アホの子たちによる不条理展開アニメ「そふてにっ」が面白い

 今期予想を裏切って面白い作品が多いのですが、その中でも大きく期待を裏切る面白さを提供してくれているのが「そふてにっ」です。
 放送開始前は、ゆるい部活アニメということで「けいおん!」的なものを想像していたのですが、1話観て「思ったよりもエロ寄り……ジーベックだからか」と拍子抜けしていました。が、2話以降を観てる限り、主人公の明日菜が致命的にアホの子だし、他のキャラもそのアホさにツッコミを入れられるほどではなくむしろアホさにアホさをかぶせてくるような内容で、思っていた以上にぶっ飛んだ作品でした。今回は4話までしか観てませんが、その面白さを色々と書いてみたいと思います。

  • 理性的なキャラがいない

 前述で挙げた「けいおん!」だと、律だったり梓がゆるふわ空間を締めたりツッコミを入れたりしていたのですが、この「そふてにっ」に関してはそういうキャラは一切いません。
 普通は主人公がそういう役割を担ったりするのですが、むしろ妄想が暴走するキャラかつ、自分のパンツを観られてそれを褒められても喜ぶような子なので、致命的すぎるアホさでした。そしてそんな主人公の周りにいるキャラも、その異常さに全くツッコミを入れるわけではなく、更にそこにボケを重ねてくる感じなので救いようがありません。
 女の子だらけの作品で男キャラが少ないのですが、割とレギュラーで出てくる男キャラであるコーチも……やはり特にツッコミを入れてくれるわけではなく、むしろちょっとおかしい感じなので、もはや誰も止めてくれない感じです。

 「そふてにっ」を観ていて思うのが、「日常」よりも不条理さで笑えるのかな……ということです。ソフトテニス部部長が1話でいきなり乳搾りしてるのには驚きましたが、台風が来て魚が飛んできたりサンショウウオに部長が全裸で乗ってたり、その後なぜか吹雪になったり、学校の地下にスーパー銭湯並みの大浴場があったりと、どこからツッコミを入れていいかがわからないカオスさが、割とどれも面白いんですよね。勢いで笑わせている感じはあるのですが、突発的なネタではなく流れの中に組み込んでいるからなのかわかりませんが……。
 なので、流れとして見せていない「日常」に比べると凄くわかりやすくカオスなんですよね。流れの中で不条理空間に引きずり込んでいるので、観ている方としても凄く納得できるというか、いつの間にか笑っているという感じです。

  • アホ可愛いキャラたちとキャスティングの妙

 アホ可愛いというのは最近ではなくこういう萌えふわな作品では必要な要素ですが、ここまでアホ可愛いキャラだけで構成された作品はなかなか無いんじゃないかと思うくらいに脳内がお花畑なキャラしかいません。普通はツッコミキャラを入れて締める方向に走るのでしょうが、そういうキャラを置かず何処に行くかわからない展開にしてるあたりが凄く面白いと感じています。
 あと思うのが、キャスティングがわかりやすく非常にハマっていることかもしれません。主人公で起用されている伊藤かな恵さんは個人的に好きでもあるんですが、彼女を起用したということは、既にその時点でアホ可愛い属性が付いちゃってるんですよね。今放送してる「神のみぞ知るセカイ」だったり「花咲くいろは」なんかでもそうですが、彼女の声とアホ可愛い属性との親和性は異常だと思えるくらいです。そして、そんな彼女の声を最大限生かしつつ更に暴走させたようなキャラがこの主人公の明日菜だと思うのです。他の作品だったら、多少理性的な面を見せたり控えめだったりするのですが、それこそイカ娘の長月早苗のような暴走っぷりなのに主人公、なのが非常に面白いと思います。
 2番手キャラ的である琴音が喜多村英梨さんなんですが、ここもめちゃくちゃハマってますよね。報われない系の片想いかつ思い込みツッコミキャラをキタエリが非常に上手く演じてるというか、ほぼ声のイメージのまんまな気がします。というか、他の声優さんを起用するという策があったのかどうかと思うくらいに……。ツッコミを入れる係とは言え自身も暴走しているので理性的なポジションでも無いわけですが、その辺も含めてここにキタエリを持ってきた面白さがあるんじゃないかと思っています。
 部長の千歳役の伊藤静さんは……おっぱい大きいからじゃねえかああああ、としかツッコミ入れられませんが、声のイメージで巨乳キャラとなる彼女の起用も非常に分かりやすいですよね。もちろんハマっていると思います。
 他のキャラもそうですが、声優アニメというか、ランティスが絡んでいるからか声優さんの布陣はベストというか、何も言うことはないレベルで素晴らしいと思います。それが面白さを加速させているという意味でも凄いキャスティングなのではないでしょうか?

  • アニメ化効果とアニメオリジナル要素が噛み合っている

 原作を少し読んだのですが、かなり雰囲気が違うんですよね。エロ妄想展開は割とそのまんまではあるんですが、不条理ネタがもう少しあっさりとしているのが原作だったりします。ので、上手くアニメでその部分を膨らませているんですよね。ED前に牛の花子が脱走するネタがありますが、あれはアニメオリジナルですし、オリジナル要素も上手く絡ませていて、原作にはない面白さもプラスしているように感じています。
 不条理ネタそのものも、漫画で描かれたものよりもアニメとして描いたほうがよりぶっ飛び方が違うというか、映えたようにも感じています。ちゃんと原作読んでないので詳しくはわかりませんが、少なくとも原作をそのまま動かした系のアニメとはかなり異なる印象ですし、そのまま動かしている部分もアニメとして面白くなっていると思います。
 何というか、アニメとして面白く見せられているというか、その効果をアニメ制作スタッフが非常に理解して作られているなあと思うんですよね。それこそ、アニメのイカ娘みたいな感じで。手の入れ方と抜き方の力加減も面白いですし、京アニみたいな動かし方をしなくても面白く見せることが出来るというか、凄く等身大の作りをしているような気がしています。キャラデザも、ぷにっとした感じかつシンプルで描きやすそうな感じにしていますしね。その辺も面白さにプラスされているのかな? と思っています。

  • 主題歌の組み合わせの妙

 OPがULTRA-PRISMでEDが伊藤かな恵さんの個人名義ということで「侵略!イカ娘」と同じ組み合わせだったりするんですが、OPが元々ウルプリの持つ電波っぽさに声優さんたちが加わって非常に賑やかというかカオスさが加わってます。これって……そふてにっアニメの内容とめちゃくちゃマッチングしてるんですよね。そしてEDの伊藤かな恵さんのソロボーカル曲がシンプルかつ元気な感じになっているので、上手く毒抜きしつつも爽やかに締められるんですよね。
 いやあ、完璧だと思います。ほんと素晴らしい。

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 個人的に、ジーベックということで安易にエロ方向に走ってしまうのかなーと心配していただけに、この面白さはかなりの誤算です。コーチが男性ということで、女の子だらけの百合系作品としての面白さは半減するのかな? とも思っていたのですが、むしろコーチが割と不能かつアホだったので杞憂でしたし、ここに男性を入れることがアクセントとして非常に機能しているようにも感じています。
 声優さんの起用も、ただ単に名前を揃えただけではなく、声のイメージとキャラがここまでハマったのもすごいなあと思いますし、キャスティングやアニメとしての方向性の決め方なと、企画段階から良かったのかな? と言う感じですね。
 どういう系統のアニメが面白く感じた人にオススメ出来るかわかりませんが、「これは酷いwww」と楽しめる人になら広くオススメ出来るんじゃないかと思っています。
 ソフトテニスを中学時代にやっていた身からすると、何故か「ソフト手ニス……あるあるw」ともなるような非常に際っぽいネタも入れていてそこにもニヤニヤできますが、もちろんソフトテニスのネタなんてメインではないので、そこも関係なく面白いと思います。今期では一番何も考えずに笑えて萌えられる良作でしょう。オススメです。

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