天使と直井の目的は違っているのか?……そこから今後の展開を考えてみた〜Angel Beats! 第五話までの考察

 5話まで終わった時点で、Angel Beats!視聴者が一番気になっているのは、おそらくは会長代理に昇格した直井の存在だと思うわけです。第五話のED後の強硬な手段から第六話を想像すると、天使とはかなり違った方法で戦線メンバーと対峙する、あるいは取り締まるものと思われます。
 ここで気になるのは、天使と直井のしようとしていることは違うのか? ということです。まあ、見た目からして全く違うものだとは思うんですが、その根底の行動方針や目指しているものは本当に真逆なのか? ということが気になりました。同じ生徒会長という立場で戦線と対峙することになるわけですから、これから先の話がどう展開していくかも含めて、直井が登場した第四話から、その辺を検証してみることにしました。

    • -

 第四話の野球のシーンで、天使とともに、当時副会長だった直井が参加してきますが、ここでの天使の行動や目的が、直井と同一だったかどうかを考えてみましょう。
 どうも、天使は会長ではありながらも、自主性はあまり感じられませんし、教師や生徒会メンバーへのコントロールが完全に出来ているとも言い難く、むしろどうしても使わないといけない時だけ利用している、とも考えられるわけです。そして以前の考察で上げたように、天使はこの世界の均衡を守るために活動をしていたと考えられるわけです。なので、戦線がある程度の活躍をして顔を立てつつも、増長しない程度に抑え込むような動きに終始していたように思われます。
 そう考えると、副会長直井率いる生徒会・野球部メンバーはそれとは異なる動きをしていたようにも思えます。それは、戦線メンバーを一方的に潰す方向にベクトルが向いていたように思うからです。
 もちろん、世界の均衡を維持するためにも、戦線の力を縮小させるにも、共に途中までの行動は利害が一致しているわけです。ただ一つ、日向の昇天があるかどうかだけでしょう。直井がこのフラグに関わっているかどうかとか、それを知っていたかどうか、という問題はもちろんあるものの、日向が消えることは、岩沢が消えることに引き続いて戦線には大きな痛手となったはずです。第二話で音無を助けたり、第五話での活躍(?)を見てもわかるように、戦線メンバーの中では岩沢までとは行かないまでも、音無との関係の強さを考えてもかなりの重要なメンバーと言えると思います。そんな日向が消えてしまえば、戦線としては大きな戦力ダウンとなり、生徒会側との力関係が大きく変わってくるものと考えられます。
 直井としてはそれを狙っていたのではないかと思うわけです。もし直井が野球部をコントロール出来ているとしたら、決勝戦に日向チームを残して、接戦を演じて、最後にセカンドフライを打たせて、日向に取らせてゲームセット+日向昇天、と言うシナリオを描いていても不思議はありませんし、そうすることで一方的に戦線の力を削げるのですから、悪いことは何も無いでしょう。
 天使としては、戦線の力を維持したいという動きをしています。そもそも、天使のこれまでの戦線に対するやり方、戦線から攻撃された際に防衛する……と言うのはヌルいんですよね。戦線の力を削ぐ方法としては明らかに弱すぎます。やはりむしろ、戦線の力を維持したいと思っているような行動ばかりです。そうすることでこの世界の均衡が保たれて、世界を維持し続けられていたからなのですが。
 そう考えると、ユイの存在が俄然面白くなってくるわけです。ユイは天使の回し者ではないか? という記事を以前に書きましたが、それが現実味を帯びてくるんですよね。天使は直井が「日向を昇天させようする」動きを、ユイを戦線に送り込むことによって寸前で阻止したのではないのかと思ってしまうわけです。ユイと天使の関係は未だによくわかりませんが、四話でユイがOPで歌っていたバージョンを入れたことは、OPをユイが歌ったバージョンを作りたかったという思惑だけでは片付けられないと思うのです。つまりそれは、ユイは天使と似たような存在、あるいは分身のような存在なのではないのかと。そう考えると、あのOPのユイバージョンを作った理由もわかるってものですし、ユイが天使と関係が深いとか、あるいは副会長直井に対抗しうるための秘密兵器だという可能性も出てくるわけです。まあ偶然の可能性も高いのですが……。
 
 しかしながら、結局のところ誰が神に近いかという答えには、誰も答えてはくれなさそうなんですよね。直井も、どうも戦線の拡大を力づくで抑えこもうとしているだけっぽいですし、天使は天使でそこまでの力は今のところ感じませんし(でもまだ謎は残されているとは思いますし、もう一度主導権を握り返す場面もありそうですが)、ユイも今のところどこまで話の中枢に関わっていくのかはわかりませんしね。
 ただ、戦線にとっての当面の敵はおそらく、直井率いる生徒会であることは間違いないところでしょう。しかし、それが神に近づく方法とはとても思えません。世界の均衡が破れてしまったために、対立がより激化して潰しあいになる、という意味において敵同士なだけだと考えられます。なので、生徒会を潰してしまえば、あるいは戦線が潰れてしまえば結局は世界は終わってしまうと思われます。何で世界が終わってしまうのかと言えば、どちらかが潰れてしまえば、生徒会の秩序に対抗することを目的として生き続けている戦線メンバー、あるいは秩序を乱す生徒を取り締まることを目的としている生徒会中枢メンバーがそれぞれ、この世界における生きがいを失ってしまうことにもなります。そうなると生き残った片方のグループのメンバーも消滅してしまうんじゃないかと考えられるわけです。
 そして、世界の崩壊に繋がることを阻止していたのが天使だと考えています。天使は一方的に戦線を潰そうとしなかったり、戦線メンバーに先制攻撃された際にしか攻撃し返さなかったのは、世界を、戦線メンバーを維持し続けるために取っていたと思うわけです。

 ただし、世界には音無が入ってきてしまいました。イレギュラーかつ世界の均衡を崩すキッカケになった音無が入ったことで、天使のとってきた世界の均衡を保つための一連の行動方針は、世界の維持という意味で考えると、役立たなくなってしまったわけです。そこでようやく直井が現れて、戦線の力を削ぐ動きをしているのだと思います。
 音無については、これまでも色々と書いたとおりですが、五話でも天使を陥れることに加担してしまい、結果として生徒会側の力を削ぐ行動をしています。ただしそれまでは、戦線メンバーを消す行為に加担し(ようとし)てますので、個人的には決して戦線側の行動ばかりするキャラではなく、どちらのグループにもマイナス(?)に働くような行動をしているように見えるんですけどね……。引いては、世界の終わらせようとしているようにも……。
 ですから直井も、一方的に戦線の敵になるという意味ではなく、世界の維持に努めるという意味では敵では無い可能性も高いんですよね。天使を生徒会長から引きずり下ろすという戦線の動きが、これまでは全く成功しなかった(と思われる)のが、音無が加入してからは成功してしまったわけですから。
 

                      • -

 
 こうやってダラダラを書いてみましたが、色々と考えてみた結果、音無がすべての元凶かつ敵ってことになるのかなあ、と思います。天使も直井も世界の維持を目指しているとしたら……ではありますが。ちなみにユイも、当面はガルデモのメインボーカルとして歌うことが目的になるでしょうから、利害を考える上では同じですよね。生前の話が出てくればわかりませんが。
 問題は戦線……つまりはゆりっぺですが……。ゆりが世界の均衡のことを考えずに、音無の力を利用して世界の均衡を壊す方向で突き進むのであれば、ゆりは音無の存在をより重要視するものと思います。ただしそれは、世界の崩壊に繋がりかねないと思いますが、ゆりっぺはそこまでは考えていないように思うところが、もしかしたらAngel Beats!の核になる部分なのかもしれませんね。
 音無がどう動くか以上に、ゆりがいつどんな場面で気づくのか、気づいたときに世界はどうなってるのか、などが後半の見所になっていくのかもしれません。


Twitter「つぶやく」ボタン
Twitterです
http://twitter.com/rikio0505