音無が神になった?!〜Angel Beats! 第9話 考察

 奏が消えるとか、ユイが天使になるとか、あるいは直井や竹山が黒幕だとか、色々とミスリードも脱線も含んだ考察を色々と書いていましたが、序盤に考えていた考察ほど、この展開をある程度読んでいたんじゃないかと思えるものが多かったです(汗。

 さて今回はシンプルに「音無が神になった」のではないか? と言うことをやっていきます。
 そもそも音無は、この世界におけるイレギュラーな存在だったわけですが、当初はその立ち位置が非常に微妙でした。と言うのも、ゆりの勧誘を断り奏に殺され、更に野田やトラップに殺されて戦線入りをするわけですが、当初は戦線の行動方針自体をあまり快く思わなかったり、ゆりをdisったり文句ばかり言ったりするなど、音無自身が何をしたいのかも見えてきませんでしたし、かと言って誰かに従うこともありませんでした。ゆりたちのように、奏を積極的に攻撃するわけでもありませんでしたしね。
 しかしそれが、奏が生徒会長を降ろされて監禁された時に、音無が明確に「戦線のみんなを助けたい」という意思を見せ、その気持ちに応えるかのように奏は、音無の指示に従うようになります。しかしながら、ここからの奏は、音無に対して完全に従属という関係にまでなっているような気はするんですが、それは奏の極端な性格からなのか、あるいは音無に眠る神的な資質を感じ取ったからなのかはわかりません。ですが、何かを感じ取ったがために、奏は音無の求めるままに動くようにはなったのは間違いないでしょう。
 一方で戦線内でも、音無は確実にシンパを増やしていきます。最初から日向は音無の味方ではありましたが、釣り回では、あれだけ奏を嫌っていたゆりに奏を同行させることを認めさせ、更にヌシを釣り上げるために協力を求めて人を集め、炊き出しすることに決めて実行します。その後、分身天使が出てゆりが襲われている際にも、ゆりを助けるためにメンバーに指示を出して、ほとんどのメンバーが音無の指示に従っていますよね。
 ゆりの音無への信頼度は言うまでもありませんよね。AB!は、ゆり視点で見ていくと、ゆりが音無を攻略しているようにしか見えませんからねw あれだけ文句ばかり言っていても、天使寄りの立場を取っていても、音無を重用するのは変わりありませんし、2話では突き落としませんでしたし、直井回ではトランシーバを持たせていますしね。疑う素振りを見せたシーンは全て奏絡みで、音無を疑うと言うよりも、むしろずっと敵対してきた奏に対する疑心暗鬼から疑っていたと見るのが正しい見方なんでしょうね。テスト回で音無にあっさり名前を告げた奏を見ていて、音無に対して不機嫌な対応をしていましたが、あれも音無自身への感情というよりは、音無に対しては態度が違う奏に対しての感情だったと言えますしね。ゆりの音無への信頼感は、今のところ全く揺ぎ無いものだと考えられますし、ゆりも分身天使に襲われた時には音無の指示に従って動いていて、音無をリーダーという意識も多少はあるようです。直井は言わずもがなですけどね。
 
 こう見ていくと、音無は既にほとんどのキャラを掌握しているんですよね。とりあえず、どちら側のキャラも動かせる状態にありますし、自身の力加減で生かすも殺すも出来るあたりはまさに神のポジションと言えるでしょう。
 
 そして、別の一面もあります。それは、音無が私利私欲のために生きていない、と言うことです。
 音無は生前のエピソードから、既に自分のことよりも他人を優先する生き方をしていたようです。妹を亡くしたことや医師を目指していたというところから来ているのだろうと思いますが、自分は顧みないような生き方を最後にしていたようです。
 
 そういえば、音無結弦という名前にもヒントが隠されているような気がします。Twitterでやり取りしていたんですが、その中で「音無」には「音が無い」。つまりは、Angel Beats!と音楽が前面に出ている物語の中で音が無いということは、自分が無いと言うことではないかと。自分が無いというべきか、あるいは自分よりも他人の幸せを優先することの現れではないのかと。そういえば音無は、初音が生きていた頃は生きる目的の無い感じでしたし、初音が死んだ後は自己犠牲的な生き方をしています。事故までは、あるいは「受験に合格する」という自分の目標に向かって自分の為に生きていた可能性もありますが、事故に遭ってからの音無は完全に自己犠牲的に生きています。
 そして「結弦」にも、弦を結ぶという意味が見えてきます。特にこの「結ぶ」というのは、目的の違う人間を結びつける、という意味にも取れそうですよね。違う弦(キャラ)を結びつけて音を奏でる方へと持っていく、という意味にも取れますし、非常に意味深ではありますね。
 そしてその辺の解釈が、まさに音無の行動と合致するんですよね。自分を持ってないあたりとか、他人のことばかり考えているあたりとか。そもそも3話の岩沢回とかでも、ほとんど面識のない岩沢にいきなり話しかけたり、ゆりには見せないような表情をしてみたりとか、人付き合い自体に壁みたいなものはなく、むしろ先入観が少ない分フラットに付き合っているように見えます。その分、天使にも直井にも、ゆりたち戦線メンバーにも、別け隔てなく接することが出来ているのかな? と思います。なので、いざ音無が戦線メンバーのために動く、と言うことになると、スムーズに事が運ぶのではないかと思っています。
 
 奏が音無に力を貸しているのにも意味がありそうですね。先に書いたように、音無が私利私欲のためではなく、むしろ自己犠牲の上で他人優先で生きているのと、えこ贔屓なく接することが出来ることが、奏が音無に力を貸している理由だと思いますが、それだけでは音無に従属しているまでの説明ができません。
 思うに、奏はずっと、音無のような存在を探していたのではないでしょうか? というのも、奏はずっとゆりたちと不器用に接していたわけですが、奏にはゆりたち戦線メンバーを納得させて成仏させることは出来なかったわけです。岩沢はほぼ自力で成功し、日向は逆にユイの邪魔によって失敗してしまいました。ただどちらも、音無が一枚噛んでいたわけで、奏が独力で引き起こしたわけではありません。
 「あたしは天使なんかじゃないわ」と言う言葉の意味をずっと考えていたのですが、奏は天使役としては力不足の意味があったのか、あるいは「Angel Plyaer」を使って擬似的に天使をやっていただけなのか、よくわかりません。そこで考えたのが、音無が天使なんじゃないかと言うことです(ぇ。AB!における「天使」の意味や位置づけがよくわかりませんが、もし世界を動かしたり終わらせたり出来るような存在だ、とすると、奏ではなく音無こそが天使なのかな? と思ったのです。音無なら、奏の力を使えば世界をどうとでも動かせますから……。天使なのか神なのかよくわからないところですが、音無がそういう存在になったのは間違いないところだと思います。
 
 
 この先は、音無&奏が、戦線メンバーの成仏を促進していくような流れにはなっていくと思いますが、恐らくは戦線メンバーと仲良くしたり、あるいは戦線メンバーのリーダーとして動くことが生きる意味に近いと思われるゆりっぺが、どう動くかとか、音無の動きや言動にどう反応していくのかが、この後の、終盤のAB!のキモになっていくことでしょう。


Twitter「つぶやく」ボタン
Twitterです
http://twitter.com/rikio0505