ザ!世界仰天ニュース緊急特別版〜“昭和のライブドア事件”落ちた偶像〜光クラブ事件

 表題の番組を見ました。最初は見るつもりは無かったんですが、萩原聖人ほか演じている役者も面白かったので、最後まで観てしまいました(汗) 
 脚色はあるんでしょうが、凄いヤツが戦後すぐに現われたんだなあ、と言うのが感想です。
 以下はYahoo!テレビの説明文を転載。

◇戦後間もない日本で時代の寵児(ちょうじ)としてもてはやされながら1年で破たんし、死を選んだ学生実業家、山崎晃嗣萩原聖人出演のドキュメンタリードラマで紹介する。山崎は東大在学中に金融会社、光クラブを設立し、高金利の配当を約束して出資者を募集。中小企業や商店主を相手に法外な金利で貸し付け、瞬く間に大金を集めて会社を大きく発展させた。ところが、法定利息を超過していたため、出資法違反で逮捕される。不起訴になったものの、顧客の信用を失って業績は悪化。山崎は駄じゃれを書き散らした遺書を残して自殺した。

 ヤミ金の走りと言うか、消費者金融の走りみたいな会社を、大学在学中に設立した学生がいて、1年で膨張して破裂した、そんな話でした。こんな出来事が、戦後間もない時期に世間をにぎわせて、あっという間に消えた、と言う感じです。
 ライブドア事件と関連して描かれていましたが、どこまでが似ているのかはわかりません。でも、「豊富な知識があった」「無いものを元手に商売した」「カリスマ的なものがあった」「宣伝が上手かった」「法律の間隙を突いた」「急激に膨張して、膨張し続けなくてはならなくなった」「女遊びも派手だった」…などが、ライブドア堀江貴文被告と関連して描かれていました。
 価値観が根底から変わっていった時代、と言うことで、戦後と現代が似ている、と描かれてもいましたが、それはある意味正しいのでは無いかと思います。戦後は、今まで国家社会主義の統制社会、そして天皇は神様だと教えられてきたものが、根底から覆った時代でした。そりゃあ価値観も大きく変わるでしょう。
 そして現代は…。それほど衝撃的なことは無かったかと思うんですが、規制緩和がもたらした歪みの1つに「モラルハザード」(モラルハザードという言葉の、本当の意味は違うらしいのですが、一応ここでは「倫理観の欠如」として使います)があります。ここのところ、そうした倫理観の欠如した人が急増しているように思います。要は「個人主義」です。自分さえ良ければそれでいい、と言う考え方ですね。
 例えば、コンビニの前でたむろっている連中。ゴミを撒き散らし、来店客を妨げるかのように座り込み騒ぐ。色んな倫理観が欠如(すべて?)してしまっています。それを注意する風潮が無くなった社会全体の責任ではありますが、成長過程で倫理観が全く育っていないことから来るものだと思います。
 堀江被告村上ファンド村上世彰被告のような、「自分たちが儲かればそれでいい」と言うのも、1つの倫理観の欠如ですよね。自分たちが儲かるためには、友達であっても多少の犠牲は厭わないわけです。それが、社会を大混乱に陥らせ、会社の1つや2つを壊しかねないとしても。


 そして、日銀総裁福井氏もまさに「倫理観の欠如」でしょう。もちろん、日銀総裁を引き受けるまでも「金融のプロ」だったわけで、それまでに様々な資金の効率的な運用をしていたはずで、その中の1つが村上ファンドへの出資だったのでしょう。ただ、プロなら、村上ファンドが投資家に約束していたとされる、「配当25〜30%」と言うものは、明らかに正当な投資ファンドではありえない数字なわけで、かなり強引な手法でやりくりしなければ、出資者に約束した配当を支払えないわけです。それを、日本の金融の中枢を握る人間がわからないはずが無いわけで。わからないとすれば、その器に無かったということになりますし、わかっていて出資していたとすれば、私利私欲の塊で、まさにモラルハザードなわけです。
 福井氏の功罪はまだまだあります。それは、自らは「ゼロ金利政策」をずっと続けていたわけです。福井氏が止めると言えば、ゼロ金利は無くなるわけです。現に、秋以降に公定歩合が引き上げられる可能性があるわけで。じゃあ、ゼロ金利政策は何故、問題になるんでしょうか?
 この「ゼロ金利政策」ですが、つまり、銀行が貸すお金の利子が異常に安い状態のことを言います。日銀が銀行に貸すお金の利子がゼロに近いってことで、銀行を保護する政策ってことです。そのおかげで、大手行はほぼすべてが過去最高益となっていて、さらに中小企業には貸し渋りしていて、確実に利益が出る状態になっているわけです。おまけに、脆弱な中小行の破たんが相次ぎ、ペイオフ解禁の影響もあったため、健全な銀行からも大手行への乗り換えも増え、より大手行への資金の集中が進みました。地銀はお金が集まらないことから貸す金が乏しく、結局地方の中小企業へお金が廻らない、と言う悪循環に陥っているわけです。
 また、金利が低いことから、僕ら一般市民が銀行に預金しても、利子は本当に微々たるモノです。要はゼロ金利政策というのは、僕ら一般市民への利益が全く感じられないものなのです。
 もちろん、住宅ローンが安くなる、と言う利益もあります。でもそんなもので、全国民でその利益を享受できる人の割合なんてほとんど無いわけで…。
 逆に、「預金」と言う確実な運用方法が無くなった人たちは、様々な資金運用を模索するわけです。その1つが株なわけですし、投資ファンドへの出資なわけです。
 このゼロ金利政策が、行き場を失った資金の株への投資を促したわけで、村上ファンドライブドアが増長した下地を作ったわけです。現在の株価は、おそらく実態を反映しないような高値だと思いますし、マネーゲームの温床になっているものと思います。
 今問題なのは、「大手銀行(メガバンク)が儲けすぎている」ことと、福井氏が自らの政策で私財を大きく増やしたことでしょう。ホリエモンや村上氏がやり玉に挙げられる中、権力者や富豪たちだけが私利を貪ると言う現状は、まさに「光クラブ」事件に通じるものがあると思います。
 福井総裁への包囲網はかなり狭まってます。もう辞めるしか無いとは思いますが、留まればそれだけ、自民党への大きな痛手になるでしょう。ちょっと楽しみですw