CLANNADのクライマックスシーンの元になった?曲〜Cocco「もくまおう」

 以前にも少しだけ言及したことがあるんですが、CLANNADの灯が完全に消えないうちに書く事にします。
 これは僕が勝手に考えていることで、ただの妄言なのかもしれませんが、CLANNADのクライマックス(幻想世界の最後の場面)とやたら酷似する曲の見つけてしまったんですよ。ちと古い曲ですが、それがCoccoの「もくまおう」という曲だったりします。
 何故この曲が、CLANNADの幻想世界の場面と繋がるのかというと、それがまあ驚くほど少女と心情・行動との一致点が多いんですよね。
 実際に見てもらえればわかります。まずは詞を全て見てみてください。
 

『もくまおう』
 作詞・作曲 こっこ
 
 あなたはいい
 愛されてるから
 大きな樹には
 小鳥が集う
 
 できるだけ
 普通に歩いた
 進むべき道は
 目の前に広がるから
 
 ゆらり 揺られるような
 淡い蒼
 あの眠れる海を
 触れないぐらいの
 空(あお)の青
 目醒めたばかりの朝
 
 あなたに見せたいもの
 独り集めて 背負った
 わたしが見たかったのは
 肩越しに見える未来
 変わっていく私を
 笑ってもいい
 
 会いたい人
 心に刻んで
 描いたほうが
 生きられるから
 
 ひとりでも
 繋いで眠れる
 大潮を待って
 込り江(いりえ)には煌く天(そら)
 
 闇に溺れるような 南の風(フェーヌカジ)
 あの愛しい手の平
 差し伸べられている 月の道
 顔を上げたのなら もう
 
 あなたを縛っていた
 全て解いて 気付いた
 溢れて止まらないのは
 長い長い夜の祈り
 譲れない光は
 この手にあるよ
 
 あなたにあげたいもの
 独り集めて 背負った
 わたしが欲しかったのは
 あなたを守る力
 変わっていく私を
 笑ってもいい
 
 変わらない想いを
 覚えていて

 まず全体を見てどうでしょうか? ふーん、くらいの感想しかなければもうこの先読まなくて結構ですw 「これは??!」って思ったのならこの先もお付き合いください。
 それでは、まず部分部分を見ていきましょうか。

 あなたはいい
 愛されてるから
 大きな樹には
 小鳥が集う

 
 最初の部分ですが、あなた=朋也じゃないですかね? 大きな樹=朋也に色んなヒロインや朋也が好きな仲間(古河夫妻やら芳野さんやら春原やら、サポートしてくれたサブキャラやら)が集まってくる存在、ということに繋がりそうです。

 できるだけ
 普通に歩いた
 進むべき道は
 目の前に広がるから

 
 拡大解釈ですが、幻想世界を歩けなくなった少女・現実世界で歩けなくなった汐。それは二つの世界で生きることの限界を示唆したものであり、ひとつの世界を手放し、もうひとつの、ずっと自分が生きてきた世界=幻想世界だけで、朋也と出会うまでと同じようにひとりで生きていく。つまりは「普通に歩いていく」ということに繋がるような気がします。
 

 あの眠れる海を〜
 〜目醒めたばかりの朝

 
 少しだけ省略しましたが、これは少女が人間であることを認識した瞬間だったり、人間であることを終わりにする直前とも言えます。アルバム「ソララド」の「空に光る」の歌詞内でも生きてることを美しいと歌ってますし、ちょっと強引ですが関連性はありそうです。

 あなたに見せたいもの
 独り集めて 背負った
 わたしが見たかったのは
 肩越しに見える未来
 変わっていく私を
 笑ってもいい

 
 こことか凄いですよね。説明する必要もない気が(汗。ちなみにここがサビです。
 あなたに見せたいものってのは、朋也に訪れる幸せな未来(EDの渚・汐と朋也の旅行の絵)ってことで、肩越しに見る未来ってのは、そこに自分(少女)は存在していないことを示唆しているような。背中から見てるってことでしょうから。
 変わっていく私を…のくだりは完璧ですね。それこそ「町」が変わっていくことを仕方の無いことと諦めていただけだったのに、朋也によって「変わっていくこと」が悪いことばかりではない、と言うことを教えられたんですから。

 会いたい人
 心に刻んで
 描いたほうが
 生きられるから

 朋也と過ごしたことを思い出として持ち続けていればひとりでも生きていける、ってことですかね。

 闇に溺れるような 南の風(フェーヌカジ)
 あの愛しい手の平
 差し伸べられている 月の道
 顔を上げたのなら もう

 「あの愛しい手の平」とかねw 幻想世界最後の場面で、少女が朋也を放つ直前のシーンを彷彿とさせます。
 

 あなたを縛っていた
 全て解いて 気付いた
 溢れて止まらないのは
 長い長い夜の祈り
 譲れない光は
 この手にあるよ

 
 サビその2です。ここも凄い。
 「あなたを縛っていた〜」は、朋也を幻想世界に縛っていた(とどめていた)と言うことに近くないですか? それをすべて解いたのも、幻想世界から朋也を解き放ったことと一致します。「溢れて止まらない」のはもちろん涙のことで、「ソララド」の「空に光る」の歌詞内でも「泣いてたんだ」とあるようにここも一致。
 そして決定的なのが「譲れない光は この手にあるよ」の部分でしょうか。光ですからね。その「光」は、朋也を照らす自分自身の光なのか…。まあこの辺はニュアンス的な部分でしょうか。

 あなたにあげたいもの
 独り集めて 背負った
 わたしが欲しかったのは
 あなたを守る力
 変わっていく私を
 笑ってもいい
 
 変わらない想いを
 覚えていて

 最後の部分です。「わたしが欲しかったのは あなたを守る力」ってのは、朋也や渚を幸せな方向へ導く力、と繋がりそうです。「変わらない想いを 覚えていて」というくだりは、やはり少女の想いそのものじゃないかと思います。ううむ…。全部関連付けるのはやはり無理がありそうですが、それでもかなり近い内容じゃないでしょうか?

 もちろん、Cocco自身は一番活躍していた当時から、一部の鍵っ子の中では関連付けて考える人もいましたし、同人誌やSSで、彼女の歌(詞)を絡めて描かれたものもいくつか見られました。僕もCocco曲のタイトルでいくつかSSを書きましたが、AIRとかと世界観とか描写がよく合うんですよ。生死を描いていたり、空と海が思い描けたり…。麻枝さんが「強さ」を連発するのに対し、Coccoは「力(ちから)」をよく使うところも似通ってますね。これは、元々自身の根底に流れるテーマが共通しているからなんでしょう。

 麻枝准がこの曲を好きだという発言は、実は2度ほどあります。1つ目はKeyオフィシャルのスタッフ日誌内にある、メールへの返事です。今のKeyオフィシャルからは見れなくなっているようなので、丸ごとログを残してくれているサイトから発掘してきました。2004年7月14日のメールレスに、Coccoスキマスイッチを勧めてるところがありますが(このメールは僕が送ったものなんですが)、そこでCoccoはタイムリーに、最近聴き返していたところです 強く儚い者たちの頃から聴いてました その曲と、Raining、ポロメリア、もくまおうあたりが好き 泣ける 彼女は圧倒的なんだ」とあるように、CLANNAD開発前後にも聴いていたようです。
http://respect-maeda.com/staff/da-mae/2004.html(リスペクト麻枝准より)
 もう1つはAB開発日記にありますね。「シナリオでクライマックスシーンを書くときは、ポロメリアとこれをよく聴いてたな。」と発言しているように、少なからず影響はあったんじゃないかと思います
http://key.visualarts.gr.jp/angelbeats/blog/2009/07/post_13.html(ここの中段やや下にあります。「もくまおう」で検索したら出てきます)

 まあ、麻枝さん自身が、何をしてるときにも音楽を聴いてるような人なんで、聴いてる曲数や種類がハンパないわけで。今までに彼自身が言及した曲数もハンパ無いわけです。だから、この曲がどれだけ彼の創作活動へ影響を及ぼしたのか、あるいは全く関係ないのかはわかりません。ただ、何らかの影響を及ぼした可能性は、この歌詞とCLANNADのあのシーンとの一致度からすれば、無理に否定することも無いのでは?と思います。
 僕がこれだけ注目していたのは、何より元々この「もくまおう」が「Cocco」が好きだったからに他ならないわけで、それに麻枝さんが好きだということがわかったことで、余計に関連付けただけだと思います。それを知った上でこの曲を聴くとまた泣けるんですよね。もの凄く勝手に泣いてるだけですからアレな感じですが、興味を持たれた方はぜひ手に入れて聴いてください。この曲は特にですが、全体的に素晴らしい曲が多いですので。
 ソララドと合わせて聴いてみてください。

■なんたらチューブでやや音質の悪い「もくまおう」
http://www.youtube.com/watch?v=1rfCe6NODeM
 
■「もくまおう」が収録されてるCD「Cocco ベスト+裏ベスト+未発表曲集」
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88-%E8%A3%8F%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88-%E6%9C%AA%E7%99%BA%E8%A1%A8%E6%9B%B2%E9%9B%86-Cocco/dp/B00005MMNB


Twitterです
http://twitter.com/rikio0505

 転載云々を言うのは、ご勘弁ください。