水島努×岡田麿里の新作アニメ『迷家』の展望とか期待とか
2016年になりました。今年もよろしくお願いします。
ちょうど冬コミの準備をしていた2015年末にビッグニュースが飛び込んできました。『迷家-マヨヒガ-』というアニメが発表されてました。しかもそのスタッフが個人的には驚きでした。
『迷家-マヨヒガ-』
監督:水島努
シリーズ構成:岡田麿里
キャラクターデザイン:井出直美
音楽:横山克
制作:ディオメディア
製作:ポニーキャニオン
何とあの水島努監督が、あの岡田麿里さんと組んでオリジナルアニメを作るというのです。もちろん、水島努監督は大好きなのですが、岡田麿里さんも『花咲くいろは』とか『心が叫びたがっているんだ。(以下ここさけ)』『selector』など好きなアニメが多いので、いずれ組んだアニメも観てみたいなあ……と思っていたのですが、それが特に前触れもなくいきなり出てきた感じでひっくり返りそうになりました。
組んでくれたのは嬉しいですし、とても楽しみなのですが、反面、個性の強い2人なだけに、相乗効果よりも水と油になりやしないのかとか、ちょっと余計な心配もしてしまいます。
とは言え楽しみのほうが大きいので、何でこのタッグが実現したのかとかを考えてみたいと思います。
まずは水島努と岡田麿里の接点がどうなっているのかが気になるところでしょうか。過去の水島努監督作品を色々と調べていましたが、岡田麿里シリーズ構成どころか1話だけの脚本の参加さえ確認できませんでした。つまり、直接一緒に仕事をしたことのないのです。とはいえ、岡田麿里シリーズ構成アニメで言えば、昨年の「幸腹グラフィティ」は新房昭之監督(総監督)と初めて一緒に仕事した作品になりましたし、脚本家が今まで組んだことのない監督と仕事をすること自体は珍しいことではありません。
とは言え、全く接点のない2人が一緒に仕事をすることになるわけですから、何かしらの繋がりがあるのだろうと考えるのが普通かなと思います。もちろん、「アニプレックス」だの「ポニーキャニオン」だのといった製作会社単位であれば、どちらも多作傾向にもあることから同じところと仕事をしたことはあるのでしょうけど、制作会社であるディオメディアとの繋がりから考えてみましょう。
ディオメディアと水島努監督とで言えば、ご存知『侵略!イカ娘』が容易に思いつくかと思います。今回の『迷家』と同じポニーキャニオン製作でしたし、むしろ繋がりはそこだけだろうと思います。
しかしながら、ディオメディアの前身であるスタジオバルセロナ時代にまで遡れば、水島努監督のフリー転向後初期の問題作OVAである『大魔法峠』がありました。10年でようやく3作目……ではありますが、普通のアニメ監督でいえば1年に1〜2作あれば良いほうだと考えると、割と頻繁に組んでいるのかもしれません。さすがにイカ娘の後からと考えると時間がかかりすぎなので、直接話が行ったような感じではないかなと思いますが。
そして岡田麿里とディオメディアとの繋がりですが、ディオメディアになってからでは1度も仕事したことがないかと思います。が、前述のスタジオバルセロナ時代には、小学生女児と教師との危ない関係を描いたマンガ原作の『こどものじかん』でシリーズ構成を手がけています。非常に話題にもなりましたから、むしろそこからご無沙汰だったのが不思議にも思えるくらいです。
となると、やはり接点はディオメディアだということになるのでしょうか。企画は、ディオメディアのプロデューサーがどちらかに話を持って行って進んだ話なのでしょうか? そういえば、何となく雰囲気がディオメディア制作の『悪魔のリドル』と遠からずという感じもしないでもないというか……。製作も同じくポニーキャニオンですから、ポニーキャニオンのプロデューサーという線ももちろんあるかと思いますが。
- 『迷家』はどんなアニメになるのか?
さて、そんな2人が作る『迷家』はどんなアニメになるのでしょう? まあ内容についてはまだ語るほどのものは無いのかもしれませんが、この2人が作ってきたアニメの傾向から何か見えてこないでしょうか?
水島努監督のオリジナルアニメといえば、これまで『ガールズ&パンツァー』と『SHIROBAKO』があったわけですが、それらと今回の『迷家』では雰囲気がかなり異なるように思います。近いといえば、最初から多数のキャラクターが登場するというところでしょうか。水島努監督作品はオリジナルでも原作ものでも、登場するキャラクターが多いアニメが目立ちます。予算が付いているから出来るというのもあるのでしょうが、たくさんのキャラを登場させることでそれぞれのキャラの登場シーン自体は非常に短いのに、それぞれのキャラの印象を強くさせていると感じます。
『迷家』は何だか雰囲気が『Another』っぽいですよね。もちろんホラーとかミステリとか一辺倒にはならなさそうな感じが監督のツイート からは伝わってきますが。
迷家、ジャンル分けしづらいと思います。
— 水島努 (@tsuki_akari)
岡田麿里シリーズ構成のオリジナルアニメといえば枚挙にいとまがないですが、1つ傾向があるとしたら「ディスコミュニケーション」なのではないかと勝手に考えています。『ここさけ』でもそうでしたし、何となく本心とは違うように相手に伝わってしまったり、そこがキッカケでわかりあえなかったりトラブルが起きてしまったり、という感じです。境遇の全く異なるキャラが多数集まって何かしら起こりそうな『迷家』にも何処か通じそうな感じがします。それが恋愛関係(のもつれ)なのか、あるいはいざこざ(がもつれての傷害事件的なもの)なのかはわかりませんけども。『鉄血のオルフェンズ』など、やや多数のキャラを動かすのは得意じゃないんじゃないかと思ってる岡田麿里と、『SHIROBAKO』キャラクターの恋愛関係の描写を避ける傾向のある水島努監督……と考えると、やはり水と油というか合わないんじゃないかとも思うわけですが、両者の不得手な部分を補い合えるのであれば、これ以上ないタッグになるような気もします。その結果、どんな作品が生まれてくるのかは想像もつかないのですけど、楽しみですね。
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僕としては、多数のBDを購入したアニメの作り手でもあるので期待しかしていません。ジャンルを決めたらそれに忠実なアニメを作る水島努監督ですから、若干ジャンル分けしにくいという部分には不安を感じていますが、そういう作り方をした時にどんなアニメが出てくるのか、という楽しみでもあります。
もう一つ不安なのは、ポニーキャニオン製作の冴えないオリジナルアニメということでしょうか。まあプラスが勝つかマイナスが勝つか、という感じもしますけど、期待して待ちたいと思います。
■迷家-マヨヒガ- 公式ホームページ
http://mayoiga.tv/