今夏コミから企業スペース拡大!ってどう思いますか?

 コミケットから書類が届き、アピールを見ていたのですが、かねてからウワサにあった、企業スペースの拡大が行われるとのことです。
 そのウワサ自体は前から聞いていて、ならコスプレはどうなるのだろうと思って注目していましたが、どうやら会議棟に移って続けられるようです。以前は会議棟に同人誌委託ブースがあったのですが無くなったので、スペースを有効利用する意味でもありそうです。コスプレ広場は、企業の大行列に圧迫されて有名無実化していたので、これはこれでいい措置なのかもしれません。
 ただ思うのは、コミケ側は企業の行列を、少なくする方向には考えていない、と言うことが気になります。
 この前の企業ブースのエントリやコメントでありましたが、企業ブースとして参加している企業の多くは、高い出店料を払って宣伝に使っているわけですが、一般サークルと同じく、利益が出ていないところが多いです。企業ブースにはこの2年くらいは行ってませんが、その前に行っていたころを思い出してみても、行列を作っている企業なんてごく一部で、大半は利益を挙げることを考えずに出展しているようでした。
 しかしながら、一部の企業では毎回のように大行列が出来、そういうところは物販で相当な利益を上げているのでしょう。もちろん、大行列が出来るような企業は、スペースも広く取る=出展料もたくさん払っているのですから、利益を上げても当然ともいえます。が、サークルには企業とのコラボを禁止したり、過度な儲け主義を慎むようなことを言っているのに、企業は聞く限りはそういうことも無いような…。まあ行列=体験版配布などの無料のイベントもありますから、すべての行列が儲ける為では無いのですが、そんな企業のためにコスプレスペースを移動させるってのが、どうも腑に落ちません。
 企業スペースには年々人が多く集まっており、アピールによれば昨年は、関係各所から指導が来るほどだったそうな。しかしその一方で、サークル申し込み数はピークを過ぎ、今回はどのくらいの当選率だったかはわかりませんが、前回あたりでも7割が当選していたように、徐々にですが減りつつあるようです。まあまだまだコミケという同人誌即売会は、全国の同人サークルからすれば魅力的なイベントですので、定数割れを起こすようなことはあと5年は無いと思いますが。ただ、企業が拡大する一方なのにサークル参加は横ばいなので、いずれパワーバランスが崩れるんじゃないかって気もしています。企業スペースをサークルスペースに転用した場合の話もありましたが、そもそも同人サークルの数が横ばいになりつつある中、これ以上サークルスペースを増やすことはしないでしょう。
 何せ、企業ブースはコミケットの、コミケ開催資金を捻出するためには重要な資金源ですから。秋葉原で起こったような事件も考えると、今回は更に警備費用がかさむ。そうなれば、企業を削るなんて考えはまず出てこないでしょう。ある意味で企業にとっては邪魔だったコスプレ広場も取り去ったことですし、より企業にとってはモノを売りやすい環境になったでしょうし、そうしたのはコミケットなわけで。
 もちろん、儲けの出るようになった企業の企業努力もあります。売れるだろうと見込んでグッズを大量に作って出展し、大量の在庫を抱えて大損を喰らった企業だってあるでしょうから、今そうやって儲けられている企業は、そうしたリスクを乗り越えたところでしょうし、人気を維持し続ける努力や戦略を取っているからこそ儲けられているわけですから、そうしたところを批判するのはおかしいんじゃないか?と言われても反論は出来ません。
 ただ、コミケって商用のイベントじゃないですよね? 二次創作の同人サークルはもちろんだとは思いますが、アマチュア自費出版をするサークルが、そうしたサークルさんと交流する一般参加者が主人公のはずです。もちろん企業ブースからサークルスペースに流れる人や、企業もサークルも回る人ってのが大半だと思うので、一箇所で色んなものが楽しめてイイ!という意見にも頷けます。でも、でも、これ以上の企業ブースの拡大は何としても避けてもらいたいのです。西4階にある現状のままならイイと思います。が、これが更に拡大する、なんてことになれば…。
 しかしながら、コスプレスペースが潰されなかったのは良かったように思いました。色々と問題はあるかもしれませんが、視覚的な意味でコミケサブカルチャーを代表するのがコスプレですから。会議棟のコスプレスペースがどんなものかはわかりませんが、そんな象徴を残しつつ、実利も取ったコミケットのバランス感覚には拍手を送りたいのです。

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[追記]
 サークルと企業のコラボは禁止されています。コラボというか、例えば企業が制作費を負担しての同人誌発行や、企業が発行元になっている場合だそうです。コミケットアピールに掲載されています。