ブラックロックシューター4話のスマホのバックライトの演出が素晴らしい

 8話という短い構成ながら個人的には非常に楽しく観させてもらってるブラックロックシューターですが、演出的にも非常に凝っていて面白いと思ってます。百合ちっくな内容も好みではありますが、激しい3Dパートはともかく、割と暗い感じの2Dパートもお気に入りです。

 さてそんなBRSでも個人的にお気に入りなのが4話です。最期にカガリがヨミに止めを刺されるあの回ですが、その少し前の場面の、引きこもるヨミがマトからのメールだろうと思ってスマホを観たら恋敵(だと思い込んでいる)のユウからのメールで絶叫した後の場面です。

 この引きの絵ですが、カーテンで遮光された薄暗いを通り越して暗い部屋の中でヨミがベッドに突っ伏して絶望しています。
 そして注目は右下のほうにあるスマホです。

 この○したところにありますが最初は光っています。

 そしてしばらくするとスマホのバックライトが消えるのがわかると思います。
 ほぼ静止画で、スマホのバックライトが消える演出以外は何もない場面なのですが、この演出の意図するところが色々とあるような気がして凄く目を引いた場面になりました。演出としては特別凄いというものでもないですし、作画的には節約という感じにも見えなくも無いですが、明確な何かが見えてくるように思いましたので、気づいた点を挙げていきたいと思います。

  • 時間の経過を顕していた

 Anotherの記事の時にも書きましたが、時間の経過を示す演出ではあると思います。暗い部屋で、動くものといえばヨミとスマホくらいしかありません。そんなヨミがしばらく動かないままということを、ただ動かない状態をずっと流していては放送事故みたいにも見えそうですが、スマホのバックライトが消えるという「動」の演出があることで、ヨミがしばらく動いていないことを時間の経過としても描けているように感じました。しかも、スマホのバックライトはずっと光っているわけではなく一定時間で消えることは、恐らく多くの視聴者が理解できる一般的なことでもあるので、より時間の経過を見せるのに適した演出だったと言えるのではないでしょうか。

  • 開いていた僅かな外とのチャネルを閉じた

 ヨミはこの場面の前、マトからのメールを待っていてそれだけを希望にして縋っていたようでしたが、メールがよりによってユウからだったことに激昂し絶望してしまいます。つまり、スマホの光が最初は希望の光だったのが、画面を観た途端に一番観たくもない文字が出てきたわけですから一瞬で嫌悪する存在になってしまったわけです。部屋でカーテンでも遮蔽して暗くして引きこもっているヨミに唯一残されていたチャネルがこのスマホだったわけですが、それすら拒絶してしまうわけですから、完全に外部との繋がりを断ってしまった(その後に外にいるカガリに縋るわけですが)ということも示しているのではないかと思うわけです。

  • 縋る小さな希望の光が消えた

 部屋の暗さをヨミの心の闇とするならば、スマホのバックライトの光は小さな希望としての意味合いがあるのではないかと思うわけです。しかしこの場面では希望として縋りたいはずの光が無造作に捨てられていて、消えるまで放置されているあたりに、縋る希望の光もないことを示しているような気がします。
 ただ完全な闇ではなく、まだ明るい外からの光がカーテン越しに届いているあたりから、外にいるカガリに縋るという微かな希望も描いているような気がしました。

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 この後、ヨミはカガリに止めを刺されるようなことを言われて更に絶望しますが、演出としてこういうカットを挟んでくれることにより、ヨミの縋る希望とそれが崩れ去ることで更に深まる絶望の描写が非常に映えてくるように感じます。
 4話はこの場面の後の、カガリに会いに行くためにヨミが廊下の壁を伝いながら階下に降りていくあたり(しばらく引きこもっていたからか脚がおぼつかないことを演出した?)も丁寧でよかったですし、ヨミの歪む表情も良かったりと個人的には素晴らしい回でした。小林寛さんという方がコンテと演出をされていたとのことで、今後注目したい演出家さんとして覚えておきたいです。

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