エロゲだけでは、いずれパソゲー業界は衰退するんじゃないか?

 以前の記事から補足のような感じで。
 この前の「ギャルゲーにエロはそれほど必要なのか?」を書いた理由のもう一つの理由が、パソゲ業界があまり拡大していないと言うか、横ばい状態になっているんじゃないかと言うことです。まあこれは、ギャルゲー全体にもいえることなんですけども。
 パソゲーで一番売れたのは「Fate」なんでしょう。Fateシリーズはそれぞれ15万本以上を売り上げています。そのほか、Key作品が複数、TH2シリーズ(ADも出荷ベースでは10万本を突破したとか)、あとはelfとかアリスソフトとかその辺がぽつぽつと10万本越えを達成しており、またオーガストの「FA」もTH2AD並みに売れているとのことで10万に近い本数が売れているという話もあります。
 が、10年前後と言うスパンで見ても、一番売り上げた作品はFateであり、推計では20万本くらい。これが最高です。あとはそれ未満。
 何が言いたいのかというと、パソコン自体の普及率というのは、恐らくは右肩上がりだと思うのです。昔なら家に無かった→Win98あたりからは一家に一台→現在では個人で一台くらいの感じで。なので、PC環境がある=エロゲができる環境がある人の数と言うのは増えているはずなんですよ。
 しかしながら、エロゲをやる人の数と言うのは、ソフトの売り上げを見る限りではそれほど増えていない。まあ、何処かの雑誌の調べた数字=パソゲーショップの売り上げ数だと思うんで、メーカー直販やらAmazonやらと、雑誌が追えないようなところでの売り上げ数は含まれていないでしょうから、数字を鵜呑みにはできないんでしょうけどね。それでも、ほとんどのパソゲーが10万本オーバーが限界で、3万本くらい売れれば大ヒットというのが変わっていないと言うのは、業界の市場規模が横ばいである証左では無いでしょうか? もちろん、以前に比べると一つのゲームに集中する割合が減って、中堅どころのメーカーが乱立しているという可能性もありますが。
 ただ実際問題、若い人でエロゲにハマる人の割合は、以前に比べると上がってきているようには感じています。オタクになる人が増えているのと比例して。ただ、少子化で若い人の人口が減ってきているので、実数としてのエロゲユーザーはそれほど増えてきていないのかもしれません。
 また、僕のような「昔はエロゲのヘビーユーザーだったけど今は…」と言う人間や、完全にエロゲから卒業したような人間も多いのかもしれません。なので、新規ユーザーが増えてもユーザー全体が増えていかない…と。これはエロゲだけの問題ではありませんけどね。
 と言うことで、現状ではエロゲユーザーの数は増えるどころか、これからは減少傾向になっていくんじゃないかと考えています。このまま、ほとんどすべてのゲームがエロゲーであるという状態が続けば、ですけど。
 
 そこで思うのが、ユーザー層を広げていくことです。
 ニンテンドーDSWiiが成功しているのは、今までゲームをしなかった層への訴求力が高かったから=ユーザー層を広げることには成功しているわけです(もちろん、それが継続してソフトを買ってくれるほうに繋がるかは未知数ですが)。PS3やX360が売れていないのも、旧来のゲーマー層の一部にしか訴求力が無いからでは無いでしょうか? パソゲーでも同じようなことが言えると思います。
 例えば…女性。今は男性向けエロゲを作っているメーカーが、女性向けのボーイズラブ系だったりエロだったりを作ったりしているケースもあるわけですが。そういうメーカーが、男女とも楽しめるようなゲームを作って出せば…上手くやれば、普段エロゲをやらない層も取り込めるかもしれないわけです。そうした、普段エロゲをやらない層を取り込むには、エロゲ一辺倒では無理だと思うのです。女性の中でも男性向けエロゲユーザーはいるには居るんですが、エロを楽しんでいる人もいれば、エロはいらないけどストーリーなどを楽しんでいるって人も多いはずで。
 または中高生。今でも中学生くらいからエロゲをやっているケースがあるようですが、まあ問題がありますよね。そうした層を取り込むためには、エロ一辺倒ではダメだと思うんです。もう少しそういう層にも売り込めるように、エロなしのゲームで攻める手もあるんじゃないでしょうか? と言うのも、中高生の段階で業界に引っ張り込めば、その後長くパソゲ業界に浸かってられると思うんですよね。そのうちエロゲもやりたくなってしまうかもしれませんけど(経験アリ)、PCでギャルゲーをプレイするという習慣が一度ついてしまえば、リピーターとなって長くユーザーとして居続けてくれる可能性だって高まるわけです。

 そうやって考えると、エロで無いパソゲーをジャンルとして確立していくことも、業界全体としては必要だと思いませんか? まあそもそも、エロゲで無いと認められないパソゲ業界の構造自体が特殊で異常で、もっと一般向けのゲームが認められるようになれば良いのですが。一般向けパソゲ市場は、パッケージソフトを通過して無料のオンラインゲームへと移ってしまっているので、流れを変えるのは容易では無いのかもしれませんけども。
 今のままで良いじゃん!という人もいると思いますが、案外エロゲユーザーって磐石なものではありませんし、もっと一般性を高めるための方向性が示されても良いと思うんです。
 コンシューマ移植があるからいいじゃん、とも言えるのですが、今ギャルゲに相応しいハードって実は適当なものが無いんですよね。PS2は衰退気味、PS3では開発費が掛かりすぎる上にユーザー数が少なすぎる。Wiiはファミリー層や任天堂好き以外にはあまりウケていない。X360は問題外(アイマスがありますけども)。携帯型ゲーム機には活路を見出せそうですが、ギャルゲーを携帯ゲーム機でやる文化は育ってきていないようにも思いますので。なので、やはりパソゲー市場に、エロゲでないギャルゲーというジャンルを根付かせる意味はあると思うんですけど。
 その意味でも、エロゲ以外のパソゲーというものを確立させ、それを売り込むメディアを確保し、エロゲでは出来ないようなより広い層への売込みをするべきでは、と考えています。

 短期的な利益として見ればもちろん、パソゲーとして出すのなら、エロありの一択しかメーカーは示せないでしょうけども、中長期的に見ればそうでもないだろうと思うんですけどねえ。