アマガミをオススメできないユーザー=ラノベを求めるユーザー

 個人的には凄くハマってしまうゲームだと思います。
 ただ、今のギャルゲーユーザー全般に勧められるゲームかどうかはかなり微妙です。それは、今のギャルゲユーザーが、僕の知ってるギャルゲユーザー像と異なってきているんじゃないかということもありますし、その方向性と「アマガミ」の作品が全く異なることがあります。
 タイトルにあるように、アマガミはいわゆる「ラノベ」なギャルゲーを求めるユーザーには全く向きません。僕はあんまりラノベを読まないんですが、周りにはラノベ読者とギャルゲユーザーを兼任している人が数多くいるので、たぶんラノベ的なギャルゲーを好む人は多いんだと思いますが、アマガミにはラノベ的な要素があまりにも少ないはずです。それはどの辺かを解説していきます。
 まず「ラノベ的なギャルゲー」ですが、これはラノベのように一本の小説として読めるシナリオスタイルのギャルゲーってことです。選択肢も必要最低限で、じっくりシナリオを読ませる構造のゲームですね。Keyで言えば「AIR」みたいなスタイルってことでしょうか。今のギャルゲーはどうなっているのかわかりませんけども。また、シナリオ序盤の伏線を後半でしっかり解き明かしていったり、ヒロインの表面上の設定以外に裏設定があったりとかでしょうか。
 ですが、あまりその辺はアマガミに期待しないほうがいいです。まあ確かに、逢とか詞とかは謎もある設定ではありますが、その他の多くのキャラにはその辺の伏線的なものはありません。そりゃあもうビックリするくらいに。
 それに、世界観設定でしょうか。多くのギャルゲーは、ゲーム世界となる舞台設定をある程度〜かなりしっかりと描写していると思うんです。それこそ、こういう世界があってこその主人公とヒロインだったり、あるいはその流れに翻弄されたりとか、そんな話の流れになっていると思うんです。
 この辺もアマガミには期待しないほうがいいでしょう。
 また、人気を集めるようなラノベだったり、ストーリー重視のギャルゲーって、何処かカリスマ性というか、ライターやら企画者やらのハイセンスさなどの魅力でひきつける部分があると思うんです。小難しくても「この人にしか描けない文体や展開、キャラだよなあ」と思わせて、オンリーワンになれればその小説なりゲームなりは、より魅力的になると思うんです。
 アマガミにこの辺のハイセンスさって…主人公が紳士的過ぎることくらい?(笑) 多くのイベントの中には「これは!」と思わせるものもあるものの、詰め込んだ感があり洗練された印象は全くありません。この話の流れでこのイベントって必要なのか?と思うものもそれなりにあります。
 また、ある程度流行の最先端を行っているラノベなどからすれば、一昔前の設定でもないのに携帯電話ひとつ出てこないってのも、今の20代前半までの世代とライフスタイル自体が全く合わないというか、カルチャーショックにでもならないかと思うくらいですw パソコンは出てきた気がしたんですが…。これが、特殊な世界観だったりストーリー上不要だったりすれば問題はないんですが、恋愛シミュレーションですし、待ち合わせとかで電話する場面はいくらでもありますし、今さら固定電話と言うのも時代錯誤な気がしたんです。
 
 こんなところでしょうか? 酷評しているようにも見えますが、あくまで「この辺が気になるのなら手を出さないほうが良い」ということでして、ラノベ系とは全く別ジャンルのゲームだと割り切れれば、逆に新鮮に映るはずです。何せ、ここまでストーリー性を排除して、イベントはほぼ主人公とヒロインの関係を描くものだったり、二股や三股プレイも可能+それで起きる弊害もしっかりイベントとしてありますし、仲の進展の仕方で6パターンの会話やイベントを進めることが出来たりと、一本道のギャルゲーとは全く違う楽しみ方があるんですよね。プレイ時間が結構掛かりますが、それでも興味のある人は手を出してみてください。