『侵略!イカ娘』の良さは、視覚的・聴覚的なわかりやすさにある?

 「侵略!イカ娘」が思ったよりも話題になっているようです。Twitter上では侵略が進んでいるようですし、pixivでも1500件以上投稿されているようです。俺妹とかパンストなどの話題作には敵わないかとは思いますが、放送前のことを思えば大健闘というか、割と驚きの反応ではないのかな?と思ってます。
 以前のブログで「けいおん!初期の頃と似ている……」という記事を書きましたが、それだけではイカ娘の良さを書ききれていなかったので、今のところ思いつく限りのことを書いておきたいと思います。
 このイカ娘、確かにめちゃくちゃ面白いわけでもなく、また目新しい笑いの構造があるわけでもありません。同じチャンピオンで連載されている「みつどもえ」に比べると、笑いの破壊力や賑やかさ、内包されている要素の少なさなど、優っている部分を探すほうが難しいくらいです。
 ただし、何か既存の作品とは全く違う何かが惹きつけているのは確かです。何せ、計算されているのかいないのかがわからない適当なオチだったり、イカちゃんが残念だけど可愛い、くらいで非常に内容は薄いと思います。その話を3度見ただけで内容も全て把握できますが、それでも見ているとニヤニヤできますし、とにかく楽しいのです。この感覚こそが、このアニメの醍醐味だと思うわけです。奥深くもないし、メッセージ性を感じることもないですし、計算された様式美があるわけでもない。何よりこの作品がなぜアニメ化されたのかがわからないくらいに目新しさを感じないあたりが、むしろこの作品の特徴にさえなっていると思うわけです。

 例えば、非常に簡素なキャラクターの髪型や服装だったり、海の家や砂浜・海や空くらいしかない背景だったりと、見た目はとてもチープにさえ思えます。メインのイカ娘にしても、構造はよくわからないものの非常に単純な服装や帽子(イカなのでミミ?)です。しかしながら、イカ娘の作画は非常に安定してますし、表情や仕草、触手の動きなどはとても豊かで手抜かりはないように思えます。他のキャラクターや背景などではなく、リソースの多くをイカ娘自身の魅力に割いているのだとしても、他が簡素な分イカ娘を際立たせるのに役だっているのだとしても、どちらにせよ上手く行ってることになると思います。
 また、見た目にも耳にも、テキスト的にも分かりやすいのも特徴かもしれません。イカ娘において、例えば他のどのキャラを描いたとしても何のキャラかはわからないと思いますが、イカ娘であれば十中八九「侵略!イカ娘」のイカ娘であると認識出来るでしょう。青髪(触手)に白い帽子(ミミ)、白い服というわかりやすい見た目ですからね。それに加えて「……(で)ゲソ」「……(じゃな)イカ」という口調・語尾です。声優さんも非常に上手く発音していると思いますが、この耳に残る感じが非常に印象的で、視聴者を侵略しているようにさえ感じました。そして、Twitterなどのテキストベースの媒体でも、視聴者が気軽に「イカ」「ゲソ」語尾で発言していくことによって、より多くの人に触れ、しかも見たまんまイカ口調なので、イカ娘自体の知名度向上に繋がっていってると思うのです。
 そして、それで興味を持った人が見ようと思えば、ニコニコのテレビ東京あにてれちゃんねるで公式配信していますからね。誰でもいつでも見れる環境があるのもプラスに働いていますよね。
http://ch.nicovideo.jp/channel/ch7
 加えて、OP曲の「侵略ノススメ」のインパクトや中毒性もあるでしょう。今期のアニメで、最も曲を聴けばアニソンとわかり、更には何のアニメの主題歌かってのが丸分かりな曲って、そうありませんよね。その辺もこの作品が目立つ結果に繋がっているように思います。「俺妹」の主題歌が格好イイ感じなのと棲み分けも出来ていますしね。

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 あまり新しいことは書けませんでしたが、個性派や変態性の高い今期アニメの中で、普通さとわかりやすさの意味では個性を発揮しているように思います。わかりやすさの面では、視覚的・聴覚的な意味だけじゃなく、そのタイトルも一目瞭然なものになっていますからね。
 そうした要素の全てが、アニメ化することによっていい方向に流れているのが、この「侵略!イカ娘」ではないかな、と思ってます。個人的には「けいおん!」や「よつばと!」などのような日常系の空気感を持った作品に感じているので、今後も注目して観ていきたいと思います。

■初回版。裏はイカ娘なジャケットだそうです。

■通常版。イカちゃん描きおろし!

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