魔法少女まどか☆マギカの、「魔法少女」は「穢れ」の存在なのか

 まどマギ2話を観ていて、あとラジオで話していたりご意見を貰ったりしながら、まどマギにおける「魔法少女」が決して良いものばかりではないどころか、かなりリスクが大きいような描かれ方をしていたことについて考えています。例のケモノは、魔法少女になると決めてくれたら何でも願いを一つ叶える、と言っていましたが、なってしまうと定期的に魔女狩りをしていかないと生きていけないような気がしますし、どうやったら魔法少女から卒業できるのかが現時点では全くわからないままだったりします。
 「二つ返事で」魔法少女になることを受け入れるとか軽く言っていましたが、正直言って、裏がありそうなさやかはともかくとして、現時点ではまどかには魔法少女になる動機が全くないんですよね。両親も弟もいてしかも仲がいいですし、友達もそれなりにいて、学力的にもさほど問題なさそうと、幸せそのものですし、魔法少女になることのリスクを引き換えにして願うものも無いんじゃないかと思ってますし、わざとそういう設定にしているのだと思います。

 マミは魔女を倒していますが、この行為って「魔女狩り」なんですよね。欧州では頻繁に「魔女狩り」が行われていたようですが、その大半が罪の無い女性を魔女と決めつけ、殺したりしていたことでした。非常に「負」のイメージが強いですよね、この「魔女狩り」という行為は。と考えると、この「魔法少女が魔女を倒す」という行為は果たして正義なのかどうかが曖昧になってくるような気がします。
 そもそも、まどマギでいう「魔女」は、結界の中に入っている人間を攻撃するほか、「魔女のくちづけ」とあったキスマークみたいなものを人間に付けて生命力を吸い取る(逆に言えば、生命力を吸い取ることでキスマークみたいなものが付く)、その結果その人間は夢遊病みたいになる、というのが現時点での魔女の悪事の全てです。1話の魔女が出てきたタイミングや場所的なものは不明ですが、2話は自分たちで探して乗り込んでいったように、積極的に攻撃をしてくるような存在ではなさそうです。地球や世界を征服しようと言うようなものはまだ見えませんし、魔女同士での横のつながりがあるのかどうかも現時点では不明ですが、なさそうですよね。魔女の親玉みたいなものがいるのかどうかもわからないわけですが、放っておいたら人が何人も殺されるようなもののようにはあまり見えません。マミのセリフからは、弱った人間の多い病院などはターゲットにされると危ないとかそういう説明はありましたが、割に地味ですよね。なので、「絶対悪」とは言い切れないように感じています。
 そもそも、マミは魔女を攻撃していますが、ほむらは魔女とまだ戦ってないんですよね。マミが渡した魔女から手に入れた種みたいなもの(グリーフシード)も投げ返しましたし、あまり魔女狩りそのものに積極的には見えません。マミやキュゥべえの説明が本当だとしたら、ほむらの行動は自らの首を絞めるようなことになってしまうのですが……。
 ほむらが魔女狩りに積極的ではない理由が何なのかは全然わかりませんが、例えば、魔女が悪とは言い切れないような存在なのだとしたら納得が行きますよね。そして、魔女狩りそのものが実は良くないことだったり、何か負の面があるのだとしたら、「魔女狩りを生業とする魔法少女」そのものが正義でもなんでもないことにもなってしまいます。
 ほむらが1話冒頭の夢の世界で戦っていた相手が魔女なのであれば、魔女はいずれ魔法少女たちを撃破していって世界を乗っ取り、最後まで残ったほむらと戦っていることになるわけですが、そもそもマミがいないこと自体がおかしいですし、そこで新たな魔法少女が必要な意味と考えると、魔女狩りをした魔法少女は世界を救えないのかな? という考えに辿り着くわけです。つまり、魔女狩りがいわば「穢れ」るということを示唆しているのではないかと思いました。
 そう考えると、キュゥべえがまどかやさやかをスカウトしたがっている理由も繋がりますし、マミがほむらと戦えない理由にも繋がるような気がします。とは言え、魔女と全く戦わないまま世界を救う戦いに放り出される……と考えるとあり得ないのですが……。
 魔法少女になることそのものが「穢れ」なのかもしれません。普通の女の子には戻れないのかもしれませんし、願いを叶えてもらうために魔法少女になる、ということ自体が、そもそもあまり良いことのようには見えませんしね。キュゥべえ魔法少女になるために「契約」という言葉を持ち出しますが、魔法少女が憧れや羨望の存在、というイメージで使う言葉ではないような気もします。むしろ、「願い事」と引き換えにした「呪い」のような、「願い事を叶えてもらう」ことに対する「代償としての魔法少女」なんですよね、完全に。
 ほむらがまどかを魔法少女にさせたくないのも、魔法少女が穢れの存在であるのであれば理由としては真っ当ですよね。ソウルジェムが汚れきらないように、定期的に危険な魔女狩りをしなければならないわけですし、魔女に負けたら死ぬんでしょうしね。あまり戦わなかったり、魔女が運悪くグリーフシードを持っていなかったりしてソウルジェムが汚れきったとしても、何らかの代償を払わなければならなくなるんでしょう。魔女になってしまうとか。そういえば、魔女を倒した時に出てきた「グリーフシード」の「シード」は種だと思いますが、「グリーフ」をカタカナのまま意味を検索すると、他者の死に直面した時に人が感じる「悲嘆」だそうで……。悲嘆の種という、魔法少女には有用なのにその名称というのは、何か良くないことのような気がしてきます。
 「願い」から生まれるのが「魔法少女」で、「呪い」から生まれるのが「魔女」であるとしても、願いも呪いも基本的には同じような意味ですよね。そういう意味では、魔法少女はもしかすると、魔女に近い存在なのかもしれませんね。

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 とまあ書いてみたんですが、割と妄想の部分が多かったですね。ただ、「魔法少女まどか☆マギカ」における「魔法少女」が、決して良い事・存在ではないのは2話時点でもわかるとおりです。魔法少女が絶対正義ではない、という描き方はこのまどマギという作品の1つのテーマになってるんじゃないかと考えていますがどうでしょうか?

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