エロ・グロ・カオス・バトル・変身が織り成すハーモニーが見所の「これはゾンビですか?」

 オリジナルアニメが元気な今期ですが、原作のあるアニメでは「これはゾンビですか?」が個人的には一番面白いと思ってます。やってることは戦いのある一般的なラノベ物……のはずなんですが、とんでもなく尖りまくっているんですよね。尖っているのに上手くまとまっているというか、非常に不思議な感覚がする作品になっています。
 そんなこれゾンの面白さについて、原作未読かつアニメ6話までしか観てない自分が感じる部分をつらつらと書いてみました。

  • 設定的に面白い

 主人公は殺された後にゾンビになって復活するという設定からして無茶苦茶なんですが、そのゾンビ設定を非常に多彩に使えているなあと思います。太陽を浴びると干からびる部分は割とギャグな部分ですが、基本的に夜に事件が起こりやすい話の内容に繋がっているようにも思えます。また、殺されても死なないあたりも、事故にあっても死なない1話冒頭のシーンやハルナに真っ二つにされるシーンなどでは笑いに使われていますが、ガチで戦う時にはその殺されても死なないことを利用して無茶苦茶な絵ながら戦いますからね。他人を庇ってみたり、人間の限界を越える力を使うのに利用していたりと、自由に幅広い解釈をしているように見えます。
 そんな主人公が「魔装少女」のハルナの能力を吸収してしまい魔装少女に変身できるのですが、その誰得感と圧倒的な強さが何とも言えない微妙なラインで面白いわけです。毎回のように女装変身シーンを見れるという本当に誰得な感じですがw

 この作品って、もの凄い頻度で流血シーンがあります。主人公がゾンビで刺されても死なない設定からではあるんですが、主人公の命を奪った何度か死ねる設定の京子も、途中で出てきた犬のおっさんとか殺されるモブキャラとか、とにかく死ぬ、殺される場面を何度も見せます。特に最新の6話は何度死ぬシーンがあったことか……。
 それだけではなく、空中戦で主人公がメガロを真っ二つにするシーンなど戦闘シーンは実にかっこ良かったりもします(ただし女装)。
 そして、どの要素も基本的にはわかりやすいんですよね。大先生がどうとかハルナやセラ、ユーもそうですが、彼女らが何処から来たのかとかわからない設定はかなり多いのですが、そことは関係の無い部分だけでも十分にわかりやすい面白さがあるように思います。5話まで、主人公が何で殺されたのかとか、ユーが何者なのかということすらわかりませんでしたからが、それでも面白かったですからね。視覚的な部分のわかりやすさと、1話単位で何処を観ればいいかという部分でのわかりやすさ、主人公やヒロインたちの思考パターン的なわかりやすさ、これらのわかりやすさがこの作品にすんなり入れる要因になっているのだと思います。
 わかりやすさと、視覚的にもわかるインパクトと。どこか狂気じみたあたりも含めて、この作品を際立たせてるように感じました。

  • あざとさを感じないエロとハーレム要素

 今期アニメではこれか禁書IIかという感じで、割に裸やパンチラ(ただし主人公とハルナ限定)が出てきます。お風呂シーンも出てきますし、変身が解けて裸になる、という定番の露出度高めな感じにはなっています。が、まあそう目立たないというか、数ある要素のうちの1つに過ぎないって感じなんですよね。
 そして主人公は女の子3人と暮らすハーレム形式にはなってはいるんですが、ハルナは多少デレているとはいえ基本的にはツンデレですし、ユーは感情の動きでメガロを呼び寄せたりしてしまう性質のためあまり感情が出せない設定ですし、サラは主人公のことを認めつつあるものの「クソ虫」呼ばわりと、出会って少し関わっただけで堕ちる某ラノベ原作アニメに比べると、凄くハーレムっぽくないのです。段階をちゃんと踏んでいるというか、ご都合主義的にはなっていないというか。この描き方は個人的には非常に好感が持てます。

  • 主人公が良い

 この手の作品は、主人公の性格設定や魅力によってある程度人気が左右されますが、個人的には凄くいいバランスですし、魅力あるキャラじゃないかと思います。
 殺されてしまったことを受け入れつつも、その犯人探しを熱くなりすぎず、でも投げやりな感じでもなくやったりしているあたりとか、メガロたちと戦う時でも最後はきっちり決めるあたりだとか(ただし女装)、妄想ユーにはデレつつもさほどエロい目線ではヒロインたちを観ないクールさだったりとか、結構二枚目も三枚目も演じている感じなんですよね。こういう主人公の作品って男女ともに観られると思うので、その意味でも割とイイんじゃないかと思います。敵と戦う見せ場のシーンでは常に魔装少女姿なので、どうしても格好良さが減ってしまうのは勿体無いような、原作の要素的には仕方ないような、という感じですが。

  • 様々な要素の出し入れの上手さと懐の深さ

 1話がとにかく凄かったんですが、シリアスな感じで始まったと思ったらOPまでにゾンビ告白→主人公が轢かれ→服が脱げる→女の子パンチラという展開の目まぐるしさを見せるという、個人的には神構成だったと思っています。
 1話みたいな、ややカオスアニメ的な雰囲気は2話以降はやや薄まった感じでしたが、コミカルなシーンとシリアス、バトルにスプラッタ的な演出を凄く上手く出し入れしてるな、という印象は強く持っています。詰め込み感は無くもないんですが、作品世界があの街くらいに限定されているのと、登場人物が今のところそれほど多くないことが幸いしているのか、無理があるようには見えませんし、視聴者が置いてけぼりになるような感じではありません。やはりこれは、シリーズ構成の上手さに尽きるんじゃないかと思うわけです。
 一見さほど重くなさそうな感じにも見受けられるんですが、そもそも主人公は殺されてゾンビになって復活しているという設定や、それをしたのがネクロマンサーであるユーなあたりから、「死」というテーマに思いっきりぶつかっていってるんですよね。ただ、突き詰めれば重すぎるくらいに重く出来るところを、魔装少女姿の主人公とか脱力EDなどで中和しているような印象もあります。カオス系の話も、シリアスな話にも、どちらにも転べるようにしているあたりは懐の深さとしてあるように思います。

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 ホラーというかスプラッタ的な演出は、作品の唯一性は高めてますが人を選びそうです。あと、懐の深さ故に「じゃあ結局何処を主眼として楽しめば良いのか?」という人も出てくるかもしれません。同じラノベ原作アニメの禁書や俺妹、ISほどにわかりやすい楽しみ方があるわけではない気はしています。
 見た目的には、やや作画にバラつきが大きいのは難点でしょうか。あとは、BD/DVD販売的には「角川価格」なので高すぎるのが影響しそうな気がします。
 まあ、内容的に万人ウケするものでは無いと思いますが、良質な娯楽作品としてなかなかよく出来たアニメだと思います。魂を抜き取られてゾンビのような状態にされた魔法少女モノが今期は他にもありますが、こちらはこちらで違った楽しみ方が出来ると思いますよ。タブーをやりまくってる辺りは非常に似てる気はしますがw

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