Angel Beats!との比較で楽しむアニメ「Another」

 既に3回目となるAnother記事ですが、観ていてふと「まどか☆マギカ的な要素多いなー」と思っていたところ、むしろP.A.WORKS繋がりからAngel Beats!的な要素を見出すことが出来たので書きたいと思います。
 そもそもAnotherとAngel Beats!って制作会社以外は全然違うんじゃね? とも思ったりしますが、これが案外似ているところが多いのです。それが角川書店が意図してのものなのか、あるいは監督以下制作陣が意図的にそう描いているのかはわかりませんが、そういう意図やニュアンスで描いていることは間違い無いと思ってます。何せ監督が「青春」と言ってますしね。

  • ヒロインキャラのポジショニング

 個人的にすごく感じているのが、メインヒロインの見崎鳴と主要キャラな赤沢泉美が、ものすごくAngel Beats!の天使ちゃんとゆりっぺに似ている気がしています。鳴はクラスでのハブられ方がまるで戦線メンバー全員から敵視されていて、自分の側からは相手には歩み寄らないあたりも天使ちゃん的なイメージに近いですね。1話で意味ありげに人形を持っていたり、眼帯をしていたりするところとか、1話でいきなり主人公をぶっ刺した天使ちゃんとはアプローチは異なりますが、不気味で危険で謎なキャラであることについては共通してると思います。赤沢さんのキャラはゆりっぺでしょうか。対策係から委員長になりましたが、3年3組のトップであり鳴への対策係というポジショニングは戦線のリーダーであり天使ちゃんへの作戦を立案して実行するゆりっぺとかなり似ているようにも感じますし、唯我独尊的な我の強いリーダーキャラであるあたりも共通しているように思います。。
 具体的には描かれてはいないのですが、構図を観れば2人は対立していますよね。積極的に敵視しているというわけではありませんが、赤沢さんから鳴ちゃんを見たら、対策係として徹底的に無視をしようとしているわけですし、それをクラスのみんなに徹底させたわけですからね。

  • 主人公のポジショニング

 主人公の設定とかも似ているような気がします。まずは転校生(途中加入)という部分からそうですし、最初に赤沢さんに会っておきながら鳴ちゃんのほうになびいていくあたりは何か音無を思い出しますよね。それに、3年3組に所属しておきながら鳴ちゃんと会ったり話したりもしてますし、それでいてクラスメイトとも喋ったりしていましたから、しばらくはどっち側でもなかったあたり、戦線にいながらにして天使ちゃんにも話しかけたりしてた音無的なところがありますよね。
 他にも、彼がその世界にとって特別な存在であることも共通しているように思いますし、均衡を破るキーキャラとしてのポジションもあるでしょう。Angel Beats!では言うまでもありませんが、Anotherにしてもこの町ゆかりの人間かつ過去に親族が2人も巻き込まれていたりしてますし、何の知識も準備もなく鳴と会ってしまうあたりからして特別と言えるでしょう。まだ彼自身にどんな爆弾が仕掛けられているのかははっきりとしませんが、更に事件の真相に深く関わっている何かがあるとすれば、Angel Beats!での天使ちゃんとの縁があった音無とここも共通してくるような気がしているのです。まあ、Anotherの場合はどう転んでも悪い意味での繋がりにしかなりませんが……。
 主人公とは関係ないですが、勅使河原のポジショニングは日向ですよね。赤沢さんには逆らえないようですし。赤沢さんに嫌な役を押し付けられているあたりは、ゆりっぺに面倒事を押し付けられる日向に通じるところが大いにありますよね。まあ全然役立っていないわけですが……。

  • 死に近い世界観設定

 Angel Beats!は死後の世界という設定でしたが、本当の死は満足して成仏するというものがありましたが、熱唱して成仏したキャラもいたようにその条件は割と簡単なものでした。一方でAnotherの3年3組は死に近いところにあると言われ、また夜見山という街そのものが有効範囲になっているようでもあります。現に一旦始まると3組の生徒か、あるいは夜見山在住の2親等以内の家族や親戚にも及ぶとのことですがまあそこはともかくとして。つまりは、Anotherの3組関係者の死も「始まれば」いつ誰が標的になるかわからないという意味では(条件はあるのかもしれませんが)死がかなり近い場所にあると言えると思います。いつ死ぬ(消える)かわからないという世界観設定が共通しているというのも面白いのかもしれません。ただ、Angel Beats!は理不尽な死に方をしたキャラクターたちが最後は納得して笑って逝けるような感じなのに対して、Anotherは生者が突然理不尽な死に遭遇するという全く逆の最期になっちゃうわけですが……。ただAngel Beats!の戦線メンバーも、ただ満足して成仏させられることをよしとせずに死に抗ってるあたりは、Anotherの3組や事件の真相に踏み込んで何とかしてやろうとしている恒一たちとあまり変わらないシチュエーションとも言えるのではないかと思っています。
 そういえば家族が死に関わっているという点でも似ているように思います。Angel Beats!の場合は本編の世界ではなく生前でですが、家族が死に関わっているケースがめちゃくちゃ多いんですよね。音無:妹が死んで生きる目標を見つけた ゆり:家族を皆殺しにされた 岩沢:両親の夫婦喧嘩に巻き込まれて致命傷 ユイ:死ぬまで母親に介護してもらってた(介護疲れで殺された説あり)という具合です。Anotherは言うまでもありませんが、夜見山の外にいれば安全というあたりがものすごく箱庭的な感じですよね。箱庭的といえばAngel Beats!がまさにそうですよね。

  • 「卒業」を目指すストーリー

 Angel Beats!は当初から卒業を目指していたわけではありませんが、結果的には死んだ世界戦線を卒業することで物語は一旦終わりました。Anotherもそうなるんですよね。最新話で担任が言っていたように、3年3組として皆が卒業することが目標ですので。もちろん死なずにですが。
 水島監督がAnotherとは「ホラーであり青春モノである」を描いたお話だということを言っていて、つまりは中学3年生という1年間を満喫することも描いているのだろうと思います。Angel Beats!の連中も何かと戦いながらも青春を謳歌していましたし、その点でも近いのかもしれません。Anotherでは凄惨な事件がいくつも起きるわけですが、それはAngel Beats!でも同じ(ただし生き返るので軽い)ですからね。恒一と鳴は恋愛関係にまで発展するのかどうかも見所なのは、Angel Beats!での音無と天使ちゃんでも同じでしたよね。そういう側面も楽しむアニメという共通点はあると思ってます。

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 とまあ色々と観ていったわけですが、P.A.WORKSとしてはAngel Beats!があってこその企画だったんじゃないかと思うわけです。ある意味でこういうジャンルで勝負しているあたりで挑戦しているのは興味深いのですが、こうやって延長線上にある別ジャンルをアニメ化しているということも観ていると面白いのではないでしょうか。
 また、ホラーなイメージばかりが先行しているAnotherも、Angel Beats!的な要素を中心に観ていくと違った見え方が出来るのではないかと思います。個人的には、青春モノとしてこれからもAnotherを観ていくつもりです。

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