ボーカロイドを意識しすぎない独自の空想世界の完成形〜sasakure.UK『ボーカロイドは終末鳥の夢をみるか?』

 聴きました。
■ササクレイションsasakure.UK/ささくれPのHP)
http://sasakure.bms.ms/sasakuration.htm
 思えばささくれPとの出会いは、僕がボカロジャンルに初めて入った2年前。ちょうど巡音ルカがリリースされて間もない頃でした。色々と聴いてみようと思い、「ワンダーラスト」を聴いてみてハマりました。その後「ニジイロ*アドベンチュア」の曲とPVを見聞きして「この人ハンパねえわww」となったのですが、その後ワンダーラストは殿堂入りして、「*ハロー、プラネット」で大ブレイクへと繋がったわけで……。ずっと追ってたわけではありませんが、どんどん増えて行く再生数を嬉しく思ったものです。
 そんなわけで、sasakure.UKボーカロイドは終末鳥の夢をみるか?』買ってみたわけですが……出来はほぼ完璧でした!曲を網羅しているのもそうですが、最初と最後、間に入るインストとか、曲の繋ぎとかも心地が良いです。素晴らしい曲配置でした。アレンジは……それほどささくれさんの原曲を聴き込んでいないのでよくわかりませんでしたが、「ワンダーラスト」で見ると、大幅なアレンジ変更は感じられなかったものの、原曲と比較すると相当なクオリティアップが感じられました。調教具合の微調整とか音質アップが良かったのかもしれません。
 あと、ブックレットや装丁がめちゃくちゃ凝ってますw それこそ、再販が難しいと思うくらいにw まあ一般CDとしてはそれほど珍しいレベルではないのかもしれませんが、ブックレットの紙質は分厚いですし、CDケース・ブックレット・外箱と分かれてますし、ブックレット内のイラストもかなり綺麗で、曲の傾向に合わせて大胆に描かれているように思います。このイラストは全部同じ人が描いているのか……。
 ちなみにこの絵は、昨年夏コミにササクレイションが同人で出した「ラララ終末論。」のジャケット絵を担当された茶ころさんが手がけているとのことです。なのでメジャー(インディーズ?)レーベルからの発売とはいえ、ささくれさん本人の意向が存分に反映されたものとなっていると思います。個人的には、今までのPVは多くご本人が描かれていたりとかで、ささくれさんの絵が前面に出てくるかと思っていたんですけどね。

 ささくれさんのボカロ曲は独特です。ファミコン時代のピコピコ音と、極度に調教しすぎないことで機械っぽさを残した歌声。そこが、ボーカロイドが機械であるという印象を強烈に聴き手に植えつけています。しかしながら、「バーチャルアイドル初音ミク」という側面は全く持ち合わせておらず、その世界観は独特かつ唯一性があります。
 比較対象は、やはりcosMoさん(暴走P)でしょうか。cosMoさんは「初音ミクの消失」などでもわかるように、ボーカロイドの本質を描いたりしていますよね。「Θ」のように、ボーカロイドとは全く異なるオリジナルキャラと世界観を登場させていたりなどです。それに比べるとささくれさんは、cosMoさんの例で挙げた後者(オリジナリティ)の部分では共通項がありますが、前者の「ボーカロイドの本質」という部分では共通しません。ささくれさんのボーカロイドを歌った曲は、「唄う機械」としてのボーカロイドでしかなく、その本質を描いたcosMoさんの世界観とは大きく異なります。しかし、機械であることを描いた作品では、機械らしさを残した歌わせ方をしていて、そこに強烈な個性を感じるのです。
 視覚的な効果も素晴らしいですよね。「*ハロー、プラネット」「カムパネルラ」のオリジナルPVや、他の方が作ったアニメーションPVの3つが収録されているのも特徴です。特に「*ハロー、プラネット」の、ファミコン風ドット絵アニメPVは、ささくれさんの代表的なものですよね。これを自ら作っただと……? という驚異的な出来です。アニメに込められた小物とか仕掛けの数々も歌詞とマッチングしており、しかも絵柄のデフォルメ加減もまた素晴らしいのです。これらはDVDにて収録されているので、ニコ動の一般会員でもいつでも高画質で見られますw ただし、ドット絵アニメPVの第一弾である「ニジイロ*アドベンチュア」が収録されていないのが悲しいのですが……。

 まあ何が言いたいかと言うと、とりあえずボカロ好きなら買え!ってことですw 最後には、Treowさん(逆衝動P)の「*ハロー、プラネット」のアレンジが入っていたりなど、幅広く活動をしているささくれさんらしいエクストラトラック?もあります。
 Amazonでは売り切れているようなので、ゲーマーズソフマップなどでお探しください。


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