変更し続ける、というサークルさんも多いようにも思うわけです。そうなると、ハマるかどうか以前に、お目当てのゲームがちゃんと発売してプレイ出来るか、という保証が無いギャルゲーというジャンルでは、同人誌を出しにくいんですよね。ですから余計に、ギャルゲーというジャンルを選択するサークルさんも減ってきている…ような気がしています。アニメとかだと、短いスパンで切り替わりますが、参入障壁みたいなものが低いために気軽に参入できるようにも感じますし、深く長くハマらないために、ジャンルを変更しやすいという身軽さもあるでしょうし。
 
 もちろん、ギャルゲーで一旦ハマってしまえば、かなりディープに来ますし、長くそのジャンルにとどまることもあるでしょう。が、新規で本を作る人も買いに来る人もそれほど増えてこないわけです。なので、新鮮さを求めて別ジャンルに移動する人が増えるってのは、ある意味では止められません。ので、この傾向は、よほど革命的なギャルゲーが誕生しない限り変わらないんじゃないかとも思っています。
 
 それでも僕は、ギャルゲージャンル(鍵ですが)にとどまるつもりです。色んな作品に触れてもハマりきらないという、器用さが無いって面もあるんですが、やはり自分が一番好きなジャンルで書き続けたいってのが本音ですから。もちろん売れて欲しいのはやまやまなんですが、自分の好きなジャンルがもっと盛り上がって、その結果として自分の本が売れてくれる、って以外の方法で、売り上げを伸ばしたいとは思いませんから。
 難しいかもしれませんが、一筋で頑張っていくつもりです。