ビビッドレッド・オペレーションの声優さんが違和感ある演技になってしまっている真犯人は誰?

 今期のアニプレックス作品でも一番推していたはずのビビッドレッド・オペレーションが微妙な内容に終始しているように思います。悪くない回もあるにはあるのですが、軽いものを目指したいのか重たい展開を描きたいのか、どっちも描こうとしてバランスを欠いているのかはわかりませんが、とにかく濃くも薄くもない中途半端なものになっているように思います。
 そんな中でも観ていて醒めるのが声優さんの演技です。全体的に微妙な演技ではないかと思うわけですが、その中でもあかねとわかばは聴いてて辛くなるレベルでした。もちろん、彼女らはまだまだ経験の浅い若手声優さんで、しかもさほど演技力に定評があるというわけでもありません。特にあかね役の佐倉綾音さんやわかば役の大坪由佳さんはもともと演技の幅が狭いタイプの声優さんという認識ではありましたが、そんなイメージ以上に力を出せていない気がするのです。もちろんれい役の内田真礼さんなんかもさほど良いとは思えません。
 もちろん、キャスティングされた役がこれまでにないような役になるので難しさもあるのでしょう。そういう役に挑戦させたい事務所の思惑もありそうです。ただそれにしても、これでは今後起用しようとは思わないんじゃないかと思うような演技になってしまっているのは何でだろうとも思うわけです。
 個人的には声優さんの実力ではないと思ってます。もちろん沢城みゆきさん級の演技力のある人であればこうはならないとは思いますが、そんな声優さんなんてそんなにいないとも思ってます。つまりは監督さんや音響監督さんによるディレクション次第でかなり違ってくるのではないかと思います。なので原因は外にあるのではないかということでちょっと推測をしてみようと思います。

  • 監督・音響監督の責任?

 一番考えられるのは監督や音響監督の仕事が出来ていないのか? という部分です。僕は高村和宏監督や音響監督の吉田知弘さんの作品を観たことがなかったのでわからないのですが、他の方に聴いてみた限りではそうではないようなのです。吉田知弘さんはR-15という声優さんが養成所卒業直後くらいのキャストだったのを上手くまとめた、という話もありますし、そもそもストライクウィッチーズではそんな話も聞きませんでしたから「仕事が出来ない」人ではない、という風には思っています。
 ただビビオペを観ていると音響が仕事してないなと思う場面がそれなりにありました。例えば8話のあおいとひまわりとわかばの3人で作戦を決行する場面ですが、作戦が始まってから終わるまでずっとBGMが同じなんですよね。確変モードに入ってるから……という意味でもあるのでしょうけども、作戦が始まってから一旦わかばとひまわりが取り込まれるような形になり、羽化して攻撃されそうになってるのにまだBGMが変わったりせず「あれ? これってめちゃくちゃヤバい状況なのにBGM同じって、緊迫感ある場面なのに何で?」って具合で絵と音が合っていないシーンが続きました。この辺も全然音響が仕事していないというか演出の部分なのかもしれませんが、ともかく音の使い方がまずいように思いました。この辺は監督や音響監督の仕事で仕事してない感じがするのですが……。
 ただし、声優さんの演技指導などであれば時間をかけさえすれば良くなるものでもあると思ってますし、素人くさい演技をわざとさせているのだとするとセンス無さすぎだろうとは思いますがそうでは無さそうな気がしますし、そうなるとアフレコに時間をかけられていないのだとか、そもそも音響周りに時間をかけられていなかったりウエイトが置かれていなかったりだとかそういう事情があるのではないかという風にも勘ぐってしまいます。

  • 製作側の責任は?

 個人的に思うのは製作側と制作側(監督とか)との力関係がどうなっているのだろうと思っています。高村監督は監督経験としてはこれまでストライクウィッチーズシリーズのみの実績でアニプレックスの作品ではもちろん初めてで監督としては若手と言えるでしょう。また音響監督の吉田知弘さんもここのところはそれなりに任されているような気がしますが、同じクールに複数作品を担当したり、劇場版のでかい仕事を定期的に担当するような音響監督さんと比較するとどちらかと言えばマイナーな存在ではないかと思いますし、アニプレックス作品では初めてのようです(ヤマト2199というでかい仕事も来てはいますがあちらはバンダイビジュアル)。高村監督とアニメを作りたいと打診したのはアニプレックスの鳥羽洋典Pからだったようです。要はアニプレストパンみたいなアニメをやりたい、という感じの企画だったのだろうと思いますし、その辺は尻アングルなどでもわかるとおりです。
 ただ、ちょいちょいまどか☆マギカのパロ的なセリフが入ったりとか(「食べ物を粗末にするな」とか「一人ぼっちは寂しい」とか「大丈夫だよ」とか)を観ているとアニプレ作品であることを意識してるのかと思うような場面があるのですよね。それはちょっと考え過ぎだとは思うのですが、鳥羽Pからお願いされてアニメ作ってたはずが、高村監督らが鳥羽Pに向けて作ってしまっているというか、アニプレが意図的にこういう作品を作って欲しいと言われるがままに作ってしまっているかのような気もしなくもないのです。
 アニプレ主導というか製作側に裁量権が大きいのだとすると、例えば表題の声優さんの演技が微妙な点だとか音響周りが弱いあたりの問題は、製作側がそこにリソースを割いていないという可能性が出てくるわけです。
 これが、監督はともかくそれなりに地位を築いた音響監督だとあまり製作側が口を出せないと思うんですよね。もちろん限度はお互いあるのでしょうけど、例えばFate/Zeroガルパンサイコパスなどの音響監督を務めている岩浪美和さんなんかだと凄く人気で、かつ凄い音響にしてくれる仕事ぶりでもあるわけですが、そんな人に製作側が口出ししてこだわりを入れさせないとかは出来ないでしょう。次に仕事を受けてくれなくなる恐れもありますしね。初めてのアニプレ作品という両氏では力関係が逆な気がします。
 先ほど挙げたBGMの問題もありそうです。よく聴く話が「合う曲がなかったから追加発注した」というものですが、それが出来なかったのではないのかと思うわけです。もちろん最初に曲の発注は行うのでしょうが、当初の想定では無かったヤマが来てでも発注した曲だけでは足りず追加発注も出来ず、そのままのBGMを流した……ようにも感じるのです。
 更に遡ると、キャスティング段階でどれだけ監督さんや音響監督さんの権限があったのかどうか、という部分も疑問に思えてきます。キャラに合う合わない以前に決められていたようにも感じなくもないからです。というのも、やや知名度の低い若手の綺麗どころの女性声優さんで固めるというやり方は、ゆるゆりなどでもあったようにここ最近の流行りのキャスティングですよね。佐倉綾音さん・内田真礼さん・大坪由佳さんあたりは初主演がポニーキャニオン作品という共通点もあります。ただいずれもビビオペでは微妙な演技を強いられているような気がしてなりません。この前のクールに放送されていた「中二病でも恋がしたい!」でも、内田真礼さん・赤粼千夏さん・上坂すみれさんと主演は務めたことはあるものの単発で終わっていた若手女性声優さんを主要キャラに起用するキャスティングをしていましたが、あちらは京アニ作品ということで音響監督は声優さんの演技力を引き出すことで定評のある鶴岡陽太さんということもあってか凄く良かったですよね。ゆるゆりも良かったのですが、同じ若手中心でもキャラクターありきでキャスティングされていたように感じますがビビオペはそうは見えないんですよね。ニコ生では毎週声優さんが出てきて楽しいのですが、そういう中の人のルックスやキャラクターありきでの人選にも見えなくもないのです。要は綺麗で、喋れてという若手声優さんで構成しようという意図みたいなものが先に出てしまっているように感じています。アニプレといえばBD/DVD1巻などに入るイベントチケット優先販売申込券があるケースが多くビビオペも例外ではないので、そういうイベント需要が見込めるキャスティングになるのはやむを得ないですし他所でもやっているわけですが、ビビオペではそこが先に立っているように見受けられるんですよね。同時期に放送している竹書房のショートアニメである「あいまいみー」ではダブル内田さん+大坪由佳さんの3人が被っていますが、3分アニメとはいえ非常に良い感じで演じててキャラもちゃんと生きているのを観てると、余計にビビオペの違和感が際立つようにも感じています。

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 押し付けられたキャストで作品の意図通りのキャラを演じさせようとしてぎこちなくなっている、というのがあるのではないかとも思っています。が、製作側の音響に対するウエイトの軽さがにじみ出てしまっているというか、作品本位じゃないキャスティングなどとともに浮き出てしまった結果が演技の違和感にも繋がっているのではないかと観ています。
 この辺が語られることはまずないと思うのでこの推測は推測の域を出ないままではあると思うのですが、とりあえず声優さんの責任ではないとは思いますので、次に起用された時を楽しみに待とうと思います。