ゆるゆりアニメ化に対する期待と不安

　鍵っ子としてはリトバスアンソロなどでもお馴染みである、なもりさん作の漫画「ゆるゆり」のアニメ化が正式に発表になりました。当初から「祝アニメ化……だったらいいな」みたいな帯を単行本につけたりとアニメを意識してることを猛烈にアピールしていたこの作品ですが、原作もそこそこに溜まりつつあるのでタイミング的には今なんでしょう。なもりさんのツイートを観ていると、5〜7月に単行本3冊連続刊行（しかもストックはない）ということらしいので、アニメは夏スタートということでほぼ確定したのかな、と思っています。
　さてそんなアニメゆるゆりですが、当初からの原作読者の目線と、既に発表されているアニメスタッフ・制作側の名前から色々と想像してしまうわけですが、期待できそうな部分とむしろ不安な部分をそれぞれに挙げていきたいと思います。

期待する点

　期待としては、やはり現在の深夜アニメにおける需要と作品傾向が一致していることでしょうか。ゆるゆりの特徴として、タイトルからして直球なんですが「ゆるい」「百合」作品なんですよね。ゆるくて女の子だけの作品って、それこそ「けいおん」や「ひだまりスケッチ」などが築いた流れですが、明確に「百合」と看板に掲げている作品はあまりありませんでした。ただ、昨今の女の子ばかりの作品に百合的な要素を感じる人は多いでしょうし、更に百合的であるからこそ観ている、という人もそれなりにはいるでしょう。それに、現在非常に人気のある「魔法少女まどか☆マギカ」のような強い百合要素のある作品がウケている現状を観ても、このゆるゆりの「百合」を看板に掲げていることはかなりニーズとも一致するでしょうし、入りやすいのではないかとも思います。内容を観ればわかりますが、あくまでも「ゆるい百合」なんですよね。突き詰めてるわけではないですし、女の子同士が好きでも男の子が嫌いというわけではありませんしね。
　また、主人公（正式には違うのですが）の京子のキャラがイイですよね。仲良しグループのリーダー的な位置にいながら、ワガママだったり無茶な発想や行動をしたり、それでいて放っておけない魅力もあったりと、こうした系統の作品の主人公としては申し分ない立ち方をしていると思います。京子がちなつにこだわる一方、結衣との関係は冷めていませんし、綾乃には片想いされてますから、三角関係的なものとか、あまり報われそうにもない恋？も描ける良さもあります。その他の主要キャラもそれぞれに立っているので、人間関係にだけ集中できる（でも基本はゆるい）あたりも良いのかもしれません。作品を楽しむにあたっての入り方がわかりやすいと思います。

不安な点

　ただ不安もあります。まずはやはりアニメ化スタッフでしょうか。監督さんと脚本が太田雅彦氏・あおしまたかし氏という、共にみつどもえアニメと同じ人なんですよね。みなみけ一期のコンビでもあるようなんですが、個人的にみなみけは観てない＋みつどもえは観てきたのでちょうど比較になりそうなのです。
　みつどもえアニメは、一期後半くらいからは非常に面白くなってきてて、二期はほぼ完璧だったと思う出来でした（ただし8話になっちゃったので物足りませんでしたが）。ただ、原作からアニメにしての味付けの部分ではやや不満もありましたし、そもそも面白くなってくるのが遅かった印象です。とにかく、キャラが出揃うまでに時間がかかり過ぎたと思うんですよね。みつどもえは主要キャラが出揃った上に、割と残念な大人たちが出てくるようになってからが本当の面白さなのに、序盤はほぼ三つ子オンリーで進んでましたから。
　これをゆるゆりに当てはめると……やはりちなつちゃんでしょうか。ちなつちゃんの登場が遅いようだと序盤の掴みが非常に弱くなる恐れがあります。彼女の登場とともに、百合的な意味での三角関係が構築されたり、笑いの部分でも酷さが出てきたりと色々化学反応を起こしてくれているので、2話くらいから登場するような感じにしないと厳しいと思ってます。が、みつどもえの主要キャラが揃うまでのスロースタート気味な構成を考えると、同じようにゆるゆりでもやられると……と危惧しています。
　また、味付けの部分でも心配はあります。みつどもえでは、可愛いことを犠牲にして笑いを取るような味付けで、確かに面白かったのですが、その分、原作では可愛さもあってこそのみつばがただの雌豚になってしまっていたことで、主人公があまり魅力的に描かれないというマイナス面が出てしまった感があります。
　この部分も、ゆるゆりに当てはめると、やはり京子の味付けの仕方が気になります。京子は色々自由でかつ酷いキャラではありますが、ゆるゆりキャラの中では圧倒的に美少女なんですよね。可愛いから許されるような部分もあるんじゃないかとさえ思いますし。これを、美少女さを犠牲にしてコミカルで酷い部分を強調するような描き方になってしまったらどうしよう……？　と危惧してしまうわけです。圧倒的に可愛いことを保持していてくれさえすれば大コケはしないはずなんで、変なデフォルメはしてほしくないなあ、と思ってます。
　キャラデザの方の名前をあまり観ないあたりも心配です。実績がないだけで腕は確かなら問題ないんですが、何せゆるゆりはなもりさんのあの可愛い絵があればこその作品なので、あの絵が生きる、あるいは絵柄は違っていても圧倒的に可愛い絵柄でそれが維持されれば良いのですが。逆に、キャラデザの方向性が違っていたり、作画が頻繁に乱れたりするとそれだけでも結構萎えてしまいます。アニメ制作会社的にもさほどクオリティの高そうなところではないので、絵のクオリティが高いかどうかと、絵の質が維持されるかどうかが非常に気になっています。

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　個人的には、アニメをよく観るようになってからは初めての、漫画原作を初期から追っている作品のアニメ化ということもあり、期待と不安が入り交じったような状態です。もちろんゆるゆりキャラたちが動いて喋る絵は楽しみですし、アニメファンたちにどう受け入れられるのかも気になります。出来るだけ良い方向性でのアニメ化になることを期待したいと思っています。

【ゆるゆりアニメ公式サイト】
http://www.yuruyuri.com/