魔法少女まどか☆マギカのテーマは、「変身」なのか「大人になること」なのか

 さて、今回はストレートに、1話を観て読み取れた「魔法少女まどか☆マギカ」という作品のテーマについてです。「魔法少女モノ」という部分に囚われがちで、この作品がどういう方向に進むのか、特殊な世界観からわからない方も多いかと思いますし、僕も個人的に「これはわからないなー」と諦めていたんですが、とあるシーンを思い出して仮説を思いついたので書いてみることにします。
 とあるシーンとは、Aパートのまどかの母親が化粧をしているシーン(あるいはその前後)です。まどかの母親は、寝覚めも悪く、歯磨きをしていても変な声を出して非常にだらしなく描かれています。ただ、化粧を始めてそれが完成すると、バリバリの働くカッコイイ大人の女性へと変身します。そう、「変身」なんじゃないかと思うのです。化粧をする以前の母親と、化粧をした後の母親はまるで別人ですからね。
 まるで別人……そうです。ほむらがまどかに対して、「もう一人の自分になろうなんて思わないこと」とか「あなたは、鹿目まどかのままでいればいい。今まで通りに、これからも」という言葉を投げつけています。ここに繋がるのではないでしょうか?
 そもそも魔法少女は「変身」することで、もう一人の自分になることだと思ってます。なのでほむらは、魔法少女になることでまどかに変身させないことか、もう一人の自分を作らないこと、を言っているのだと思います。何がそうさせているのかは前回の記事を読んでいただくことにして。
 つまりは、まどかは魔法少女になることにより、変身する、あるいは駆け足に大人になる、のかな? と思ったのです。
 そういえば、OPでまどかが変身している場面があって、おっぱいの大きな女の子と手とおっぱいをくっつけている場面がありますが、あの相手ってまどかが成長した(今よりは大人になった)姿ですよね、たぶん。と考えると、やはり変身するということが、大人になることと繋がるのではないかと思うわけです。
 とすると、ほむらがまどかを魔法少女にしたくないのは、駆け足で大人になる事を体験してしまうことは良くないことだと体感した、という可能性も出てくるんじゃないかと思います。魔法少女に勧誘してるキュゥべえはその辺を知ってはいるものの、敢えて隠してまどかに近付いている、とも取れます。
 キュゥべえに関しては非常に怪しいのですが、あれだけ強大な力を持ったマミが夢の世界でほむらと戦っていないのは、もしかしたらマミは大人になりすぎていて、魔法少女で居続けられないからなのでは無いでしょうか? おっぱい大きいですしね(ぇ。マミが一人中三ということから、中学を卒業してしまえば戦えなくなる事情があるのかもしれませんし、学年が違うからこそほむらとは戦えないのかもしれません。この辺は憶測ですけども。

 登校シーンで、さやからがまどかの母親のことを「カッコイイ」と言ってるシーンがありますが、要は憧れの存在ってことなんでしょう。まどかには、もう一人の母親も見ているので素直に反応できないわけですが……。この辺は、大人になることへの憧れを示唆したものではないかと思います。マミに対しての反応も似ているものがありますよね。
 ちなみにまどかも、母親から派手な方のリボンを勧められてそれを付けており、地味一辺倒だった(と思われる)まどかが、一歩だけ大人への道を踏み出した……とは取れないでしょうか? そうやって少しずつ成長していく姿と、魔法少女に変身して急激にもう一人の自分を創りだしてしまう姿と、両方の面から大人になっていくさま、それがこの「魔法少女まどか☆マギカ」の根底に流れるテーマではないかと思っています。タイトルが「魔法少女」なのに、最後にも「マギカ→magica(magicから派生?)→魔法」と、魔法が2回使われているところを見ると、魔法少女になる意味以外の「魔法」も存在するんじゃないかなー、とも思うからです。

【関連】
『1話から読み取る「魔法少女まどか☆マギカ」の謎とキャラ相関』
『魔法少女まどか☆マギカで狙った? 蒼樹うめ絵とのギャップ効果』

Web拍手送信