劇場版ガールズ&パンツァーで、西住まほが実家近くで犬を散歩させていたことに対する考察
2度目の『劇場版ガールズ&パンツァー』観てきました。そして、先日発売になった「ガルパンFebri」買ってきて読んでるんですが面白いですね。スタッフインタビューではほぼ全員が「監督が……」ってことを言ってますし、恐らくは水島努監督の意向がかなり反映されたんだろうなあと思っています。
- 作者: Febri編集部
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2016/01/25
- メディア: 雑誌
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(劇場版でみほが実家に帰ったときに……)まほの横にすごくうれしそうにしている犬がいるじゃないですか。尻尾をブンブン振って、ハァハァしている性格のよさそうな犬。何も考えないと、あそこに「ハァハァ」って犬の息をつけてしまうのですが、それをしてしまうと、視聴者がまほじゃなくて犬を見てしまう。見せたいのは、あくまで妹が帰ってきたときの姉の表情なので、それを理解している小山さん(音響効果の小山恭正さんのこと)は犬に音をつけてこない。「何を見せたいか?」というのを映像からきちんと読み取って音に変換する工夫は、そういうところにもあります。
<ガルパンFebri043ページより>
ちょっと長々と引用してしまいましたが、音響チームというのがここまでコンテなどを理解して音をつけたりつけなかったりという取捨選択をしているのか、と感心してしまいました。
そこでふと思ったのですが、なぜ「西住まほは犬を連れていた(散歩させていた)」のか、という部分です。あるいはなぜ「犬」だったのか、という部分でもあります。ということで、劇場版のこの、みほが帰省してきた時に姉であるまほが犬を散歩させていたこの1カットの意味について考えてみたいと思います。
- 何故、西住まほは「犬」を散歩させていたのか?
まずは何故、まほが犬を散歩させていたのか、について考えてみたいと思います。
— りきお (@rikio0505)
というか、統率の取れたチームを率いていて、基本的には忠犬みたいな人間しかいない黒森峰女学園を観ていると、そんな西住家が犬を飼っているというのは非常に納得がいきます。というか、西住家で猫を飼っているというのはあまり想像が出来ません。ついでに言うと、この犬は子犬という風には見えないので、つい数カ月前に大洗女子に転校してきたみほが、実家にいた頃からいた可能性が高いとも考えられます。となると、久々の再開に喜んで飛びかかってくる……というシーンがあっても良さそうなものでしょうが、ここはあくまでも岩浪さんのインタビューの引用部分の通り、姉妹の再会のほうがメインになるわけですし、だからここでの犬はまるで置物のようにアクションを起こさなかったのだろうと思います(そもそもみほが実家で犬を飼っていたエピソードなんてテレビシリーズでは1度も出てきてなかったはずですしね)。西住家で飼われている犬が、柴犬風な感じだったのは意外でした。ママンや黒森峰のイメージからするとドーベルマンくらい飼っていたほうが似合っているように思うからです。が、ここは西住家は西住流の家元ではあるけど、島田流の島田家のようなお金持ちではない、という設定が生かされている部分なんだろうと思います。さすがに一般家庭でドーベルマンみたいな犬はなかなか飼わないでしょうしね。普通の家庭であることの1つの象徴が、この普通の犬に表れているのだろうと思っています(戦車道でやらかしたから娘を勘当するような家庭の何処が普通なんだ、というツッコミも当然あるでしょうが)。
また、みほが正面から家に帰りづらいという事情をまほは知っていて、外で散歩でもしながら妹の帰りを待っていた可能性も高いと思います。結局のところ、この帰省中にみほは母親とは顔を合わせていないんですが、そのくらい避けているような状態なんですよね。なのでまほは、大洗女子の会長あたりからみほがいつくらいに帰省してくるかを予め聞いていて、頃合いに犬の散歩をしつつ、みほが家の中に入れるように待っていたのではないか、という妄想をしています(実際にはどうかわかりませんが)。
- まほが「犬」を散歩させる必要性があったのか?
犬の考察についてはともかく、まほが犬を散歩させている途中でみほと再会する、というシーンで本当に「犬」は必要だったのでしょうか? そもそも、姉妹の再会がメインで、アクションというか音すらつけないような犬がそもそもいなくても良かったのではないか? という疑問が湧いてきます。そこで、犬の散歩ではない、外で偶然落ち合うシチュエーションを考えてみました。
まず、犬なしで1人で散歩しているケース。おばちゃんかっ! 女子高生が1人でウォーキングしているのは微妙な気がします。
ジョギングをしているケース。黒森峰のエースですしストイックさもあると思いますから、トレーニングを欠かさないという描写を込みで良いんじゃないかと思うわけですが……。ただテレビシリーズや劇場版を通して、ガルパンでトレーニングをしているといえば、アリクイさんチーム(ネトゲ)くらいだと思うんですよね。しかも、引きこもりのゲーマーだったのが一念発起してトレーニングを始めるという、ギャグ寄りの描写になっていましたし、まほがトレーニングをしているシーンを入れるとそっち寄りの印象を持たれてしまう可能性があるような気がします。よって、ジョギング中に再会する、というのも使いにくいと思います。
自転車で出かけているケース。買い物などで出かけているという意味では自然なのですが、自転車という「乗りもの」が出てきているところが微妙です。戦車を始め、作中で出てきてる乗りものはほとんどエンジンのついてる乗りものなんですよね。なのでここでまほが自転車に乗っているシチュエーションというのも、敢えて入れる必要がないと考えられます。
そう考えると、犬の散歩をしている、というシチュエーションであれば、西住家なら犬を飼っていそうだとか、犬種からして普通な家なのかな、とか色んな意味付けもしつつ、想像も広がるようなものになるでしょうから、一石二鳥にも三鳥にもなる非常に効果的なものだった、ということなのだろうと推測しています。
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色々と見ていきましたが、以上のような理由から、まほは犬を散歩させていたのだろうと考えられます。というか、このくらいはきっと考えて犬を出したのだろうとも思います。
この犬のくだりだけでこれだけ色々と考えられるんですから、ガルパンの、それも劇場版の各エピソードは色んなネタを仕込んでいるのだろうと思うんですよね。なので、早く円盤が発売してくれないかなあ……とも思ってます。
- アーティスト: 浜口史郎,ボコ(藤村歩),吉田玲子,澤口和彦
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2015/11/18
- メディア: CD
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