月吉ヒロキ版「痕〜きずあと〜(一)」が素晴らしい理由を書いてみた

 出ていたのは知っていたんですが、何となく買い逃していたのをようやく買って読んだので感想を書いてみます。もう需要も何も無いでしょうけども。
 そもそも僕が初めてプレイしたエロゲー(移植ではなく18禁ゲームとしてのエロゲー)は「痕〜きずあと〜」であり、漫画版作者の月吉ヒロキ氏はtwinzitoで同人をやってた時代から好きで、それが商業で凄く好き、に昇格し(独蛾は名作ですね! 夏蟲も好きです)、そして「痕」のコミカライズを担当することになるなんて…。縁みたいなものを感じますね(黙れ。
 さて、内容ですが…いいですね! これは予想以上でした。氏が「VN3部作は根っこの部分を形作ってる存在なので」と言っているくらいで、コミカライズはこの人がやって正解なんじゃね?(懸念は製作スピードだけでしょうw)と思います。
 以下に「何故素晴らしいか」を列記しておきます。

1.エロい
 なんだそれw 月吉さんのエロマンガの素晴らしいところって、行為そのものに及んでるシーンの描写が特に素晴らしいわけじゃないですよね。どちらかといえば、エロいシチュエーションを作る、その行為に至るまでのプレイ、そして精神的な外堀埋めなどの部分が、月吉ヒロキ作品にはあったかと思います。それがこの「痕」でも存分に生かされてますよね。エロが描けないとコミカライズはつまらなかっただろう、と思えるような内容になってますよね。そして、ともすればさして広くは無い「痕」の世界観を、エロ描写で笑い方向、萌え方向、そしてグロ方向などへ広げる効果も持ってます。これは、エロマンガで精神的な描写に長けた月吉ヒロキ氏だからこそ出来るんじゃないかって思うわけです。ねちっこさも含めて。

2.作品世界の理解力
 もう古い作品ですし、僕自身もそれほど熱心にやったわけではありませんから原理主義的な人とは違う見解でしょうが、キャラの方向性や事件そのものへの向かい方などに違和感がありませんよね。柏木4姉妹の事件に対する立ち位置や耕一に対する接し方などがこの作品のキモだと思っているので、そこがスムーズに入れるのは、氏の作品世界の理解やリスペクトがあればこそだと思います。めちゃくちゃ懐かしいし、自分が楓ちゃん好きだったなあ、ということを改めて思い返しましたw 楓ちゃんいいよ。

3.貧乳キャラ中心だが巨乳も書ける件
 ロリ系エロマンガ家の隠れた?スキルとして、「おっぱいの描写が素晴らしい」ことがあります。貧乳中心なんですが、貧乳にもランクがあって、微乳だったり普通だったり大きいのだったり。基本的に大きいおっぱいしか描かない作家さんにはこの辺のこだわりが欠けるきらいがあるように思うんですよね。その点、月吉ヒロキ氏には小さいおっぱいでも色々描けますから十分に満たしていると思います。それに、「痕」の四姉妹は梓を除いて貧乳なんですよねw その貧乳序列みたいなものも書き分けられてますし、ひとり大きい梓のおっぱいも美味しそうに描かれてますし良いですよね。

4.主人公が隠れ外道なところ
 ここが氏の言う「根っこの部分」なのかなあ?と思うのですが。要は主人公である耕一です。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、要は「隠れ外道」ですよね(ぇ。この部分が、氏のエロマンガの主人公(男側)にもの凄く合致するんですよね。LOに最近載ったものは違うかもしれませんけど、前記の単行本二冊で出てきた男はだいたいこの感じですから。直接的な鬼畜さとか強姦魔、というタイプではなく(まあ十分重罪レベルですけど)、でも欲望に正直な感じとか。この辺はもの凄く「男性的な」考え方だと思いますね。これはたぶん、葉っぱのビジュアルノベルシリーズやWHITE ALBUMなどの初期作品やTH2などでも見られる傾向ですが、あくまで男性的な思考で生まれた、男性視点の話なんですよね。その辺が月吉ヒロキ氏と痕の相性の良さにも繋がってると思います。やや鬼畜風味な点も。

 絶賛してますねw エロの部分も、微エロ?までおkな雑誌のようなので、いわゆる「エロ抜き」のコンシューマ移植に比べるともの凄くちゃんと描かれてますし、「痕」の持つ暗さや混沌のような雰囲気も、作者自身の作風とも合致していてもの凄く良かったです。
 もちろん、「痕」の原作を知らない人に勧められるかどうかは微妙なところではありますし、あくまで男性目線でのお話ですので、鍵(Key)系好きの人にはあまり合わないかもしれません。が、これは是非完結させてほしいと思える、いいコミカライズだと思います。


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