「プロ作家」と呼べる定義とは?「プロ」と「アマ」の境界線とは何処か?

 以前(二年も前なのか……)に二次元作家・クリエイターのほとんどはプロじゃないというエントリを書いて炎上しかけた経験があるんですが、その時に色々と指摘されたり問題になったのが「じゃあ作家さんはどこからどこまでがプロ/アマなのか?」という事でした。
 ちなみに以下の内容は、僕の個人的な主観がかなり入っているので、読まれる方はご注意ください。おそらくハッキリとした答えも定義も無い内容だと思いますので……。
 
 個人的に考えているのは、「本業=作家として専念している人」がプロだと考えています。例えば漫画家さんであれば、漫画、あるいは絵を描く仕事を本業としている人……がプロなのでは無いでしょうか?と。形は千差万別あると思いますし画一的に考えられない部分もありますが、例えばサラリーマンとして本業が別にあって、それ以外のところで同人誌のみならず商業の漫画を描いている人は、プロとは言えるんだろうか?って思うのです。中には、学生さんというケースもありますからね。大学を休学して原稿に専念しているような人は別でしょうが、やはり作家としての活動を中心に置いている人がプロと言えるのでは無いのかと考えています。
 ただまあ、商業の原稿だけで生活出来るレベルまで稼げる作家さんってのは、おそらく限られているでしょう。1年に1冊エロ漫画の単行本を出せるくらいであれば、コミケなどで同人誌もしっかり売らなければ厳しいんじゃないかと思います。なので、副業をしている方も多いんじゃないかと想像していますが、その場合は、本業が執筆関係であればプロと言えるんじゃないのかな?と勝手に思っています。

 反対意見としては「商業で描いてるんだから、その時点でプロだろ!」という意見があると思います。ただ現状、例えば少年誌で連載があるとか、単行本が確実に十万部以上売れるとかそういう作家さんであれば、おそらくは専業でやっているでしょう。副業でやっている方もいるのかもしれませんが……。
 というのも、商業誌デビューというハードルがどんどん低くなっているんですよね。雑誌不況と言われて久しいですが、漫画関係だけなら、月刊ジャンプとかが休刊に追い込まれたなど廃刊が多いようにも思えるんですが、一般の書店には並ばないような、ニッチな雑誌は増えてきてますよね。エロ漫画雑誌でも「姫盗人」などが廃刊になりましたが、あれは外的要因(わいせつ図画問題で社長と作家が逮捕されたとか)の影響なので、全体として減っている実感はありません。部数的にはわかりませんけども……。アンソロジー関係も含めると、むしろ「商業誌で漫画を掲載している作家さんの総数は増えている」ように感じます。二次創作のアンソロジーであれば同人誌の延長線上とも言えるわけですが、そこからオリジナル漫画を描くようになったりすることもあるわけですが、アンソロで見極めた上で次のステップへ、と言う感じで、作家さんの商業デビューを出版社側が促進しているフシも伺えます。
 一昔前だと、例えばるろうに剣心和月伸宏氏のアシスタントから数々の漫画家が有名になっていったように、有名作家のアシスタントで力をつけて……と言う流れであるとか、あるいは出版社のコンクールなどに作品を持ち込んだり応募して、そこからデビューという流れが主流だったと思います。ですが、今はそういう流れ以上に、コミケ会場でのスカウティングから商業デビューという流れが強固になりつつあります。特にエロ漫画家さんなんかは、商業デビューする前から同人で活動していて、そこから商業デビューして人気を獲得していった作家さんが数多くいますので。なので、出版社側も同人で人気のある作家さん、あるいは今後人気を得られる可能性のある作家さんを発掘しようと躍起になっているような動きもあるようです。そういう雑誌やアンソロであれば、原稿料はとても生活するには無理な額だと言う話は聞いたことがありますので、出版社側としては、安くで作家さんを多数確保したい、作家さんとしたら、同人から商業デビューしてもしかしたら単行本まで出せてブレイク出来るチャンスがあるかも……、という利害の一致もあるわけで。
 話が逸れましたが、商業作家への障壁が低くなり商業作家人口が増えた現状では、商業デビュー=プロと言うのはかなり乱暴な意見だと言う事です。
 
 あとは「多くの人に認められている作家さんなら、専業でなくてもプロだろ!」という意見もありました。確かにこれは思います。同人限定での活動をしている作家さんでも、尊敬したくなるような作家さんと言うのはかなり多いですし、単行本が出るほどには商業で活動していないような作家さんでも、コンスタントに単行本を出している作家さんよりもあらゆる面が優れている(執筆ペース・作品数以外でですが)とも思います。ただ、プロかどうかって、作品の善し悪しとかで決まるものじゃないと思うんですよね。あくまでその仕事を専門的にやってるかどうかが問題なのであって、その分野だけで生活していけるようなペースで書ける力があるかどうかってのも、またプロとアマチュアの違いだったりするのではないのかな?って思います。

 まあ、以上は主観的、あるいは自分としての思い込みを含んだ結果でした。
 ただ「プロ」はやはり、その世界で生きていく決意をし、退路を断った人にのみ相応しい言葉ではないのかと思いますし、上手い・凄いかどうかは別問題ではないのかと言う事で、シメにしたいと思います。


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