ゆるゆり声優のキャスティングに重なる意図と思惑?とは

 ゆるゆりアニメ、コミケ回まで観ましたが良いですね。オリジナルエピソードと原作エピソードとを上手く構成されていて違和感を全く感じません。1話からそうだったんですが、それが更に良くなってきたような印象を受けています。最初のほうであかりたちごらく部メンバーと生徒会メンバーとが遊びに行ったりするエピソードを入れていたおかげで、それぞれの独立したエピソードになっててもバラバラな感じも受けませんでしたしね。原作未読の方にも好評だったみたいですし良かったと思います。
 さて、そんなゆるゆりはキャスティング的にも攻めてるというか冒険してるというか、意図的なものを感じています。そう感じる部分をいくつか挙げていきたいと思います。

  • ごらく部4人は新人・若手声優さんで固めた意味と意図

 この、主要キャラ4人を新人・若手声優さんで固めた意味や意図は明確ですよね。まず1つは、関連イベントをたくさん仕掛けてもスケジュールに余裕がありそうなところで選んでいるのでしょう。現に、複数のミニライブやコミケ企業ブースでの商品手渡し、大阪でのトークライブ(ライブも?)にニコ生など、これまでもそうですがこれからもかなり多くのイベントが予定されています。特に大阪のイベントは、この主要キャラ4人の声優さん全員が来られるということでもあるのでかなり力を入れていると感じられます。
 また、エンディングCDの特典には声優さんの直筆サイン入りイラストカードを1人1000枚(×4人で4000枚)という割と無茶なこともしていましたが、1人1000枚のサインとか人気声優さんではなかなか難しいと思いますし、これも新人・若手声優さんを起用したからこそできた企画だと思います。まあこの企画が何で実現したかといえば、原作者のなもりさんが1万部の単行本直筆サイン入り限定版を出したという伝説から来ているもので、アニメ制作側が勝手に思いついたわけではないのですけども。こうした小回りのきくイベントや展開をするための起用方針だったのかなあと思うわけです。

ゆるゆり第1回大阪イベント「ゆりゆららららゆるゆり文化祭」
http://yuruyuri.com/blog/archives/662

 また、全く関係ないもう一つの狙いとしては、声優さんが過去に担当した既存キャラの色を付けないため、という意味もありそうです。特に、新人声優さんを起用した歳納京子はゆるゆりの実質的な主人公キャラでもありますし、彼女のキャラの唯一性を作りたかったからじゃないかと観ています。さほど上手くはないですが、アニメ声じゃない素直な声がいい感じにハマってきてるんじゃないかと思いますし、この起用は成功しているんじゃないかと思います。あかりのアニメ声なんだけど割とよくいる普通の声なところとかもいいですよね。

 ちなつ役の大久保瑠美さんは、ごらく部メンバーの声優さんでは割と他の仕事も多くされていますが、今まさに放送中であるスイートプリキュアではアコ役で、今年初頭に放送された魔法少女まどか☆マギカでは多くのモブキャラ役として、メインキャラでもある巴マミ役の水橋かおりさんよりもクレジットされる頻度は多かったような気がします。そして、ゆるゆりのちなつといえば「魔女っ子ミラクるん」似、という設定なのがちなつです。
 スイプリのアコがキュアミューズなのかどうかはわかりませんが、そうだとしても関係なくても、やたらと魔法少女というか変身ヒロインもので固められているんですよね。まどか☆マギカでも、12話(最終回)では「魔法少女」役でクレジットされてますから(モブ魔法少女でまどか神に救ってもらった)割と徹底されているような気がします。まあ当のちなつは別に変身しませんし一番関係ないのですが……。

 ゆるゆりに限らず、ポニーキャニオンランティスと組まないアニメの場合にはしばしば若手の無名な声優さんをメインに起用することがあります。例えば冬にやっていた「夢喰いメリー」は中心メンバーがほぼ新人・若手で固められていて、あれはやや演技力に難があるところもありましたが……。
 そんな中で個人的に面白いなあと思うのが、けいおん!で主人公だった豊崎愛生さんと、ミルキィホームズで主人公だった三森すずこさんとを両方起用しているところです。まあ豊崎愛生さんの場合は、アニメスタッフの作品+キャラ的な繋がりからするとみつどもえの吉岡さんだとは思うのですが。どちらの作品も女の子メインのアニメですし、キャスティングされた当時はまだまだ無名な存在でもありました(豊崎さんはぼつぼつ出てはいましたけど)。そんな主人公声優さんを脇で固めているあたりは、けいおん!ミルキィホームズというポニーキャニオン的な流れを感じてしまいます。まあ本当のところはどうなのかわからないわけですが……。
 前述のちなつとミラクるんとの繋がりを観ても面白いですよね。この2人よく声質は似ている(竹達さんが似せてる可能性も?)ので、どちらかがどちらかに合わせた起用をされたのだと思うのですが……。「先輩先輩」言いまくるのはそもそもけいおんにおけるあずにゃんですよね。しかも「ゆい先輩」ですから(汗。けいおんでの梓→唯はダメダメでウザいけど放っておけない先輩でしたが、ゆるゆりに置いてはそれが京子ですよね。何かこの辺、けいおんを意識したというか倒錯した何かを感じてしまいますw そんな梓ポジションのちなつが、実のところゆるゆりの百合方面での主人公でもありますし、この辺は意識されたキャスティングだったと思います。しかし、竹達さんと大久保さんはどちらが先だったのか気になりますね……。

 時期的には非常に微妙なんですが、魔法少女まどか☆マギカゆるゆり声優さんの被り方が大きいのも気になります。前述のちなつ役の大久保瑠美さんだけではなく、櫻子役の加藤英美里さんなんかはまどか☆マギカでは中心的キャラというか悪役(?)ですし、魔女っ子ミラクるんの相手として出てきたライバるんが悠木碧さんというのも全くの逆ですしビックリしました。
 まあ作品的には、女の子同士の世界観だったり、女子中学生だったり、魔法少女が出てきたりと何故かそれなりに共通点があったりもするので、被っていてもさほど不自然さは無いのですが……。ただキャラとしてはQBは女子中学生でもないですし、主人公役だったのが敵役になっていたりと全然違うわけではありますが。

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 まあキャスティングがいつ行われたのかもわかりませんし、特に冬開始のアニメからの意図的な起用は時期的にも難しいとは思うんですが、けいおん!やミルキィの主人公をゆるゆりでも起用したのはまずその繋がりで間違いないと思ってます。ポニキャとしても、けいおん!ミルキィホームズの流れも汲んでの作品作りをして、ゆるゆりという作品の盛り上がりを狙っていることかと思います。本当にそれらがハマっているのかどうかは視聴者次第ではありますが……。

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