休日分散化法案で、中小オンリーイベントが壊滅的に? ますます進むか首都圏への一極化

 休暇分散化法が現実味を帯びてきましたね。経済効果はそれなりにあるでしょうし、目先だけで言えばお金もそれほどかからないでしょうから、経済効果だけを見れば悪くないのでしょうが、東京が動いている時に地方が休みってのが通用するのかどうかとか、首都圏と北関東が分断されてるのは単に首都圏の人間が休みの時にお前らTDL来んな、的なことなのだろうかとか、全ては首都圏に住んでる者がその目線からしか議論していないようにしか見えません。
 
 そして気になるのが、同人誌即売会のことです。この手のイベントはほぼ日曜日、もしくは連休の祝日などに開催されているわけですが、これから先、開催して行くのに影響が出ないとはとても思えないのです。この休暇分散化がゴールデンウィーク限定とされるのか、春・秋の新連休にも適用されるのかはわかりませんが、例えゴールデンウィークだけでも影響は相当に大きくなりそうですし、春・秋に大型連休を新設されても、どれだけの人が休めるようになるのかが不明な状況では代わりにはならないでしょう。そうなれば、起こり得る状況がある程度推測出来るわけです。
 とりあえず思うのが、『イベントの開催出来る日程が減少してしまう』ことでは無いでしょうか? というのも、今年春の状況を見てもある程度明らかなことでは無いかと思うわけです。
 今年春は、例大祭・HARUコミにこみけっとスペシャルが加わったことで、一部のオンリーイベントがGWに延期するという事態になりました。これは大きなイベントが続くことで、オンリーイベントを手がけているスタッフの手が足りずに起こった事象のようです。そのため、GWあたりがものすごくイベント密度が濃くなってるんですが、4月下旬には「COMIC1」もあるなどかなり過密です。
 そもそもこの3月から5月にかけては、冬コミから時間もあり、夏コミの締切もあまり気にしなくていいという、コミケを中心としたスケジュールを組んでいる多くのサークルにとっては非常に都合のいい季節ですので、逆に言えばいろんなイベントがバッティングする時期でもあります。
 つまりは、そういう時期にあるGWが地域ごとに分散化してしまうのは、同人界にとっては非常に痛い事態になるんじゃないかと思うわけです。

 まず、開催出来る日程が限られてしまいます。GWは休みがたくさんあるためにイベントが多く開催できていたわけですが、普通の週末くらいになれば開催が難しくなるイベントも出てくるでしょう。GWだからこそ開催出来ていたイベンターさんも数多くいたでしょうし、遠方からの参加も当然難しくなるでしょう。
 例えば、首都圏は今まで通りの日程でGWがあるとします。それでもその日程でイベントを開催するとします。当然参加者は減るでしょうが、東京・千葉・神奈川・埼玉の4都県さえあれば、人数的にはかなりの数が動員出来るでしょう。そうなると、乱暴な意見ですが、首都圏の人間だけでもイベントが開催できてしまうことになります。現在でも、オタクをやろうと思えば首都圏以外に住んでいてはなかなか大変なんですが、同人においてもそれが加速しかねないということにもなります。地方からだと、夏冬のコミケ以外に出てこようと思うと相当な時間と金銭的な負担になるわけで。それにGWあたりだと、イベント+オフ会や旧交を温める場としても機能してそうですし、そういう機会も奪われかねないと思います。
 
 あとは、大規模イベントの寡占がより進んだり、オンリーイベントの総数が減ってしまうのでは無いのかと思っています。今年のGWは休日の数が日程上の問題から少なく、4日間しかありません。2,3日はコミックシティが、4日にはコミティアが行われており、それらとモロかぶりしないジャンルのオンリーイベント都産貿などで開催されていますが、現状でも細々とやってる感じです(これは失礼な表現なのか?)。それが3〜5日にイベントが開催できなくなってしまうということで、更に締め出されるのでは無いかと言う気がしています。流石にスタッフの数は有限でしょうし、開催に適した会場も有限です。それに一般参加者も複数のジャンルにまたがっている人もそれなりにいることでしょうから、イベントの取捨選択が行われます。来場者数が減少していくイベントは継続が困難になっていくでしょう。大儲けできるかどうかはさておいても、多額の赤字が出るようなイベントを続けていけるほど、ボランティア精神オンリーの主催者さんばかりでは無いでしょう。ごくごく小規模なイベントでも、経費も手間もかかりますからね。なので、確実にやっていけるジャンルが減少するはずです。

 そうなっていくと、ますますコミケなどの一部の大きなイベント以外は、首都圏の人たちだけの物になっていきかねません。まあそもそも東京のオンリーイベントに出るのは、地方で開催されるオンリーイベントは規模もジャンルも小さい(少ない)からではあるんですが、開催能力のあるイベンターさんが特に関西ではあまり存在していません。あるにはあるんですが、人気ジャンルを網羅するほどに人がいないような気がします。なので、いざ首都圏のオンリーイベントに参加しづらい状況が生まれたとしても、その受け皿となるイベントを関西などその他の地域では開催出来ない、と言うことにもなります。名古屋で多くオンリーイベントを開催してる主催さんは、人材の育成にも乗り出してはいるようですが…。

 GWが分散化することだけでも、それなりに大きなダメージとなることは確実ですが、これが春と秋の新設休暇両方に適用されて、なおかつハッピーマンデーが終了して祝日が減少すれば…なおさら、同人誌即売会への影響は甚大になっていくでしょう。今まで通りの開催とは行かなくなり、イベント間のパワーバランスが崩れたりすることもあるでしょう。
 
 まあ、こんな部分を政府が考えてくれるわけが無いとは思いますが、同人誌即売会に参加したりしている身からすれば、結構な死活問題ですし、余計なことしてくれるな…という印象だったりするわけです…。何とか、不成立とならないものですかね…。