「何かを待っている」「夕暮れから夜明け前」を描いている?〜Charlotte(シャーロット)の友利奈緒がひとりぼっちなエンディングの考察

 アニメでは、例え動かない演出だったとしても、オープニング(OP)よりもエンディング(ED)のほうが好きです。
 さて、Charlotte(シャーロット)はOPの演出や映像の密度がすごくってそちらに目が行きがちというか、考察等もさかんに行われているような気がしますが、個人的には友利奈緒がひとりぼっちなEDのほうに引き込まれました。
 絵コンテ・演出は同じP.A.WORKSのオリジナルアニメ『凪のあすから』の監督や『SHIROBAKO』のアンデスチャッキー回の演出を手がけた篠原俊哉さんなんですが、動かないEDの演出もさすがの一言だと思います(まあ背景美術が異常なこともありますけども)。
 そこで今回は、そんなCharlotteのEDをワンカットずつ見ていきながら見えてくるものを書いていきたいと思います。


 最初のカットです。校門付近とおぼしきところで、友利ちゃんがフーセンガムをふくらませながら待っているところです。
 彼女がなぜ「待っている」と感じるのかは自分でもよくわかりませんが、柱にもたれてるような格好で立っているところや、ガムふくらませているあたりに、それなりに長い時間ここで誰かを待っているような雰囲気がしてきます。


 場所はわかりませんが、商店街にあるバス停でおそらくバスを待っているものと思われます。このバス停が本編で出てきたのかはちょっと覚えていないのですが……。


 場所は変わって星空がよく見えるところです。ポッキーくわえてますね。



 恐らくはさきほどのポッキーのカットと同じ場所でしょう。街を一望出来るような小高い丘の上に友利ちゃんが1人で佇んでいるようです。垂れ下がった音楽プレーヤーをちょっと不機嫌そうな表情で観ているように見えます。
 というか、こんなところで1人で何をしているんだ友利ちゃん……! という感じでもありますが。あと、彼女が大好きなはずの「ZHIEND」の曲を聴いているにも関わらず、それを流してくれている音楽プレーヤーをこんな感じにしてるのは何故なのでしょうか? ちょっと気になるところです。


 そしてりんごをかじりながら星空を見上げています。先ほどのカットもそうでしたが、星空を連写してるかのような描き方をしていますよね。これはバスを待っているところのカットの人間の残像とも近いのですが、その場所に長くとどまっていることの示唆なのかなあと考えています。ちなみに、星空の中心で動いていない星がありますが、あれは北の方角から動かない北極星なんでしょうか。
 りんごに関しては、アニメで多く登場する果物という印象でもあるのですが、天体を取り上げているところからの繋がりで出ているのかなとも思います。ただポッキーにりんご、そして乙坂がカラオケ店で食ってたピザにゲーセンとかで食べてた団子と、某魔法少女アニメでひたすら何かを食べてた子が食べてたものが登場してますね。


 最後のカットです。
 ひときわ光る星に向かって友利ちゃんが駆け出していくところですかね。非常に幻想的でグラデーションかかった空が素晴らしいわけですが、気になるのが空の色です。ちょっと明るいんですよね。
 最初のカットから続けて見ていくとわかるのですが、

昼下がり→夕方→夜……→夜明け前

 になっているように見えませんか? 最初のカットでは校舎に反射してる太陽の光の角度が夕方に差し掛かる時間帯であることを示してくれているようにも見えますしね。ということで、最後のカットは夜明け前に友利ちゃんが明けの明星を見つけて駆け出していくシーン……ではないかなあと考えています。
 つまりこのEDの一連のカットは、友利ちゃんが放課後に学校から出てどこかの小高い丘(ってレベルじゃない高さですが……)に行って、そこで一夜を明かす……という感じなんじゃないかと考えています。そのこと自体に意味を見出すことは難しいのですが、何かを待っているカットが3枚くらいあるのがヒントになるような気がします。
 そこで思い出すのが、シャーロットの最初に出てきたビジュアルにあったこのテキストです。

 「約束、帰ってくること。」とありますが、これが友利ちゃんのセリフとかモノローグなのだとすると、彼女が何かを待ってるという示唆になるように思います。
 そう考えるとEDの一連のカットがつながってくる気がします。友利ちゃんはその都度何かを待っていて、それでも来ないから約束の場所へ1人で訪れる。でも結局待ち人は来ないから1人で朝を待ち、明けの明星が出てきたらまた新しい1日へ向かって駆け出していく……という感じなのではないかと観ています。
 具体的に何を待っているのかとか、そこと乙坂がどう絡んでいくのかは全くわかりませんが、とりあえず僕がEDから読み取れるのはこんなところです。

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 とまあ書いてみましたが、考察というにはちと結論が出なかった感じではあります。とはいえ、非常に内容の濃ゆそうなEDになっていると思いますので、ここからさらに何かを見出して、結末への足がかりとなれば幸いです。