男性向けジャンルでの女性向け同人誌の面白さと、立ちはだかる男性向け/女性向けの垣根の存在

 最近、ちょくちょく女性向け同人誌コーナーを覗いているんですが、先日2期が終わった「とある魔術の禁書目録」の女性向け同人誌がまとまった数置いてあるのに気づき少し驚いてしまいました。しかも、「一方通行×上条当麻」という腐女子的なカップリングではなく、「一方通行×打ち止め」とか「上条当麻×インデックス」という感じで男×女のノーマルカップリング本なんですよね。もちろんそういう男性向け同人誌も出ているわけですが、同じカップリングの本が敢えて女性向けコーナーに置いてあるのを観て少し驚いてしまいました。もちろん男女問わない爽やかだったり可愛かったりするカップリングではあるんですが、違った目線で描かれたとはいえこれらが男性向けと女性向けで分けられていること自体に少しだけ違和感を感じてしまいます。男女ともに人気のあるジャンルだからこそ起きる現象なんでしょうけど、別にエロを求めているわけではないのでカップリングに違いがない以上、少し勿体無いなあと思ってしまいました。
 まあ、こういうジャンルは何も禁書だけに限りません。キャラ萌え作品という認識の強い「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」でも女性向けカップリング(赤城×京介しかありませんが)が存在したりしてましたし、昨年旋風を起こした「Angel Beats!」も非常に女性人気して、一時は男性向け同人誌を上回る女性向け同人誌が出る自体になり、しかも男×男以外のノーマルカップリング本も割とたくさん出ていましたが、男性向け/女性向けで分けられていた印象もありました。
 これまで男性向けの同人誌にしか手を出してこなかったわけですが、主に買っていたKey作品(Angel Beats!リトルバスターズCLANNADなど)では書き手側に女性作家さんが多くてさほど男性向け・女性向けを意識することもなかったので何も感じませんでしたが、こうやってバッサリと分けられているジャンルを観てると少し思うところがあります。
 何故こういう現象が起きてしまうのかと言えば、やはりどのジャンルを経由してそのジャンルに行き着いたのかがバラバラだからなんでしょうね。禁書でいえば、電撃文庫繋がりでデュラララ!!あたりから流れてきたのかとか、単に深夜アニメを幅広く観るような層がたまたま行き着いたのかなどでその作家さんの出身ジャンルが変わってくるわけです。禁書の場合、超電磁砲ほどには男性向けジャンルが活性化したようには見えなかった(特に2期。1期当時は憶えていない)ので余計に女性向けでの本が目立つ結果になっているようにも感じますが、やはり大人気の一方通行さんが惹きつけたようにも感じました。1キャラだけで、あるいは彼と上条さんとの絡みだったり、打ち止めだったりインデックスとの絡みなんかがフィーチャーされた2期はその辺に食いつきがあったように思えます。なのでそういうのが好きな人たちに支持されて二次創作としてまとまった人気を獲得していったように思います。
 主体的なオンリーイベントが無いというのも、男性向けと女性向けで分かれてしまう一因なんでしょうね。オンリーであれば同じ空間で同じカップリングの本を求めて男女関係なく集うわけで、非エロであればそこに男性向け/女性向けは関係ないように思います。Angel Beats!なんかだと、AB!全体的なオンリーイベントであったり、BLカップリング限定のオンリーイベントだったりと色々と開催されていましたが、ああいうのも分断してしまう原因ではないかと思います。コミケなどのオールジャンルのイベントがあるじゃないか、という声もあるかと思いますが、「アニメ」なのか「小説」なのか「男性向け」「女性向け」とジャンルが細分化されており、それによってメインターゲットも変わりますしどのジャンルにその作品の同人誌を求めて一般参加者が集まるのかがわからないのでサークル側もターゲットを絞らないといけないんですよね。禁書はそういう意味では「女性向け」ジャンル?としても需要が見込めるのでしょうね。だからこそ男性向けジャンルから独立していてもやっていけるのだろうと思います。
 ただし、勿体無いなあとも思います。僕なんかだと男性向け/女性向けに関わらずそのシチュが美味しいと思うので雑食気味に求めてますし、むしろ男性向けでは書店委託レベルではほとんど見かけないためにありがたかったりするわけですが、そういう本が例えばメロンブックスの女性向け店舗であるリブレットでしか取り扱っていないのだとすれば、さすがに男性には入りにくい店なので入手……以上にその本と出会えるチャンス自体がなくなってしまいます。イベントなどでも、女性向けジャンルであったり、COMIC CITYなどの女性主体のイベントなんかで出ている場合には確認するのも難しくなるんですよね。腐向けというか男×男のカップリングだと、エロなしでも結構キツい時がありますが、男女のカップリングだと普通におもしろいですからねえ。
 何でこんな記事を書いたのかと言えば、やはり女性向けというか男性向け主体で書いてきてる作家さんとは明らかに何かが違うからです。それは、出身ジャンルから来るものでしょうけども、例えば絵柄だったり物語の作り方だったり、その作品そのものやキャラを観る目線・視点が全然違っていたりするわけです。特にアクセラさんは男から観ててもカッコイイし可愛いんですが、女性から観るとまた違った魅力を感じているように思いますし、そういうのを観るのは凄く興味深いんですよね。
 例えば、女性が男性向けの禁書本(非エロ)を読みたいのかどうかがイマイチわかりませんが、せめて男性向け/女性向けの両方を扱ってる店であれば、何とかまとめて一緒に置いてくれないかなあと思うわけですがどうなんでしょうかね。今期アニメであれば「あの花」なんかは男性向け/女性向けに関わらない本がたくさん出そうなので、どういう扱いを受けるのかが非常に気になっています。色々と読んでみたいジャンルですから、もう少し男女の垣根が取れてきたら良いと思いますし、ジャンルそのものにも男性向け/女性向けのレッテルを貼るのは勿体無い気がしていますがどうでしょうか。

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 ちなみに、おすすめな禁書同人誌を紹介しておきます。
『とある聖夜のプレゼント』http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0020/00/38/040020003889.htmlとらのあなサンプル)
http://www.maroon.dti.ne.jp/nekomae/(魁!女前HP)
 一方通行さんファミリー?のクリスマスネタ。一通さん愛され過ぎや……。女性向となってますが別にそんなことないと思います。ニヨニヨ出来ると思います。ちなみにこのサークルさんはヘタリアとか女性向けジャンルをメインに活動されているようですね。

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※6月16日追加
 あ、勘違いしないでいただきたいのですが、COMIC CITYは大阪のにはたまに行きますよ。完全アウェーですがどんなジャンルが流行ってるのかとか観てるのは楽しいので。でも大阪では禁書同人誌とかあまり見なかったかな……。リブレットやK-BOOKSはさすがに入りにくいですが、とらは同じフロアなので観やすいですね。女性客にどう見られているのかは気になりますが……。